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一霊四魂とは その2

古神道入門 ーー神ながらの伝統ーー 小林美元(著)より抜粋掲載


この神道霊学というのをもう少し広い視点で見ると、インドやチベットなど環太平洋の伝承、あるいは、マハリシ・べーダ研究所の超越瞑想などにしても、みなこの鎮魂法の亜流のように思われます。神道霊学では、この地球上に人が存在した当初から、人間には一霊四魂が与えられていると説きます。では、一霊とは何かと言うと、最も尊い大自然の秩序を保ち、法則を動かしている宇宙の神霊、今風に言いますと宇宙生命というものからいただいたのが一霊です。一霊を直霊(なほひ)と称していますが、この直霊というのは、神様と同格で大自然の宇宙の真実に合致する霊魂(みたま)であるということです。その分け霊魂として、人には一柱ずつ直霊をいただいている。

直霊(なおひ)の働きというのは最も内なるもので、外へ働くときは、四つの働きをします。四つの働きを外部から見て、荒魂(あらみたま)、和魂(にぎみたま)、幸魂(さきみたま)、奇魂(くしみたま)の四段階の働きを言います。

内なる生命が外に現れる、例えば、冬、雪が降る中で根を養った梅の木が枯れたように見えていても春一月か二月になりますと、内なる生命が外に花を咲かせる。雪の降る中で凛然と一輪、一輪と花を咲かせていく梅の内なる生命が外へ現れる、その働きが荒魂の働きです。植物のみならず動物にも人間にもこれが言えるわけで、内なる生命が外に働き、外に生命の力が現れる、その働きを荒魂(あらみたま)の働きという。これが三次元の肉体となります。

和魂(にぎみたま)とは、親子や兄弟が仲良くするとか、友だち同士や地域の者同士が意気投合するとか、そのように個別の白体を超えて調和慈育する働きをいいます。例えば、鶏にしても、自分が生んだ卵を二十一日間、しっかりと飲まず食わずで育んで自分の懐で温めて雛にかえす。その雛をあらゆる危難から守って大きく育ててゆきます。その和魂の働きによって、RNAやDNAという遺伝子が子々孫々につながれていく。このような形で和魂の働きとDNAの働きというのはだいたい似通ったものがあって、人間の生理学とも相似象の働きをするわけです。

和魂の奥に幸魂という働きがあります。例えば、一本の桜の木に万梁の桜が花を開く。ことわけ一つのものを理解(ことわけ)してたくさんの要素に別れ開けてゆく。ここに弥栄(いやさか)があります。これは、植物も鉱物もそうですし、人問にもはっきりと幸魂の働きというのがわかるわけです。

奇魂の働きを簡単に言いますと、生命の根源への奇(くし)びな働きということです。表面の人間の体の中でも、別に指図をしなくても白律神経や交感神経、副交感神経、このような神経系が働いて白然にバランスのとれた人体がある。夜寝るときにスイッチを入れなくても呼吸は続いて行われる。心臓の働きも休むことなく働いている。その他五臓六肺の働きも全てこの奇魂の働きによって自動的に行われている。

もっともっと絶妙で神秘な宇宙から比べると小さな体ですが、こういう人の生理現象にでも奇魂の働きが顕示され、さらに、火災がおこる家屋に住まっているネズミが三日前にはその火災を予知してよその家に逃げて行くとか、あるいは蜂が春に巣作りをするときに、必ず風の弱いところや当たらないところに巣を作るというように、半年も先の台風を予知する能力を持っています。また、何キロも遠く離れていても、そこに餌があると、一匹の蜂が親元である巣に連絡すると一挙に働き蜂がそこへ集合する。ことに、人間は、神を、さらに、宇宙生命の根源まで覚り得ます。こういう働きは、すべて奇魂の働きなんですね。

荒魂と和魂と幸魂と奇魂、この四魂は直霊という宇宙生命に統合され、四つの魂の働きをすべてコントロールされています。これが「一霊四魂」というものです。

続く

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