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a green hand

仏壇に目をやった。

昨日まで、桃らしくあったその桃。

今年の福島の桃は桃として生きることが
出来ず可哀想だ。

しかし、目の前にある桃に手を伸ばさないわけには
いかない。

それ程に魅力がある。
友が畑から取ってきたという川中島という桃を
昨日の朝に持ってきてくれた。

立派な姿の桃に、数人の友に食べるかどうか聞き
2個ずつさし上げた。

皆、喜んでもらうと言った。

その日のうちに食べてあげることが
桃のためと思ったからだ。

全部なくなった。

仏壇の桃は腐っていた。
数日前に母がお供えしてそのままになっていた。

その桃はちょうど老いた女の肌に本当によく
似ていた。

こんなになるんだなあと思うと
急にその桃が哀しくみえてきた。
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