こんにちは、司法書士・ペット相続士の金城です。
負担付遺贈とは、ペットの飼主が亡くなった場合に備えて、ペットの生命を守る方法のひとつです。
遺言を残すことにより、ペットの世話をしてくれることを条件として、家族や友人・知人等に自身の財産を贈与(遺贈)することをいいます。
例えば、「ペットのタロウが天寿をまっとうするまで世話をしてくれる代わりに、金200万円を遺贈する」というような遺言を残す方法です。
負担付遺贈の場合、受遺者(財産をもらう人のこと)は、遺言者が死亡した後いつでも、遺贈そのものを放棄することができます(民法第986条)。
受遺者が遺贈を放棄すると、当然ながらペットの世話をするという義務を果たす責任も無くなります。
ですので、遺贈を放棄されないよう、受遺者に断りなく遺言を残すのではなく、生前に受遺者となる人に自身の意向を伝え、受遺者の了承を得ておくほうが安心です。
もし負担付き遺贈の受遺者がペットの世話をしない場合はどうなるでしょうか。
その場合は、亡き飼主の相続人は、その負担付遺贈にかかる遺言の取消しを家庭裁判所に対して請求することができます(民法第1027条)。
取消の請求により遺言が取り消されると、遺贈はなかったものとされ、ペットのために残された財産は、相続人のものになります。
ただ、相続人に財産が戻ったとしても、誰がペットの世話をするのかという問題が残ったままとなります。
負担付遺贈の効力が生じた時点では、飼主は死亡しているため、ペットがきちんと世話されているのか、自身で確認することができません。
また、負担付遺贈に関する遺言を取り消すためには、飼主の相続人が家庭裁判所に対して請求する必要があり、大変な手間が掛かります。
ですので、負担付遺贈を行なう場合は、財産をあげるその人が、間違いなくペットの世話をしてくれる、全幅の信頼を置ける人であることが前提条件となります。
なお、負担付遺贈にかかる遺言に遺言執行者を付けたとしても、相続人全員が遺言に反する内容で協議して合意した場合は、ペットのための負担付遺贈を実現できなくなる可能性があります。
そこで、飼主の遺志を確実に実現したい場合は、次回のブログで紹介する負担付死因贈与のほうが安心と言えます。
ペットの行く末や相続の事でお悩みの方は下記HPをご覧ください
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