俺の夏

こんなつもりじゃなかったんだけれど

非常に強い雨音で目が覚めた

多分、真夜中

俺が寝室として使っているのは一階の和室

ここの窓を網戸にして

ブラインドカーテンを半分だけ下ろして夏は寝ている

入って来る風でそれが揺れて窓枠にぶつかる

カン！カカン！！…カン！

窓のすぐ外はカーポートになっていて

雨がその屋根に当たると結構な音がする

ダダダダダ…

風と一緒に網戸をすり抜けた雨粒が畳に落ちてる音もする

タタッ…タタタッ…

窓を閉めないとうるさくて眠れないんだが

ノンレム睡眠の真っ最中だったらしい俺は

眠くて眠くて起きられない

ぼんやりとした思考回路の片隅から

弱弱しいテレパシーを送ってみる

『風よ…とまれ。雨よ…あがれ。畳は…もうしょうがねぇ』

この俺のテレパシーが誰も来ない山の奥よりも感度が悪い

全然、天気の神様に届かない

うつら…うつら…

寝てるようで寝ていない

この感覚のまんま何時間すごしたのやら

そしてとうとう決定打

襖を一枚隔てた所にあるごんちゃんのトイレ

ガッサ！ガッサ！ガッサ！！

早朝ウンコのようで丹念に砂を掘り起こしている

『んぬをゎああぁぁっ！！！！』

俺の脳味噌が覚醒しちゃった…










寝室では時計代わりにしている携帯を見る

4時半

天気予報を遡って見てみる

雨が一番強く降ったのが午前3時と言う表記

ここからうつらうつらしていたのかと思うと

抜けきらない疲れを一気に感じた

おはようございます

…あれからもう一度眠れるのかもと再チャレンジをしたけれど

ダメね

起きました










夏の俺は

Tシャツとトランクスで寝ている

そして朝、目が覚めると

下半身はスッポンポンという怪奇現象に毎日襲われてる

どういう事なのか美人霊能者に視てもらいたいんだが。（見せるんじゃない

もしくは、赤外線カメラを固定して

寝ている俺を撮影して

どんな悪霊が俺のパンツを脱がせているのか突き止め

それを全国ネットで放送してほしい（だから見せるんじゃない

…

って言うかもう面倒なので、美人霊能者と寝てる所を撮影してほしい（やかましいわ








暑くて脱いじゃうんだな…

悪霊とかきっと関係ないやつ。

で、今朝もスッポンポンになってて目が覚めたんだけれど

いつもなら足元にパンツがあるんだけれど見当たらない

ああ、クシャクシャになったタオルケットの中に紛れ込んだのか

そう思ってタオルケットを広げたけれど出て来ない

…！！

この寝室は一階…ポストのすぐそば！！

さては新聞配達のおじさんが覗いて盗んだんじゃ…（死ねよお前は

…

布団の下に寝ぼけて入れちゃったわけでもない

朝からミステリーですよ

オッサンのパンツが消えるんですから。







とりあえず冷静になろうってんで

フリチンのまんまコンタクトレンズを入れて

朝からパンツ捜索隊ですよ

…

…

思わず笑った

寝ぼけて

脱いだパンツを

枕に乗せて

その上から枕カバー代わりにしてるバスタオルを掛けているのを発見

謎はすべて解けた！

ジッチャンの名にかけて！！（やかましいわ







俺の夏

こんな夏

やな夏…。