「みて!」
呼ばれた気がして
振り向く
まだ 地面には
昨夜の雪が 残っている
とても 冷たい朝だ
「どう みて」 まだ 何もない桜の木が ふわっと立っている
桜の木は 「ふふ」 と微笑む
桜色のベールを 私に見せているのだ ああ もう春なんだね と
私は うなづき ちょっと立ち止まる
早春の桜の木は なんとなく 桜色を木の肌の下で
もうちょいだぜ あたくしの 晴れ舞台 待ってろよぉ と
気合がにじみ出て 桜色を 底光りさせているように 見えるのだ
花の季節よりも 神々しい感じがして 早春の裸桜が
石橋は 好きなのだ 足元には 水洗 あれ?!
水仙も 芽吹いている 緑は 時々 話しかけてくるのだ
花には 水を 妻には 愛を そして 石橋には・・・
カラカラの冬の涙・・・
こぼれて 緑の葉とならん・・・