ホードラーという画家がスイス人であり、このような画風であることは全然知らなかった。
でも今までどこかでホードラーの青い服を着た立ち姿の女性の絵には何度か会っていたようにも思う。
生い立ちを調べ、ホードラーに触れてみるとなお一層親しみが湧いてくる。
今回、ベルン美術館に行くにあたり、1枚のプリントを皆さんに渡した。
ホードラーとクレー、アンカーの生い立ちと、ベルン美術館所蔵の代表的な作品群を書き留めてみた。
何をみたいかという思いを持ってみることで楽しめると思ったからである。
「わ~、学校みたいねえ・・」
とちょっと違和感
飛行時間が長いのでその辺は退屈を紛らわせてくれるだろとの計算済み。
結果、ベルン美術館はとても喜んでもらえた。
閑散とした美術館で悠々とたっぷりの時間をとってどの作品も鑑賞できた。
マチス好きの私は「青い服の女性」にも期待したが、今回はホードラーの「選ばれし者」に会うのがとても楽しみであった。
作品「昼」・「夜」もその他のホードラーの作品にも心打たれた。
両親や4人の兄弟を失いホードラーは32歳にして天涯孤独になる。
貧困や孤独に喘ぐホードラーの人生はしだいに神秘的、宗教的なものへと変化していったという。
40歳の時の作品「選ばれし者」の絵は全体に水色、横長の作品<219×296>である。
男の子一人が中央下部分に枯れ木の十字架を前にして座り天を仰いでいる。
そこには、6人の天使が手に花を持ったりして少年を見下ろす。
「あなたは生きていいのですよ」と少年を祝福している。
その少年は5歳のわが子、そしてホードラー自身を重ねたものであり、‘生’への祈りが深いテーマであると美術誌には書いてあった。
宗教的な作風を好んで描いたホードラーは15歳でスイス観光客用のアルプスの風景画を制作する工房に入った。
作品には花が散りばめられたり、背景に山々が描かれたりする。
時に世紀末画家たちをイメージさせる作風であったりもする。
Aさんは、海外旅行で美術館というのは今まで考えたことがなかったという。
今回のベルンも期待していなかったという。
むしろ、他の山を見る一日を削った結果のベルン美術館だったのでAさんに感謝されたことはうれしかった。
Aさんも「選ばれし者」の前でじっと時間を過ごした。
猫年さんも、医者の妻さんもベルンでの初日に感動してくれた。
Aさんは、ゆっくり鑑賞できる海外での美術館に感激していた。
ホードラーの作品の前でずっと動かない。
私はというと選ばれし者が強烈すぎ、他の作品が少しぼやけてしまった感がある。
が、時間を置いて冷静さを取り戻すと、目に浮かんでくるのはスイスという大自然の懐で生活している絵、キルヒナーの「アルプスの日曜日 泉で」が思い出される。
キルヒナーが精神を病み、スイスで療養している時の絵ということである。
残念だったのは、期待したクレーの作品が少なかったこと、ベルン美術館の職員に聞いてクレー美術館を訪ねても今回クレーに出会えなかったことが我々の中での一番の悔しさとなった。
きっとどこかでクレーに会えたとき、今まで関心すらなかったスイスを代表するクレーの絵に一味も二味も異なる何かを感じるに違いないと思っている。
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