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童話、童謡、SF、ショートショート、絵本、4コマ-マンガ、算数、数学、英語など(ペンネーム:はくた とおる)

ホンくんチズくんー三

2024-07-18 22:05:17 | 童話
「ホンくんチズくんー三」
 本のホンくんと地図のチズくんは、とある図書館に住んでいる。ホンくんはたまに借りられて、出かけることが少なくない。ホンくんがもどってきた。
 ホンくん「ただいま。」
 チズくん「お帰り。どうだった?」
 ホンくん「昨日はひどい雨だったけど、今日はいい天気だったよ。春に三日の晴れなしっていうけど、そのとおりだね。」
 チズくん「外に出るのは虫干しのときぐらいだし、日かげでないと困っちゃうよ。」
 ホンくん「紙の状態によるから大変だよね。古いと風化してしまうからね。」
 チズくん「紙の色が茶色がかって、かたくなってくるとそろそろあぶないよね。」
 ホンくん「本は、大昔は粘土板でできていたんだ。」
 チズくん「重くて大変だね。」
 ホンくん「棚に並べておくしかないし、その場で読むしかないよね。本棚といっても今の図書館なみの規模になってしまうよ。そのうち、パピルスができて、これは植物からできていて、これがペーパーの語源なんだけど、ようやく持ち運びが簡単にできるようになってきたんだ。」
 チズくん「それは大発明だね。」
 ホンくん「そうだね。書いたものも、今の本の形だったり、巻物の形だったりしているよね。」
 チズくん「今、本で第何巻とかいっているのは、そのなごりかもしれないね。地図も大きなものは巻いておいて、使うときにひろげるからね。」
 ホンくん「絵巻物という形もあるから、今の絵本の原型かもしれないね。」
 チズくん「昔はもちろん手書きだよね。」
 ホンくん「そうだね。だれかが書いた本を他の人が手書きでうつすから、とても時間がかかったんだ。」
 チズくん「写本屋さんとかいたかもしれないね。」
 ホンくん「でも、写し間違いが起こるので、間違った内容が伝わってしまうこともあっただろうね。」
 チズくん「それは困るね。」
 ホンくん「それはヨーロッパで印刷技術ができたことによって、ようやく解消されたんだ。最初は宗教の本が印刷されたようだね。」
 チズくん「今のベストセラーといったところだね。それだけ需要があったということだよね。」
 ホンくん「日本でも版画の技術をつかって、絵や本が作られているんだ。」
 チズくん「いよいよ大量印刷の時代がきたんだね。」
 ホンくん「うん。文字を一つ一つ掘った印かんのようなものを並べて、再生利用できるようにして、文章を速く作りあげることができるようになって、情報が大量に流布するようになったんだ。」
 チズくん「本だけでなく、新聞や雑誌もすごいよね。」
 ホンくん「近頃は、電子本ていうのも登場して、紙だけでなく、情報端末の画面上に表示されるようになっているよね。」
 チズくん「図書館もエスエヌエス上に設置されるよね。」
 ホンくん「実際の物としての本と、情報としての内容とのどちらを目的とするかによって、今後の扱われ方が変わってくるよね。」
 チズくん「物の場合、置き場所をどうするかという問題があるよね。」
 ホンくん「物として残すものと、情報に変換して残すものとを分けて考えなければならない時代がきたということだね。」
 チズくん「世界遺産を決めるような感じかもしれないね。」
 ホンくん「文化として何をどのようにして残していくのかというのは、難しい問題だね。」
 チズくん「温故知新で、歴史に学んで、これからの方向性を決めていくための材料として重要であることは間違いがないから、できるだけ、どんな形であってもいいから、残してもらいたいものだね。」
 ホンくん「そうだね。大事な文化的財産の一つだからね。そろそろ閉館の時間だね。今日はこれくらいにして、また話し合うことにしよう。それじゃ、おやすみなさい。」
 チズくん「おやすみなさい。」
 おしまい

ホンくんチズくんー二

2024-07-05 11:43:23 | 童話
「ホンくんチズくんー二」
 本のホンくんと地図のチズくんは、とある図書館に住んでいる。ホンくんはたまに借りられて出かけてしまう。数日してホンくんがもどってきた。
 ホンくん「ただいま。」
 チズくん「お帰り。どうだった?」
 ホンくん「けっこう外は暑くなってきていて、日かげにいないと大変だね。」
 チズくん「そう。この中はエアコンがきいていて、いつも温度が安定しているから助かるね。」
 ホンくん「そうだね。でも、今は円が安定していないから世の中その影響が出ているよ。」
 チズくん「アメリカの金利が高いから円安がとまらないよね。」
 ホンくん「日銀が為替介入しても、なかなか止まらないよね。」
 チズくん「三十年ほど前は一ドル八十七円ぐらいのときがあって、日本から外国に観光に行くのも楽なときがあったよね。」
 ホンくん「その昔は一ドル三百六十円だったから、四分の一ぐらいでビックリだよね。」
 チズくん「今はそれからいうと二分の一ぐらいまでにもどってきているといったところだね。」
 ホンくん「四分の一ぐらいのときは、バブル全盛期で、国内も景気がよかったね。」
 チズくん「タクシー券がよく使われていたみたいだよね。」
 ホンくん「必要経費でけっこう落とせたっていうことだね。」
 チズくん「でもバブルがはじけて、低成長時代に入っていったね。」
 ホンくん「失われた時代ともいわれているね。」
 チズくん「この影響は今でも続いているね。」
 ホンくん「企業が守りに走ってしまって、将来のための投資をおさえて、賃金を上げず、内部留保ばかり増やしてしまったために、世の中が内向きになって、消費者も買い控えをして、貯蓄にまわして、世の中にお金が回らないデフレ状態におちいってしまったよね。」
 チズくん「その上、悪いことに、新型コロナが原因でますます景気が悪くなってしまったよね。」
 ホンくん「五類にかわってようやくもちなおしてきたというところだよね。でも、前ほどいわなくなっただけで、新型コロナでなくなる人はある程度いるわけで、安心はできないよね。」
 チズくん「今までどおり、手洗い、うがい、マスクでの予防が大切だよね。」
 ホンくん「景気っていうのは、世の中の雰囲気みたいなものだから、気持ちだけでも前向きにしておかないといけないよね。」
 チズくん「それぞれの立場で必要と考えられるものには、お金を使っていかないと、今あるものさえ無くなっていってしまうよね。」
 ホンくん「外国のものばかりにたよってしまって、国内のものを使うことをおこたってしまうと、今のように外国で紛争が起こった場合にすぐ供給不足になってしまって立ちゆかなくなってしまうから、内外の物をバランスよく使えるようにしておくことが大切だね。」
 チズくん「インターネットのように、一つのルートがだめになっても、他のルートからつながるようなセーフティーネットが必要だよね。」
 ホンくん「全体から、個々の施策をどうするかという視点がないといけないよね。」
 チズくん「そうだね。オッと閉館時間がきてしまったようだ。この続きは、また後日することにして、今日のところは、これでお開きにすることにしよう。」
 ホンくん「わかった。それじゃ、おやすみなさい。」
 チズくん「おやすみなさい。」
 おしまい