a green hand

「だれですか?」




先日お天気が良いので友人のAさんが属する、花やしきに母と行った。
Aさんの家は歩いて15分ほどのところにある。

屋敷組で花を植え、20年ほど経った今、花見客で賑わうまでに成長していた。
コロナ騒動で今年は誰もいないかなと思いきやそうでもない。

三春線の両脇の屋敷沿いが花で溢れている。
「花やしき」である。

途中、といってもAさんの家あたり。
Sさんが半袖姿で草刈りに精を出していた。
それで、車の速度を落とし、「こんにちは〜」と挨拶をした。

草刈りの手を休め、Sさんが助手席側から「だれですか」と。
だれですかと聞かれたのはこれで2度目である。

初めての時に、Sさんに言われただれですかのエピソードをAさんと笑い合った。
「だから彼はモテないんだ」と、Aさん。

この「だれですか」は震災により、放射線量が多すぎて住めなくなった故郷を出て、古い家を買って住み始めて現在に至る「いい人」である。

Aさんとは畑が隣同士であり、今ではお馴染みなお隣さん。

数回、Aさんに誘われてタケノコやら蕗の薹を取りにSさんの畑や山に行き、話したことがある。

夢中で自然である友について話す笑った顔がいい人で、なんの警戒心も起こさせない。

初めて遠くで見たときは、高い杉の木に登って枝を下ろしていた。
眼を見張るか眼を疑うほどの印象だった。
暑い夏の日で多分Sさんは裸で作業をしていた。

まるで木登りの上手な生き物のようであり、木々も日々、裸へと化していくのである。

鬱蒼としていた家周りには光が入り、裏山は整備され、彼は一日中自然を友に暮らしていた。

先日の「だれですか」に私はうれしくなった。
さらにうれしいことがあった。

だれですかの後に「Kさんだっけ?」
「いいえMです」

Aさんに私の名前を教えられたのだろう。

「でも覚えなくていいですよ、だれですかでいいですから」
「そこにきたの?」Aさんの家を指差した。

「あ〜花見かぁ、ここに(Sさんの駐車場)車を置いて歩いて行った方がいい」

と言われたが、母も老体だし、私もぎっくり腰気味。
車で屋敷内を往復して帰って来た。

帰りも半袖で道路脇の草を刈っている姿が遠目に見えた。

ビデオで久しぶりに「プール」を観た。
主人公は、名前を間違えられた「きょうこさん」
なんだか楽しい気分になってきた。








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