こんにちは、司法書士・ペット相続士の金城です。
交通事故で、ペットが自動車にはねられて死んだ場合、自動車の運転者が強制加入させられている自賠責保険から、保険金が支払われることはありません。自賠責保険の補償対象に「物損」は含まれず、人を死亡させたりケガを負わせた場合が補償対象になるためです。
以前のブログでも紹介しましたが、残念ながら、日本の法律ではペットは「物」として扱われてしまうため、交通事故ではペットは「物損」ということになり、自賠責保険では補償されないことになります。
家族同然に大切にしているペットが「物」として扱われることに、憤りを覚える飼主の方も多いことと思いますが、残念なことに日本の法律ではそのように規定されています。
ただし、自動車の運転者が任意保険に加入していた場合は、任意保険で「物損」としての補償対象にはなります。しかし、「物損」としての補償にしかならないため、人が交通事故の被害者になった場合の補償額に比べると遥かに低い額(數万円~数十万円)になります。
なお、裁判になったケースですが、トラックにはねられて死んだ盲導犬の事例では、盲導犬育成費に多額の費用(約600万円)が掛かることを考慮して、物損として294万円の損害賠償の支払いを命じた裁判例があります。
上記の裁判例のように、ペットが自動車保険の補償対象になるかどうかとは別に、加害者に対して損害賠償を求めることはできます。
ペットの物損額(時価)は、原則として、中古車市場における同等車両の販売価格を算定する場合と同様に算定します。時価というのは「今売却したら、いくらで売れるか?」という金額です。
たとえば、30万円で購入した直後のペットが交通事故で死亡した場合には、30万円に近い時価となりますが、ペット購入後の年数が経過していると、時価は低下します。余命が短い 老いたペットの場合は、時価はほぼゼロということも有り得ます。
上記のペットの物損とは別に、交通事故によりペットが死傷した場合、裁判で、飼主の慰謝料が認められるケースが増えています。ひと昔前は、慰謝料として数万円程度しか認められないのが普通でした。
ただ最近は裁判官も「ペットは家族」という考え方をするようになり、慰謝料が高額化する傾向にあります。現在では10万円~50万円の慰謝料が認められることも珍しくなくなってきています。裁判例の流れからして、今後、ペットが死傷した場合の慰謝料はさらに高額化していくはずです。
なお、法律家の間では「裁判官の当たり外れ」という文句が使われますが、動物好きで、ペットを飼っている裁判官に当たった場合は、ペットを殺傷された飼主の気持ちが分かるだけに、高額の慰謝料が認められる可能性は高くなると考えられます。
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