お気楽ナチュラリスト

都内に住んでも心はナチュラリスト。
週末は山と川で遊びたい。

紙すき体験

2006年12月10日 | ファミリー
今日は、家族サービス。埼玉県比企郡小川町へやってきた。
秩父山系の麓であるこの地は、和紙の里として有名。
この地で生産される手漉き和紙(細川紙)の由来は古く、1200年の歴史を持つ。奈良・正倉院の古文書に記載があることから、昭和53年に国指定の重要無形文化財となった。

道の駅と併設されている埼玉県伝統工芸館では、県内の伝統的手工芸品の数々が陳列されているが、お目当ては「紙漉(かみすき)体験」。和紙の紙漉をお手軽に体験できるのだ。

さっそく中に入ってみる。入場料は、大人300円、子ども150円。

ちょうど特別展「光と陰のパサージュ展~和紙の灯りと空間」なるものの展示をしていた。

和紙を通したやわらかい灯りがなんとも落ち着く。
こんな空間が我が家にあったらなぁ…。(部屋の掃除が大変…か?)

一通り常設展示も眺めたところで、いよいよ紙漉体験だ。


おー!いかにも工房っぽいぞ。
画像の中央に写っている白髪の方が、細川紙技術保持者の一人である島野さん。

紙漉体験は、ハガキ、色紙、花入り和紙、短冊など、形によって体験料が違う。
子ども達は、もうやりたくてやりたくてウズウズしている。とりあえず、花入りのハガキと花入り和紙を申し込んだ。


これは原料の楮(こうぞ)。皮の部分のみを使用する。
これを煮て白皮にし、叩いて細かな綿状にする。そこにトロロアオイという植物の粘液(糊)と水を混合させると紙料のできあがり。
で、できあがったものがこれ。

簡単に書いたが、ここまで3日かかる。和紙づくりって手間の嵐。大変な作業だ。

さて、いよいよ子ども達の出番。
紙漉きのはじまり~。

はじめにお姉ちゃんが挑戦!
簀(す)を張った桁(けた)で、紙料をすくい取る。
厚さが均一になるように、桁を水平に持って前後に揺する。
子どもにとっては、けっこう重そう。
ちなみに、紙漉は12月~3月の冬場がよいらしい。夏場は原料が痛みやすく、糊の役割をするトロロアオイの働きが悪いのだそうだ。
水が冷たいほど、良質の和紙が漉ける。
冬場に水を使う仕事…厳しい仕事である。

弟も挑戦!

一人では重いので、ママに手伝ってもらう。

漉き終わったら、簀からはがして飾り付け。

花びらや葉をそーっと貼り付けていく。


お姉ちゃん作、ハガキ完成!

こちらは弟の作品。
二人とも、よくできました

実際には、このあとさらに薄い紙料の膜を表面にかぶせるのだそうだ。それは、工房の方にやっていただく。
乾燥させてから、約一週間後に自宅に送られてくる。
楽しみに待っていよう。

最後に島野さんにいろいろな話をうかがった。
興味深かった話は、和紙が歴史の要請に応じてさまざまな用途に使われてきたこと。
昔はお寺の古文書や写経の紙として始まったが、江戸時代には幕府の公文書に使われていた。
それが、第二次世界大戦の時には、軍人のチョッキなどの衣服として使用されたり、風船爆弾の風船の材料になったこともあったという。和紙で作った巨大な風船の表面をコンニャクでコーティングしてから水素ガスを充填。それで爆弾を飛ばしたというのだ。
最近では、タペストリーなどインテリアの一部としての需要が高まってきているそうだ。
ちなみに、この手漉き和紙は花粉症を抑える効果があるという。
和紙が花粉を吸着し、和紙の中にいる微生物が花粉を分解するらしいのだ。
昔は花粉症などなかった。それは家屋に手漉き和紙の障子が多かったからではないか、と島野さんはおっしゃっていた。

いろいろ勉強できました。
島野さん、お世話になりました!

おまけ
我が家は、みんな温泉好き。
昼食を兼ねて、温泉に立ち寄った。

日帰り温泉施設、おがわ温泉・花和楽の湯
ここは、もと瓦工場があった場所で、そこから温泉が出たので「花和楽(かわら)の湯」というネーミングになった。
平成14年に温泉を掘ったというので、まだ新しい温泉だ。
強アルカリ硫黄泉でつるつるした湯ざわり。加温・循環しているが、なかなかよいお湯。今人気の岩盤浴も基本料金(1050円)の中に含まれている。休憩施設やレストランも充実している。
内湯より露天の方が広く、深さがいろいろあるので、足湯、寝湯、半身浴、全身浴とさまざま楽しめるのはよい。
小雨と湯煙にかすむ冬枯れ間近の里山を眺めながらの露天風呂は、信州の秘湯にでも来たような雰囲気であった。
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2 コメント

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なるほど~ (sugar)
2006-12-10 11:29:17
papaさん、おはようございます。

和紙の歴史、効用etc・・・なるほど感心しきりです。
お子さんも良い経験をされたし、大人も(その和紙の)歴史や効用も勉強なったし、とても良い休日ですね~


現代の文化や遊びに溺れている俺でありながらも
温故知新というか・・・
俺も古い(キチンと意味のあった)物が大好きで
よくお年寄りに昔話を進んで聞いたりするのが好きです。

家に関する仕事をしている関係上、
『住まう』ということの(自然環境との共生や、子供の教育上のことも含めての、様々な)意味の深さ、重要性を日々感じている次第です。

日本の(キチンと歴史に裏づけされた)文化、本当に大切にしたいと思います。
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まさに温故知新 (papachan)
2006-12-10 13:24:54
sugarさん、こんにちは。

まさか和紙に花粉症を抑える働きあるとは思いませんでした。昔の人はそんなことはもちろん知らなかったでしょうが、天然素材をたくみに利用して生活する日本人の知恵は理にかなった住まい方なんでしょうね。
ちなみに、楮の手すき和紙の障子は、故意に破かなければ10年もつそうです。すごいですよね~。

sugarさんのおっしゃるとおり、まさに温故知新。
昔からの知恵や伝統は、大切にしたいものです。
マンション住まいの我が家にも、和紙のタペストリーぐらいなら…。
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