チャイコフスキー庵 Tchaikovskian

有性生殖生物の定めなる必要死、高知能生物たるヒトのパッション(音楽・お修辞・エンタメ・苦楽・群・遺伝子)。

「著作権における戦時加算/100年後の不平等条約と平成の陸奥宗光待望」

2011年08月16日 00時22分39秒 | 歴史ーランド・邪図

著作権 戦時加算


臓物類とキムチや朝鮮冷麺が入り込んでくる朝鮮式のいわゆる
"焼肉"が嫌いな私にはCM主自体には興味はないが、
<<牛角では8月1日より、国産牛肉の全頭検査を始めました>>
というTVCMで男声が歌ってるのが耳につく。節は、
スィルギェーィ・ヴァスィーリイェヴィチ・ラフマーニナフ、いわゆる
ラフマニノフの「交響曲第2番」第3楽章アダージョ冒頭で
vnプリーモによって弾かれる、
[Adagio、4/4拍子、3♯(イ長調)]
***♪●ド・<ミ<ソ│<シ<ド・>ラー・・ー、>シ・<レ<ファ│
  <ラ<シ・>ソー・・>ー、>ラ<ド<ミ│
  <ソ<ラ・>ファー・・ー>ミ・>レー│ー<ミ・>ドー・ーー♪
という前駆主題にほぼ同じである。
ラフマニノフの著作権は日本においても消滅してるので、
別に問題はない。いっぽう、ラフマニノフとは無関係の
"オリジナル"といえばただ物笑いになるだけである。

ロシア人ラフマニノフは1943年3月28日にメラノーマがもとで
米国ビヴァリー・ヒルズで死亡した。通常、
日本では著作権は著作権者が死亡した翌年から
50年間保護される。が、ラフマニノフは
1818年に米国に亡命した。ラフマニノフの「交響曲第2番」は
1907年に完成され(1952年4月27日以前に作られた)、
作曲者ラフマニノフは(日本が保護義務を負ってた)連合国の一員
米国の国籍を持ってたので、
日本ではその著作権は戦時加算された。
対連合国敗戦国日本においては、
そのように戦時中(と戦争終結の講和条約が有効になる日まで)に
連合国の国民の著作権を保護する義務を怠った、として
戦時加算を科せられるため、
作曲者の死亡翌年(1月1日)から起算して50年+3794日、
が著作権で保護されてる。現実的には
「敵性著作物」を勝手放題に使うなど
ありえなかったのに、である。日本は1858年に、
「治外法権容認」「関税自主権なし」「片務的最恵国待遇(米国のみ)」
という不平等条約である「修好通商条約」を
米英仏蘭露と締結することを余儀なくされた。
この「著作権への戦時加算」は100年後の"不平等条約"である。

ちなみに、
加算される3794日という奇妙な数字は、
開戦の1941年12月8日から
SF講和条約が発効された1952年4月28日の前日までの日数分である。
詳らかにいえば、1941年12月の24日分、1942年から1951年までの3652日分
(1944年、1948年の各2月29日を含む)、1952年の
1月の31日分、2月の29日分、3月の31日分、そして4月の27日分、である。
(24+3652+31+29+31+27=3794)
逆にいえば、
日本におけるラフマニノフの著作権は、2004年5月22日24時0分を以って消滅した。
死亡年の翌年1944年1月1日から1993年の12月31日までの50年
+1994年1月1日以降の3794日……この3794日分を詳らかに記せば、
1996年の2月29日を含めて1994年から2003年までの3651日、
2004年の1月の31日分、2月の29日分、3月の31日分、4月の30日分、
そして、5月の22日分、である。
(3651+31+29+31+30+22=3794)

かつて、
ラフマニノフの「ヴォカリース」が韓流TVドラマ「冬のソナタ」において使われてた。
著作権に無頓着な韓国ではどうなのかは知らないが、
NHKによって「冬のソナタ」が日本で放映されたのは、
2003年乃至2004年のことである。このとき、
まだラフマニノフの著作権は日本では保護されなければならなかった。
NHKがどうしてたのかは知らないが、
上記のようにラフマニノフの著作権保護義務が日本で解けたのは、
2004年5月23日以降である。そういえば、
その10年前の1994年の10月からのワン・クール、フジTVが
月9で放映したドラマ「妹よ」で、
上記のラフマニノフの「交響曲第2番」がテーマ音楽のように扱われてた。
ラーザレフ指揮ボリショイ交響楽団(ボリショイ劇場管のコンサート用名)の
音源を使ってたらしい。演奏者やレコード会社への
著作隣接権は支払ってたのだろうが、著作権自体はどうだったのか。
このときちょうどラフマニノフの死後50年が経った半年後だったので、
「戦時加算を知らないで著作権が切れたと勘違いしてるんじゃないか?」
という話をクラ音の話ができる仲間とした覚えがある。

さて、
上記ラフマニノフの「交響曲第2番」第3楽章の前駆主題であるが、
それとほぼ同時期に作曲された歌曲集「12のロマンス」(op.21)の第7曲で、
奥さんに献呈された、
"Здесь хорошо(ジヂェーシ・ハラショー/邦題=ここはすばらしい)"は、
[Moderaro、4/4拍子、3♯(イ長調)]
***♪●ミ・<ソ<シ│>ラー・ーー・・●、>ミ・<ソー│
  ー、>ミ・<ファ>ミ・・ミ、>レ・<ファ<ラ│
  >レー・ーー・・●>シ・<レ<ミ♪
という主題と似てる。ちなみに、
せっかくイケメンなのにあとひと味薄いのがとっても残念な俳優
Alex O'Loughlin(アレックス・オロウクラン)主演でリメイクされた
"Hawaii Five-O"のテーマ曲(モートン・スティーヴンズ"作曲")は、
***♪●●・ミミ・・ソ<シ・ー>ラ│ーー・ー>ミ・・ーー・ーー♪
である。
「ハワイよいとこ、一度はおいで。アリゾナもあればミズーリもあるよ」
という感じである。

ところで、
最近は知的財産権やプライヴァスィに関する法律について
ずいぶんとやかましくなってきた。ところが、いまだに
ブログその他に自撮りした背景に無関係な一般人も写ってる写真を
何のためらいもなく載せてるタレントさんがいる。でもこれは、
ことによってはその人たちの人格権を著しく侵害してることになるのだが、
そういうことにまったく無神経もしくは無知なタレントさん(と所属事務所)は多い。
意識レヴェルの低さにあきれる。
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