ぱんどらのへや

ちょっとした子育てに役立つ話を紹介していこうと思います。

学校で話す人がいない…いじめ?!

2024年09月15日 | 職業
学校生活を送るにあたって”お友達”の割合は大きいものです。
 この場合の”お友達”は、気が合って、一緒にいると楽しいという”お友達”だけではありません。
 ”ぼっち”と言うと言葉も、以前よりは受け入れられて、あえて”ぼっち”で過ごす子どももいるようになりましたが、でも、大半は”ぼっち”認定されないように、一緒にいる人を必要とするようです。”ぼっち”には、私的には潔いイメージもあるのですが、まだ、世間が持つイメージである”暗い””友達ができない問題をもつ人”などが付きまとっているようです。

生まれてから、人は人と関わり続けます。
 勿論、最初は世話をしてもらわなければ、生き残れません。
 でも、世話をするー世話をされる以外の関わりも自然発生的に生まれます。
 同じような年齢の子どもが集まると、機嫌がよくなる子、機嫌が悪くなる子、様々です。

遊び方にも発達過程があります。
 2,3歳。お砂場でこのくらいの年齢の子どもが遊んでいるのを見て、お子さんがお砂場に行って遊びだすことはありませんか?先にいる子と一緒に遊ぶのかと思いきや、それぞれ別々にコツコツとお砂場で遊んでいる。不思議ですね。友達と関われない子なのかと心配にもなりますが、先にいる子も黙々と一人で遊んでいる。相手のお子さんが無視するからかしらなんて、気になってしまいます。なのに、ある子がお砂場に飽きて、滑り台に行くと、その場にいた同じような子どもが皆滑り台に行く。でも、そこでも黙々と滑っているだけ。並行遊びと言って、この年齢にはよくある現象なんです。

岡本夏木さんのご著書に、幼稚園だったかで、年少・年中、年長のクラス、それぞれの遊び方の違いを書かれたものがありました。(すみません、書名は確認中です)
 この3年間でも、年少のクラスでは同じことをして楽しんでいるだけなのが、年長になると、この年齢になりに協力して遊びを作り上げるようになるのだそうです。

精神発達についてまとめた心理学者はたくさんいますが、今回は、”ギャングエイジ”、”チャム”について説明します。
 小学校低学年ぐらいまでは、そこにいるお友達と遊びます。まだ、”大人”の影響力が大きく、基本的には、大人の言うとおりにできるようになることに喜びを感じます。お友達も大事ですが、大人の言いつけに逆らってまで、お友達関係を続けるのは難しく、そこで葛藤が生まれます。まだ、自分から見た世界がすべてで、相手の視点に立った見方ができず、お互いの言い分が違い、トラブル仲裁にも事実確認をするのに、手がかかります(これが一般論で、個人差があります)
 ところが、小学校4年生ぐらいから、人が自分をどう見るかという、他者からの視点が育ってきます。そして、大人の影響力と仲間の中の価値観が、バランスを崩しやすく、混乱しやすくなります。小学校の先生方と話していても、多くの先生が、この年代位から、”集団”の”質”が変わってくるとおっしゃいます。”ギャングエイジ”です。Wikiには”同性だけの集団”とありますが、小学校では、男女混合の場合もあります。同性だけになるのは、第2次性徴も関わってきて、小学校高学年くらいでしょうか。高学年になっても、男女混同であることもありますが、それだけで”LGBTQ+”とするのは早計だと思います。この先、どんどん、人間関係は変わってきますので。
 そして、精神科医サリヴァンが説いた、チャム≒親友の存在を求めるようになります。『赤毛のアン』のアンとダイアナのような存在です。お互いに、阿吽の呼吸で応答できるくらいに、気持ちのあった存在。”自分”というものの、現身・分身と言ってもよいくらいの存在です。でも、現実にはそんな存在に出会えること自体が奇跡です。でも、そのような存在を求め、とっかえ、ひっかえ、相手を確かめ合います。この傾向は女子の方が男子より顕著です。だから、小学生高学年から中学生までの友人関係は難しいのです。ぐちゃぐちゃになりやすいのです。本当は高校生くらいまで、否、ママ友の間のトラブルでも、この”チャム”を探してと言うのはありますが、たいていは、高校受験で目の前の勉強に関心が移って、そして高校生では、中学生の時よりもソーシャルスキルが巧みになって、対処の仕方が変わってきます。ちなみに、この時の親密な状態から、LGBTQ+を想像する方もいらっしゃるし、そう自認する方もいらっしゃいます。”同質性”を求めることは、”異質”なものを排除したがる傾向も強くなります。例えば、よくある例では、女の子がお父さんを嫌うのも、この傾向が強くなるためです。古典的文学作品などでは「男性のいない国に行きたい」という女性が出てきたり、男の世界を作り上げようとする”マッチョ”が出てきます。そういう思いに駆られる方総ての性志向がLGBTQ+を通すとは限らないので、様子見が必要かと思います。
 友達トラブルが頻発するこのような傾向は、無用と考える方もいらっしゃいますでしょうか。でも、この、自分にとっての唯一無二の存在を探す経験が、やがて、生涯を共にする配偶者を探すための練習期間という方もいらっしゃいます。しっかりと自分にあったパートナーを見つける練習をしてほしいものです。
 また、『赤毛のアン』のアンとダイアナがそうであったように、お互いに違う部分を見つけても、お互いを”親友”として大切にしあうような成熟に発展していくことが理想ですね。

★「学校で話す人がいないから学校に行きたくない」
  このように、お子様に言われたら、どうしましょう。
  実際に、こう言われた、どうしようと保護者や教員の方が相談にいらっしゃるのは多いです。児童・生徒が来室して、こう言うこともあります。
  すでに投稿したブログにも書きましたように、お一人お一人違うので、マニュアルがあるわけではありません。
 ですが、ある一つのケースを、個人が特定できないように加工して、記したいと思います。ちなみに、このパターンは、細部が違うものの、多いです。

保護者の方が、来室されました。昨今のニュースを見て、「いじめではないか」とも心配されていました。「学校の指導が悪い。訴えることも辞さない」とも。「学校で話す人がいないから学校に行きたくない」と言っているのは、中学1年生のお嬢様でした。Aちゃんとします。
 【過去】元々、Aちゃんは人見知りするほうで、お友達も多くはありません。でも、仲良くなると長続きするタイプです。小学校高学年の女の子のお友達関係は難しいと聞いていて、保護者の方は心配されていましたが、幸い、”アンとダイアナ”のようなお友達を見つけました。Bちゃんとします。
 中学は学区が違い、別れることもありますが、幸い、同じ学校に進学しました。他の小学校からも来て、クラスの数も多くなるので、別々になるのかと心配しましたが、同じクラスになりました。Bちゃんも、Aちゃんと同じクラスになったことを喜んでくれました。Aちゃん親子はこれで安心と喜びました。
 そんな、Aちゃんが、「学校で話す人がいない」と言うのです。どうしたことでしょうか。
 保護者の方と、保護者の方を通してAちゃんの許可を取って、先生方に様子を聞きました。クラスには知らぬふりをして、主に、休み時間に観察に行きました。
 【今】Bちゃんは元々、Aちゃんと比べて、好奇心旺盛で、活発でした。Bちゃんは、他の小学校から来た新しい人とも積極的に交流を深めていました。部活も運動系に入り、委員会活動にも加わっていました。だから、休み時間は、Bちゃんの周りには人が集まっていました。勿論、BちゃんはAちゃんのことも大切です。だから、休み時間に話をするとき、Aちゃんにも声をかけて一緒に輪に入れるように工夫していました。Aちゃんが好きなことを話題にして皆で話ができるようにしていました。Bちゃんの部活が終わるまで、Aちゃんは図書室で待っていて、一緒に帰りました。でも、途中までは部活のメンバーもいます。自然、帰り道の話題は部活関連になり、Aちゃんは面白くありません。Aちゃんは、小学校の時のように、Bちゃんと二人きりで遊びたかったのです。Aちゃんが好きなことを好きな、他の小学校から来た子が、Aちゃんに話を振っても、Aちゃんが思うような応答にならないので、Aちゃんは「話ができない」と思っていました。
  こんな現状が明らかになったら、貴方ならどうしますか?
  Bちゃんに、Aちゃんに合わせろと言うのは酷です。BちゃんはBちゃんなりに、Bちゃんらしさを作っていかなければなりません。
  Aちゃんに、もっと積極的に輪の中に入りなさいと言うのも酷です。もともと人見知りしやすいのですから。
  これが、小学校低学年なら、教員と協力して、教員や私が間に入って、一緒に遊べるように調整していくこともあります。
  小学校中学年や高学年でも、場合によっては、雑談している間に入って、「先生とろ~い」と言われながらも、調整していくこともあります。「先生とろ~い」と言われるのは、この年代の子の話は、とにかく早いのです。略語も含め、私が知らない話もどんどん飛び交い、話題も簡単に移り変わっていきます。彼らは彼らの暗黙の世界があるので、部外者の大人が入っていっても、なかなかついていけません。そこに棹差すことが、話すテンポが遅い子の見本になったり、かえって嫌がられたりするので、”調整”も簡単にいきません。
  でも、Aちゃんは中学生…。
 【未来】数年後には、受験をして進路を決めていきます。同じ高校に進学したとしても、東京都立の全日制の高校なら、7クラス、8クラスは当たり前。同じクラスになる可能性はほとんどありません。ましてや、その先の進路。大学や専門学校。その先の就職。仮に、同じ事業所、同じ部署に行けたとしても、仕事はお友達関係の延長ではありません。いつまでも、Bちゃんにしがみついてはいられないのです。
  そういう未来を説明したうえで、Aちゃんがどうしたいのかを確認しながら、生きるためのスキルを磨いていきます。自分の世界を貫き、”お一人様”で生きていきたいのか。でも、やがては社会に関わらねばなりません。”おひとり様”であるプライドを胸に、人と関わりを持つ方法を身につけなければなりません。そうではなく、皆と一緒にBちゃんと仲良くする方法を見つけるのか。Bちゃん以外のお友達を探すのか。その試行錯誤の中で、Aちゃんが苦手に思っていることは何なのか。妥協できること・できないこと。勿論、目指す方向性は変転してかまいません。試行錯誤とはそういうものです。そして、一つ山を越えると、違った景色が見えて、また、目標は変わるものです。
   先に投稿したブログにも書きましたが、保護者の方の関わりかたも変わってきます。乳幼児から学童期までは、友達の作り方を教えてあげるのも、必要でしょう。前思春期・思春期の頃は、並走。この場合、進路を一緒に考えることも大切です。生まれ持った特性として、人口密度の高い場が苦手な子どももいます。統制の取れていないガチャガチャした環境が苦手な子どももいます。公立学校は、いろいろな子どもが来ることが多いので、比較的、騒がしいです。東京ですと、公立・私立の違いだけでなく、小学校・中学校ではフリースクール・高校ではサポート校や通信制等、ある程度は選べます。私立は高いですが、奨学金等が使えるところもあります。人になれないと就職した時のことを心配される保護者の方も多いです。大企業は福利厚生は確立していますが、中小企業や零細企業等、お子様のお良さを活かせるところを探すのも手です。そのためにも、この友達トラブルをきっかけとして、お子様の対人関係の癖を見直すことが肝要です。大企業は部署替えも多く、変化に対応できる人の方が生き残りやすいです。人間関係の変わりやすさにも慣れることができるのか。”お一人様”のプライドを胸に、”学校””職場”だけの人間関係に対応する術を身に着けておくことも、将来のためになるのではないでしょうか。そして、青年期からそれ以降。中年期になっても親の手助けを必要とすることはあると思いますが、あくまで、バックを守ることで、このくらいになるお子様の人生の主人公はお子様です。

ところで、今、いろいろなニュースが流れる中、保護者の方の学校への信頼度が低くなっているように感じます。
 私がスクールカウンセラーを始めた頃は、教員に不信感を持っていても、保護者はまず、管理職(校長先生・副校長先生/教頭先生)やスクールカウンセラーのところに相談に来て、それで埒が明かなければ、教育委員会に行ったケースが多いです。でも、今はいきなり教育委員会。
 確かに、ニュース報道を見ていると心配になりますね。
 勿論、不適切な対応の場合は、改善を要求しなければなりません。
 でも、上記のように、初めから訴えることを前提にすると不利です。
 お子様はどこに戻っていくのでしょう?もめた学校に戻ることがどんな影響をお子様にあるのでしょうか?
 文句を言うなと言っているわけではありません。お子様がSOSを出しているから、学校ができること、保護者ができることを話したいと、協力を求める言い方で来て下さると、お互いやりやすいのではないでしょうか。
 そのうえで、学校と言う場が、お子様に合わないことがはっきりするかもしれません。転校する方もいらっしゃいますが、どういうところが合うのかを吟味せずに転校すると同じことを繰り返しやすいです。
 ひょっとしたら、学校との協力で、お子様が学校に戻り、楽しい思い出を作り、卒業されるかもしれません。
 ”学校”と言っても、いろいろな教員の集まりです。合わない教員もいれば、味方になりたいと思っている教員もいるかもしれません。スクールカウンセラーも同じです。
 というような協力ができない場合、それから教育委員会に行っても、弁護士を立てても良いのではないのでしょうか。
 
 


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