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司法書士が書くペット信託ブログ

動物愛護団体等に遺贈する場合の注意点

こんにちは、司法書士・ペット相続士の金城です。

ペットの飼主には動物好きの方が多いと思います。動物好きの方が、仮に「遺産のすべてをA動物愛護団体へ遺贈する」という内容の遺言書を残した場合、どのような問題が生じるでしょうか。

民法第1046条1項では次のように規定されています。

『遺留分権利者及びその承継人は、受遺者(特定財産承継遺言により財産を承継し又は相続分の指定を受けた相続人を含む。以下この章において同じ。)又は受贈者に対し、遺留分侵害額に相当する金銭の支払を請求することができる。』

相続人が遺留分侵害額に相当する金銭の支払を請求することを「遺留分侵害額請求」といいます。

以上のとおり、遺産について、相続人の最低限の取り分(「遺留分」といいます)が法律により定められていて、相続人は、遺留分が侵害されている場合は、遺留分に相当する金銭を受遺者から取り戻すことができます。

遺留分が規定されている理由は、残された相続人の権利や生活への配慮からです。

遺留分という制度があるため、相続人の遺留分を超えて第三者に遺贈する内容の遺言書を残すと、もめ事の原因になります。この事例では、A動物愛護団体が遺留分侵害額請求を受ける可能性があり、最悪の場合は訴訟に巻き込まれる危険性も生じます。

ですので、相続人の遺留分にきちんと配慮したうえで遺言書を作成する必要があります。

なお、相続人が遺留分の権利を行使するか放棄するかは、相続人の自由に任されています。遺言者が、「遺産のすべてをA動物愛護団体へ遺贈する」という遺言の内容を相続人に伝え、相続人全員が十分に納得している場合は、遺留分侵害額請求をすることはないでしょうから、遺留分の考慮はしなくてもよいでしょう。

 遺留分の権利があるのは、遺言者の配偶者と子供(すでに子供が亡くなっている場合は孫)および親です。遺言者の兄弟姉妹には遺留分の権利がありません。ですので、遺言者の兄弟姉妹のみが相続人になる場合は、遺留分を考慮する必要はありません。

遺留分の割合は、通常は遺言者の全遺産の2分の1ですので、このケースで具体的に説明します。

仮に、遺言者の遺産となる財産総額が1000万円であった場合、遺留分は500万円になりますので、その500万円分は相続人に相続させ、残りの500万円分をA動物愛護団体に遺贈すれば、A動物愛護団体が遺留分侵害額請求を受ける可能性を排除できます。

なお、遺言者の有する財産が預金や金銭だけなら財産額の算定は容易ですが、財産に不動産や株式等が含まれている場合は、税理士や公認会計士に相談して、遺産の総額はいくらになるのかを確認する必要があります。

次回のブログでは、ウサギが裁判を起こした!?を紹介します。

 

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