「ゲンちゃんデンちゃん」
原子のゲンちゃんと電子のデンちゃんは、金属でできた同じアパートの隣同士の部屋に住んでいる。デンちゃんは同じ電子のクーパーちゃんという友達がいて、クーパーちゃんはよく遊びにくる。デンちゃんとクーパーちゃんは二人で外に出ることが多い。それは二人でペアになっていると電気抵抗がゼロなので、遠くまでいきやすいからだ。ただ、今のところ環境温度が低い時だけで、通常の温度の時はそうはなっていない。
ゲンちゃん「今回はどこまでいったの?」
デンちゃん「今日は、寒かったから、かなり遠くまでいけたよ。クーパーちゃんもいっしょで元気がよかったからね。」
ゲンちゃん「まだまだ通常の温度ではだめかい?」
デンちゃん「温度が高いと、周りとの相互作用で、散乱してしまってだめなんだ。」
ゲンちゃん「新しい物質が見つからないとだめかもしれないね。」
デンちゃん「そうだね。今後の研究に期待するしかないね。」
ゲンちゃん「ところで、ニュートリノのニューちゃんには質量があることがわかったんだってね。」
デンちゃん「そうなんだ。今までは質量がないと思われていたんだけれど、カミオカの研究であることがわかったんだ。」
ゲンちゃん「それでも、宇宙の質量の不足分はまかなえなくて、不明な部分がたくさん残っているんだね。」
デンちゃん「他の物質とほとんど相互作用しないから、とらえることができないんだよね。」
ゲンちゃん「不思議だよね。そんなたくさん感知できないものがあるっていうのは。」
デンちゃん「加速器自体をもう少し大きくしていかないといけないかもね。」
ゲンちゃん「といってもお金がかかるからそれも限度があるよね。」
デンちゃん「となると、宇宙の観測に力を入れていくしかないってことになるね。」
ゲンちゃん「そうだね。観測するのは難しいと思われていた重力波をとらえることができたことを考えると、将来的には何とかなりそうな気はするね。」
デンちゃん「重力波をたくさん出しているものといえば、ブラックホールが考えられるけど、写真が撮られたよね。」
ゲンちゃん「確かに穴が開いたように見えたよね。」
デンちゃん「遠くで見ている分にはいいけど、近づきたくはないよね。」
ゲンちゃん「ブラックホールも長い時間がたつと消滅することにはなっているけれども、現実的には、あまりに時間がかかりすぎて、避けて通るしかないよね。」
デンちゃん「宇宙ができてから、百三十五億年以上たっているんだけども、その物質の分布には濃淡があって、大規模な構造がみられるというだよね。」
ゲンちゃん「宇宙ができた初期の物質の揺らぎがそのまま宇宙の膨張に伴って広がっていったということらしいね。」
デンちゃん「宇宙は一つではなくて、たくさんできていたという話もあるよね。」
ゲンちゃん「たくさんできた内の一つが我々の宇宙ということらしいね。」
デンちゃん「我々が存在する条件が整っていた宇宙がどれくらいあったのかは、わからないけれども、少なくとも一つはあったということだよね。」
ゲンちゃん「そして、生命が生まれて、自分達は何処からきたのかと考えているというわけだよね。」
デンちゃん「これは今までの歴史だけれども、今後のことを考えると、また複雑な面があるんだ。」
ゲンちゃん「ある行動をとっている場合と、そうでない場合とに分れていく未来が考えられるという問題だね。」
デンちゃん「これは二つだけだけれども、もっとたくさんの選択肢がある場合もある。」
ゲンちゃん「厳密にいえば、可能性のある場合をすべて上げたうえで、そのうちのどれを選んだかによって、未来が変わってくるということだね。」
デンちゃん「過去は変えられないから、歴史に学んで、今後どうしていくべきかを考える必要があるね。」
ゲンちゃん「自分達のいる現在のことだけでなく、将来の進むべき方向性を、過去の出来事から失敗をできるだけ減らしていく努力が必要だよね。」
デンちゃん「残念ながら、似たような過ちを繰り返していることを考えれば、そういうことになるよね。」
ゲンちゃん「そろそろ、休む時間だから、また次のきかいに話すことにしよう。それじゃ、おやすみなさい。」
デンちゃん「おやすみなさい。またね。」
おしまい
原子のゲンちゃんと電子のデンちゃんは、金属でできた同じアパートの隣同士の部屋に住んでいる。デンちゃんは同じ電子のクーパーちゃんという友達がいて、クーパーちゃんはよく遊びにくる。デンちゃんとクーパーちゃんは二人で外に出ることが多い。それは二人でペアになっていると電気抵抗がゼロなので、遠くまでいきやすいからだ。ただ、今のところ環境温度が低い時だけで、通常の温度の時はそうはなっていない。
ゲンちゃん「今回はどこまでいったの?」
デンちゃん「今日は、寒かったから、かなり遠くまでいけたよ。クーパーちゃんもいっしょで元気がよかったからね。」
ゲンちゃん「まだまだ通常の温度ではだめかい?」
デンちゃん「温度が高いと、周りとの相互作用で、散乱してしまってだめなんだ。」
ゲンちゃん「新しい物質が見つからないとだめかもしれないね。」
デンちゃん「そうだね。今後の研究に期待するしかないね。」
ゲンちゃん「ところで、ニュートリノのニューちゃんには質量があることがわかったんだってね。」
デンちゃん「そうなんだ。今までは質量がないと思われていたんだけれど、カミオカの研究であることがわかったんだ。」
ゲンちゃん「それでも、宇宙の質量の不足分はまかなえなくて、不明な部分がたくさん残っているんだね。」
デンちゃん「他の物質とほとんど相互作用しないから、とらえることができないんだよね。」
ゲンちゃん「不思議だよね。そんなたくさん感知できないものがあるっていうのは。」
デンちゃん「加速器自体をもう少し大きくしていかないといけないかもね。」
ゲンちゃん「といってもお金がかかるからそれも限度があるよね。」
デンちゃん「となると、宇宙の観測に力を入れていくしかないってことになるね。」
ゲンちゃん「そうだね。観測するのは難しいと思われていた重力波をとらえることができたことを考えると、将来的には何とかなりそうな気はするね。」
デンちゃん「重力波をたくさん出しているものといえば、ブラックホールが考えられるけど、写真が撮られたよね。」
ゲンちゃん「確かに穴が開いたように見えたよね。」
デンちゃん「遠くで見ている分にはいいけど、近づきたくはないよね。」
ゲンちゃん「ブラックホールも長い時間がたつと消滅することにはなっているけれども、現実的には、あまりに時間がかかりすぎて、避けて通るしかないよね。」
デンちゃん「宇宙ができてから、百三十五億年以上たっているんだけども、その物質の分布には濃淡があって、大規模な構造がみられるというだよね。」
ゲンちゃん「宇宙ができた初期の物質の揺らぎがそのまま宇宙の膨張に伴って広がっていったということらしいね。」
デンちゃん「宇宙は一つではなくて、たくさんできていたという話もあるよね。」
ゲンちゃん「たくさんできた内の一つが我々の宇宙ということらしいね。」
デンちゃん「我々が存在する条件が整っていた宇宙がどれくらいあったのかは、わからないけれども、少なくとも一つはあったということだよね。」
ゲンちゃん「そして、生命が生まれて、自分達は何処からきたのかと考えているというわけだよね。」
デンちゃん「これは今までの歴史だけれども、今後のことを考えると、また複雑な面があるんだ。」
ゲンちゃん「ある行動をとっている場合と、そうでない場合とに分れていく未来が考えられるという問題だね。」
デンちゃん「これは二つだけだけれども、もっとたくさんの選択肢がある場合もある。」
ゲンちゃん「厳密にいえば、可能性のある場合をすべて上げたうえで、そのうちのどれを選んだかによって、未来が変わってくるということだね。」
デンちゃん「過去は変えられないから、歴史に学んで、今後どうしていくべきかを考える必要があるね。」
ゲンちゃん「自分達のいる現在のことだけでなく、将来の進むべき方向性を、過去の出来事から失敗をできるだけ減らしていく努力が必要だよね。」
デンちゃん「残念ながら、似たような過ちを繰り返していることを考えれば、そういうことになるよね。」
ゲンちゃん「そろそろ、休む時間だから、また次のきかいに話すことにしよう。それじゃ、おやすみなさい。」
デンちゃん「おやすみなさい。またね。」
おしまい