クリスマスイブ

メリークリスマス

イブの思い出をと考えましたが、ロマンチックな思い出は何も浮かびません。

仕方がないので子供の頃のブルーなイブのお話しをします。

私の実家はスキー製造と販売をしていました。

年の瀬はボーナスが出た後のかき入れ時と初売りの段取りと忙しい時期でした。

仕事は居間にレールを切った鉄の台等を持ち込んで家族みんなでします。

ある者は豚皮や牛皮を一定の幅にマット切りで何本も切ります。

それにポンチで穴を空け金具を入れてヒュームで留めます。

出来た革ベルトはスキー金具に取り付けます。

その他に竹の輪に細い皮を巻いていきストックの輪っかを作ります。

ストックの先は木に空けた穴に竹の先を焼いて押し込み先の金具に合わせます。

大人達がその様な仕事をしている時に小さかった私は一人で遊びます。

当時、私は蓄音機でレコードを聴いていました。

その時のレコードは恐らく家の人間が買ってくれたのではないと思います。（とても素敵な品だから）

普通のレコードは２８ｃｍ位の黒い物でした。

ところがその時私が聞いていたのは２０ｃｍ位の大きさで色が付いていてＡ面は

赤い色をバックに緑色のツリーの前で子供が二人遊んでいる姿が描かれていました。

Ｂ面は黄色のバックになっていました。絵は忘れました。

ジングルベル等４曲入っていました。

その傍で大人達が金槌を使ってどんどん音をたてて仕事をしています。

そんな時の事です。どんと音がしたかと思ったら音楽が途中で途切れ

針が流れていきました。レコードの面を見るとはっきりと穴が開いていて

とても悲しかったことを思い出します。

次の年もレコードを出して聞きますが穴の部分に来るとガツンと言ってから

針がスーと流れていきます。

そして毎年クリスマスの悲しい思い出になっています。