「ホンくんチズくんー三」
本のホンくんと地図のチズくんは、とある図書館に住んでいる。ホンくんはたまに借りられて、出かけることが少なくない。ホンくんがもどってきた。
ホンくん「ただいま。」
チズくん「お帰り。どうだった?」
ホンくん「昨日はひどい雨だったけど、今日はいい天気だったよ。春に三日の晴れなしっていうけど、そのとおりだね。」
チズくん「外に出るのは虫干しのときぐらいだし、日かげでないと困っちゃうよ。」
ホンくん「紙の状態によるから大変だよね。古いと風化してしまうからね。」
チズくん「紙の色が茶色がかって、かたくなってくるとそろそろあぶないよね。」
ホンくん「本は、大昔は粘土板でできていたんだ。」
チズくん「重くて大変だね。」
ホンくん「棚に並べておくしかないし、その場で読むしかないよね。本棚といっても今の図書館なみの規模になってしまうよ。そのうち、パピルスができて、これは植物からできていて、これがペーパーの語源なんだけど、ようやく持ち運びが簡単にできるようになってきたんだ。」
チズくん「それは大発明だね。」
ホンくん「そうだね。書いたものも、今の本の形だったり、巻物の形だったりしているよね。」
チズくん「今、本で第何巻とかいっているのは、そのなごりかもしれないね。地図も大きなものは巻いておいて、使うときにひろげるからね。」
ホンくん「絵巻物という形もあるから、今の絵本の原型かもしれないね。」
チズくん「昔はもちろん手書きだよね。」
ホンくん「そうだね。だれかが書いた本を他の人が手書きでうつすから、とても時間がかかったんだ。」
チズくん「写本屋さんとかいたかもしれないね。」
ホンくん「でも、写し間違いが起こるので、間違った内容が伝わってしまうこともあっただろうね。」
チズくん「それは困るね。」
ホンくん「それはヨーロッパで印刷技術ができたことによって、ようやく解消されたんだ。最初は宗教の本が印刷されたようだね。」
チズくん「今のベストセラーといったところだね。それだけ需要があったということだよね。」
ホンくん「日本でも版画の技術をつかって、絵や本が作られているんだ。」
チズくん「いよいよ大量印刷の時代がきたんだね。」
ホンくん「うん。文字を一つ一つ掘った印かんのようなものを並べて、再生利用できるようにして、文章を速く作りあげることができるようになって、情報が大量に流布するようになったんだ。」
チズくん「本だけでなく、新聞や雑誌もすごいよね。」
ホンくん「近頃は、電子本ていうのも登場して、紙だけでなく、情報端末の画面上に表示されるようになっているよね。」
チズくん「図書館もエスエヌエス上に設置されるよね。」
ホンくん「実際の物としての本と、情報としての内容とのどちらを目的とするかによって、今後の扱われ方が変わってくるよね。」
チズくん「物の場合、置き場所をどうするかという問題があるよね。」
ホンくん「物として残すものと、情報に変換して残すものとを分けて考えなければならない時代がきたということだね。」
チズくん「世界遺産を決めるような感じかもしれないね。」
ホンくん「文化として何をどのようにして残していくのかというのは、難しい問題だね。」
チズくん「温故知新で、歴史に学んで、これからの方向性を決めていくための材料として重要であることは間違いがないから、できるだけ、どんな形であってもいいから、残してもらいたいものだね。」
ホンくん「そうだね。大事な文化的財産の一つだからね。そろそろ閉館の時間だね。今日はこれくらいにして、また話し合うことにしよう。それじゃ、おやすみなさい。」
チズくん「おやすみなさい。」
おしまい
本のホンくんと地図のチズくんは、とある図書館に住んでいる。ホンくんはたまに借りられて、出かけることが少なくない。ホンくんがもどってきた。
ホンくん「ただいま。」
チズくん「お帰り。どうだった?」
ホンくん「昨日はひどい雨だったけど、今日はいい天気だったよ。春に三日の晴れなしっていうけど、そのとおりだね。」
チズくん「外に出るのは虫干しのときぐらいだし、日かげでないと困っちゃうよ。」
ホンくん「紙の状態によるから大変だよね。古いと風化してしまうからね。」
チズくん「紙の色が茶色がかって、かたくなってくるとそろそろあぶないよね。」
ホンくん「本は、大昔は粘土板でできていたんだ。」
チズくん「重くて大変だね。」
ホンくん「棚に並べておくしかないし、その場で読むしかないよね。本棚といっても今の図書館なみの規模になってしまうよ。そのうち、パピルスができて、これは植物からできていて、これがペーパーの語源なんだけど、ようやく持ち運びが簡単にできるようになってきたんだ。」
チズくん「それは大発明だね。」
ホンくん「そうだね。書いたものも、今の本の形だったり、巻物の形だったりしているよね。」
チズくん「今、本で第何巻とかいっているのは、そのなごりかもしれないね。地図も大きなものは巻いておいて、使うときにひろげるからね。」
ホンくん「絵巻物という形もあるから、今の絵本の原型かもしれないね。」
チズくん「昔はもちろん手書きだよね。」
ホンくん「そうだね。だれかが書いた本を他の人が手書きでうつすから、とても時間がかかったんだ。」
チズくん「写本屋さんとかいたかもしれないね。」
ホンくん「でも、写し間違いが起こるので、間違った内容が伝わってしまうこともあっただろうね。」
チズくん「それは困るね。」
ホンくん「それはヨーロッパで印刷技術ができたことによって、ようやく解消されたんだ。最初は宗教の本が印刷されたようだね。」
チズくん「今のベストセラーといったところだね。それだけ需要があったということだよね。」
ホンくん「日本でも版画の技術をつかって、絵や本が作られているんだ。」
チズくん「いよいよ大量印刷の時代がきたんだね。」
ホンくん「うん。文字を一つ一つ掘った印かんのようなものを並べて、再生利用できるようにして、文章を速く作りあげることができるようになって、情報が大量に流布するようになったんだ。」
チズくん「本だけでなく、新聞や雑誌もすごいよね。」
ホンくん「近頃は、電子本ていうのも登場して、紙だけでなく、情報端末の画面上に表示されるようになっているよね。」
チズくん「図書館もエスエヌエス上に設置されるよね。」
ホンくん「実際の物としての本と、情報としての内容とのどちらを目的とするかによって、今後の扱われ方が変わってくるよね。」
チズくん「物の場合、置き場所をどうするかという問題があるよね。」
ホンくん「物として残すものと、情報に変換して残すものとを分けて考えなければならない時代がきたということだね。」
チズくん「世界遺産を決めるような感じかもしれないね。」
ホンくん「文化として何をどのようにして残していくのかというのは、難しい問題だね。」
チズくん「温故知新で、歴史に学んで、これからの方向性を決めていくための材料として重要であることは間違いがないから、できるだけ、どんな形であってもいいから、残してもらいたいものだね。」
ホンくん「そうだね。大事な文化的財産の一つだからね。そろそろ閉館の時間だね。今日はこれくらいにして、また話し合うことにしよう。それじゃ、おやすみなさい。」
チズくん「おやすみなさい。」
おしまい