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a green hand

ハルが帰る日・・

14日間の滞在を終えてハルは帰っていく。
今朝、桃のスムージーを作ってあげる。

友人やら知人から頂いて冷凍しておいた桃を利用する。

福島の桃は実に美味しい。

これは、同じ土の上で暮らすもの同士の味なのだろうか・・。
震災でわかった自然の恵みの尊さである。
野菜も果物も生まれ育った土地で収穫されたものが一番口に合う。

「自然」というおふくろの味なのかと思うことが度々である。

今まで有ったものがなくなったときに感じる「感謝」かもしれない。
生まれ育った家に帰られなくなった人々の暮らしは日常、口にするものから違ってしまった。



ハルの小学校最後の夏休みはかなり大変だと思う。
母親の入院という非常事態から学校の水遣り当番に行けなかったり部活の看板作り?を諦めたりしなければいけなくなった。

大人からすれば、水遣り当番がそんなにしたいのかと思うかもしれない。

水遣り当番ができないことで困ることが心の奥の方にあるのだろう。
入院中の母親ともめていた。

地域のお祭りに関する宿題もあった。
それには、何としても行くと・・。
ハルの中では最重要なことのようだ。

宿題の奥の方にあるハルの大切にしていることなのだろう。

母親が退院できなくてもお祭りの13日には、お父さんが母親の実家に迎えに来てくれることになったらしい。



行動しないハルが水遣りに参加したいがために、「お父さん」にメールをした。
二回目の水遣りの日にちを知りたいのだ。

お父さんは、家に帰ったらメールするからまっててねと返信してきた。

それからずっと携帯に張り付いて「お父さん」のメールを待っているハル。

返信が来るまでお風呂にも入らないという。

「今日わからなくたって別にいいじゃないの、お父さんにも都合があるのだから・・」
と言うが、あまり来ないので再びメールをしたという。

「紙が見つからないのですか」・・。

家に帰る途中だから待っててねと返信が10分ほどして来た。

ハルは少し安心してお風呂に入った。

その後待ちに待ったメール着信音、「21日だよ」と。

ハルの表情から不安な影が消えた。ハルは「ありがとうございました」と「おやすみなさい」というメールをお父さんに打った。

「はい、おやすみ」と返ってきたお父さんのメールを見せてくれた。



母親の一大事と息子の一大事である。

「ママが家にいないと何で僕が家に帰っちゃダメなの?」からスタートしたハルの「行動」である。
電車で帰っても二回目の水遣りには参加するというハルの気持ちが芽生えていた。


相当異なる一大事同士だが、こうして少しずつ大人になっていくのがいい。
大人になるのは遅くていい・・と思う私である。


今年の夏、メディア漬けの中にも読書のおもしろさが芽生えたことも記録しておこう。
ハルの読書ははシリーズで読むのが苦にならないのが羨ましい。〈漫画の影響か?〉

「ナルニア国ものがたり」である。
ハルらしい選択だ。

ハルの目標は「じいちゃん」らしい。
なるほど夫も「ナルニア国ものがたり」が好きだという。

私は全く読んでいない・・というより、物語が読めないのだ。


「ドリトル先生物語」を私からの誕生日のプレゼントにした。

「メディアもたくさん取り入れていいけど活字はそれ以上にね」の約束をしてみた。

「メディア<活字 」である。
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