施された楕円形の鏡がある。
5千円ほどしたその鏡は、当時としてはかなり高いものだ。
どちらが早いかわからないが、もう一つ印象に残っているのは
モンブランの万年筆である。
今回は、鏡のこと。
10年前に新築した家のトイレに私の部屋から移動してその鏡をつけた。
カビのようなものが鏡の中についているが、愛着のある鏡なので
新しいのを買わないでトイレに付けた。
当時のインテリアコーディネーターが、そうすることをすすめてくれたからだ。
そして今回、トイレの一部をリフォームすることになり、ついでに新しい鏡
に替えることにしようと思い立った。
それで近くの店を数件回ったが、なかなかいいものに出会えない。
ネット検索で、ようやく昨日、私の感覚に合ったものが見つかった。
それは、縁がやはり銀色で木製、バロック調の模様があり、オーダー
できるのでそこに決めた。
横600mm 縦 400mm の長四角の鏡である。
届くまで、最短10日はかかる。
Mホームメーカーの営業マン、今年4月、東京から福島に転勤になったという。
誰が考えても気の毒なKさんである。
その仕事ぶりは、真面目で好感がもてる。
外れの場所で精力的に働いてる気がしている。
きちんと私の好みに合った、適切な助言を与えてくれる。
最初、飾りのない、シンプルな鏡を選び注文し、見積もりをとってもらった。
しかし、後日、本当にそれでいいのかと静かなKさんに念を押された。
今までのと雰囲気が全く違っているという理由からだ。
私もそう言われるとハタと立ち止まり、考えてしまった。
よその店で選んでもいいですよ、取付けてあげますからとまでいう。
お客にほんの少し助言し、満足のいく仕上がりを施工側もお客も
できる所まで引き上げようとするその真摯さはうれしかった。
トイレのクロスの床部分も私の要求に沿ったピッタリのもの。
その大きいサンプルまで用意してくれていた。
私がそれと決めたときだった。
全く同じ物が前もって準備されていたのである。
写真を撮り、それを眺めながらきっと時間をかけてくれたにちがいない。
その助言は、もしかしたらコーディネーターかもしれない。
その仕事ぶりには、若いのに大変優秀だと思わざるを得なかった。
時期的に福島という外れな場所に転勤になったKさんだが、そのハズレを
バネにして何周りも大きくなって成長できる気がした。
そんなうれしい人間に出会った気がしている。
私の古い鏡だが、まだまだ愛着があるので、トイレからではあるが、私の部屋に
戻そうと思っている。
最新の画像もっと見る
最近の「Weblog」カテゴリーもっと見る
最近の記事
カテゴリー
バックナンバー
人気記事