1992年の10月26日は、ドジャーズの球団職員だった
アイク・生原が死んだ日である。ところで、
今スィーズンのMLBナションル・・リーグのチャンピオンは、
同じくカリフォーニアに本拠を置き、ともに
1958年にNYから移転してきた
SFジャイアンツに決まった。そのジャイアンツを
1985年から1992年まで指揮してたのが、
元右腕投手のRoger Craig(ロジャー・クレイグ)である。
現役のとき、エクスパンション(球団拡張政策)で誕生したNYメッツに
1962年、いわゆる「拡張ドラフト」で移籍させられた。つまり、
NYメッツ創立メンバーのひとりである。当初は皮肉にも、
SFに移ったジャイアンツがNY時代に使用してた
ザ・ポウロウ・グラウンズ(いわゆるポロ・グランド)が本拠地だった。
40勝120敗という最悪のティーム成績だった。
クレイグ個人の成績も、10勝24敗である。が、
このクレイグの持ち玉だったのが、のちに、
"SFF(split-finger fastball)"
=スプリットフィンガー・ファストボール
=人差し指と中指を開いた握りの速球、
と呼ばれるようになる変化球だった。
いわゆる「フォークボール」の回転数の倍な、
スピードが速い代わりに落差が少なめな変化球である。
これをクレイグはアストロウズのピッチング・コウチ時代に
Mike Scott(マイク・スコット)に教えた。同右腕は、
NYメッツとヒューストン・アストロウズで1979年から1991年まで投げた。
ところで、クラ音において
"sff"といえば、スフォルツァティッスィモもしくはスフォルツァンド・フォルテ、
であり、それまでよりさらに強く奏することを要求してる
強弱記号である。
チャイコフスキーの「交響曲第6番」の第1楽章315小節にも、この
"sff"が附されてる。
ビゼーの「カルメン」の中でドン・ホセが歌う、いわゆる
「花の歌」の後半の節を引用したといわれてる、
甘くせつない、胸の奥からこみ上げてくる感情を誘う、
第2主題が再現された箇所である(5♯=ロ長調)。
主題の後半が一度奏され、
属音からクロマティカルに上昇させられて
→[incalzando(インカルツァンド=急きたてて)]
****♪ソーーー・>ファーー>ミ│ミーーー・>レーーー、・・<ファーーー・>ミーー>レ│
→[ritenuto(リテヌート=急減速して)]レーーー>ドーーー、・・♪
ときたその次、である。
オッブリガートを吹奏するホルン4管以外の、
和声を受け持つ楽器群が、この小節で
第1拍&第2拍:[h-dis(ド-ミ)]→
第3拍&第4拍:【eis-h-dis-gis(♯ファ-ド-ミ-ラ)】
と進行する。そして、この
【】の和音を奏する楽器群にチャイコフスキーは、
それまでの"fff"という強さの中で、ことさら
"sff"という強弱記号を附したのである。いっぽう、
この【】の和音は、
【eis-増4度-h-長3度-dis-完全4度-gis】となってる
(根音からはそれぞれ「増四度」「増六度」「増九度」)。つまり、
【トリスタン和音/Tristan Chord】
なのである。ここで、この【トリスタン和音】は、
ヴァーグナーのいわゆる「トリスタン和声」のように、
グズグズといつまでもひっぱる類のものではない。
次小節ですぐに主和音に「解決」する。チャイコフスキーの場合、
この【トリスタン和音】を使う箇所での、その【トリスタン和音】の
強烈なせつない響きの効果を求めてるのである。
チャイコフスキーはここで【トリスタン和音】を打ち据え、さらにそこに、
****●●ミー>・レー>ドーッ│
(>ソー>ミー・>ドー<ミー、・・<ラーーー・ーーー>ソ│ソーーー・ーーーー♪
と、[ミ>レ>ド]というこの主題の弾頭を重ね塗るのである。
万感胸に迫る音楽である。
アイク・生原が死んだ日である。ところで、
今スィーズンのMLBナションル・・リーグのチャンピオンは、
同じくカリフォーニアに本拠を置き、ともに
1958年にNYから移転してきた
SFジャイアンツに決まった。そのジャイアンツを
1985年から1992年まで指揮してたのが、
元右腕投手のRoger Craig(ロジャー・クレイグ)である。
現役のとき、エクスパンション(球団拡張政策)で誕生したNYメッツに
1962年、いわゆる「拡張ドラフト」で移籍させられた。つまり、
NYメッツ創立メンバーのひとりである。当初は皮肉にも、
SFに移ったジャイアンツがNY時代に使用してた
ザ・ポウロウ・グラウンズ(いわゆるポロ・グランド)が本拠地だった。
40勝120敗という最悪のティーム成績だった。
クレイグ個人の成績も、10勝24敗である。が、
このクレイグの持ち玉だったのが、のちに、
"SFF(split-finger fastball)"
=スプリットフィンガー・ファストボール
=人差し指と中指を開いた握りの速球、
と呼ばれるようになる変化球だった。
いわゆる「フォークボール」の回転数の倍な、
スピードが速い代わりに落差が少なめな変化球である。
これをクレイグはアストロウズのピッチング・コウチ時代に
Mike Scott(マイク・スコット)に教えた。同右腕は、
NYメッツとヒューストン・アストロウズで1979年から1991年まで投げた。
ところで、クラ音において
"sff"といえば、スフォルツァティッスィモもしくはスフォルツァンド・フォルテ、
であり、それまでよりさらに強く奏することを要求してる
強弱記号である。
チャイコフスキーの「交響曲第6番」の第1楽章315小節にも、この
"sff"が附されてる。
ビゼーの「カルメン」の中でドン・ホセが歌う、いわゆる
「花の歌」の後半の節を引用したといわれてる、
甘くせつない、胸の奥からこみ上げてくる感情を誘う、
第2主題が再現された箇所である(5♯=ロ長調)。
主題の後半が一度奏され、
属音からクロマティカルに上昇させられて
→[incalzando(インカルツァンド=急きたてて)]
****♪ソーーー・>ファーー>ミ│ミーーー・>レーーー、・・<ファーーー・>ミーー>レ│
→[ritenuto(リテヌート=急減速して)]レーーー>ドーーー、・・♪
ときたその次、である。
オッブリガートを吹奏するホルン4管以外の、
和声を受け持つ楽器群が、この小節で
第1拍&第2拍:[h-dis(ド-ミ)]→
第3拍&第4拍:【eis-h-dis-gis(♯ファ-ド-ミ-ラ)】
と進行する。そして、この
【】の和音を奏する楽器群にチャイコフスキーは、
それまでの"fff"という強さの中で、ことさら
"sff"という強弱記号を附したのである。いっぽう、
この【】の和音は、
【eis-増4度-h-長3度-dis-完全4度-gis】となってる
(根音からはそれぞれ「増四度」「増六度」「増九度」)。つまり、
【トリスタン和音/Tristan Chord】
なのである。ここで、この【トリスタン和音】は、
ヴァーグナーのいわゆる「トリスタン和声」のように、
グズグズといつまでもひっぱる類のものではない。
次小節ですぐに主和音に「解決」する。チャイコフスキーの場合、
この【トリスタン和音】を使う箇所での、その【トリスタン和音】の
強烈なせつない響きの効果を求めてるのである。
チャイコフスキーはここで【トリスタン和音】を打ち据え、さらにそこに、
****●●ミー>・レー>ドーッ│
(>ソー>ミー・>ドー<ミー、・・<ラーーー・ーーー>ソ│ソーーー・ーーーー♪
と、[ミ>レ>ド]というこの主題の弾頭を重ね塗るのである。
万感胸に迫る音楽である。
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