植物のふしぎ

植物をはじめ、生物のふしぎな生態をレポートします。
🌷ガーデニング・家庭菜園・草花と自然🌷

ポインセチア・花の構造

2024年12月31日 | 園芸

2024年も最終日を迎えましたね。今年、新規にブログを始めてみたものの最後の方はサボり気味に。来年こそは・・と言いたいところですが、環境が変わる予定、というより変えるつもりなのでもしかしたら頻繁に投稿できないかも。

 今年最後の投稿は、遅まきながらポインセチア(トウダイグサ科トウダイグサ属)です。12月の花といえばポインセチアなのですが、これは、赤と緑がクリスマスカラーだから。原産はメキシコ〜中米で暑い所の植物。寒さに強いから冬に売り出されるわけではないのですね。寒さが厳しい地域では冬越しさせるのも一苦労。10度以上の温度を保つ必要があって室内は必須です。

クリスマス関連植物だからとその近くに買おうと思っても良い株を手に入れるのは難しくなります。この植物、赤い苞は長い期間楽しめても花が落ちるのは比較的早いようなので購入時には注意が必要です。

苞の中央に集まっている花を拡大して見てみると・・

唇の間からべ〜っと水滴を吐き出しているように見えます。これは何?花を頭に乗せたキャラクターの はなかっぱ?

その一つを切り離して縦断面にしてみたところ・・

かっぱの口のように見えたところは、深めの壺のようになっており、そこにたっぷりと蜜が貯められていました。水滴のようなものは溢れた蜜だったのです。ということで、この壺は蜜腺。そして、雄花がいくつか密集してそれぞれから黄色いモサモサとした雄しべが生えていました。上の写真で断面にしたのは一つの花ではなく、幾つかの雄花と蜜腺が集合した花序、杯状花序なのでした。

 


雌花はどこにあるのか?と疑問に思って幾つものお店で観察してみたのですが、雌花がついているポインセチアは見つけられませんでした。

そこで参考までに、トウダイグサ科トウダイグサ属のタカトウダイの花序の写真を載せておきます。こちらは木本のポインセチアとは異なり草本です。

7月上旬長野県で撮った野生のタカトウダイ。

中央のオレンジ色の部分が腺体で蜜を分泌しています。腺体の根元部分に雄花が集合して雄しべが出ています。そこからコロンとした子房が外に垂れ下がっています。ということで、これが雌花ということ。トウダイグサ科の雌花は、雄花群よりも長く伸び、熟すと子房が垂れ下がる特徴があるようです。なので、ポインセチアの雌花も雄花群よりも長く外に突き出るように伸びてくるはずです。

タカトウダイの咲き始め頃の花序を横から見たところ・・

中央の小さいオレンジの花びらのように見えるのは蜜を出す腺体。中央から上に突き出たのは、先が2裂した3本の花柱です。それから中央から3方向に苞葉に包まれた花序が伸びています。

アブの仲間が腺体の蜜をなめに来ていました。蜜が出る場所は花の奥深くではないので、口の短いハエやアブ、アリの仲間が訪花するようです。

ポインセチアの場合、苞葉が赤く色づいています。このことから赤色を認識できるポリネーターにアピールしているのは間違いないです。鳥か蝶かなのですが、蜜が浅いところにあることからアピールしているポリネーターは鳥なのでしょうね。メキシコ〜中央アメリカはハチドリの生息地でもあります。


【まとめ】

  1. ポインセチアはクリスマス関連で販売されるが、寒さに強いわけではないので10度以上の温度を保つことが重要
  2. 花が落ちるのは比較的早め 店頭での販売はクリスマスに向けて早めに始まるので購入も早めにしたほうがよい
  3. トウダイグサ科であるポインセチアは、蜜腺と雄花が集合した杯状花序となる
  4. 蜜腺は深い壺状になり外に溢れるほど多くの蜜を貯めている
  5. なぜか、雌花が伸び出したポインセチアを店頭で見ることは難しい(2024年店頭で観察)
  6. 苞葉が赤くなることから赤色を認識できるポリネーター、例えばハチドリにアピールしていると推測される
  7. 最近は品種改良がすすみ、色だけでなく葉の形でもバリエーションが豊富になってきた
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ガガイモとヘクソカズラの実とタネ

2024年12月15日 | 野草・山野草

以前報告したヘクソカズラとガガイモの続報です。今回は実とタネについて。

  以前の投稿: ガガイモの花・ふしぎな構造とは? 花の構造・ヘクソカズラ ヘクソカズラとガガイモ

12月上旬に以前観察した公園を再度訪問しガガイモとヘクソカズラの様子を見てきました。両者が生育していた植え込みは綺麗に刈り込まれていましたが、幸い少しだけ絡みついて実が残っていたので取ってきました。公園に生える雑草なので採取も問題なしと判断。

まずはガガイモから・・

ガガイモは以前に報告したような受粉形態なので実ができているか心配しましたが無事に採取できました。ガガイモの実は袋果といいます。写真のような独特の形をしています。右側の丸みを帯びた方に茎に接続していました。この時期の実の表面はイボイボでが変色して汚らしいです。袋状の果実の中には絹糸のように艶やかで触り心地がふわふわな種髪が入っています。タネは扁平で楕円形〜三角のおむすび型をしています。この実を裏返してみると・・

種髪がわかりやすいように黒バックで撮影しました。ご覧のように袋果の中にタネが整然と並んでおり、種髪はタネの尖った方の先端に着いているのがわかります。タネを拡大して見てみると・・

このように茶色が濃い部分のタネの周りに翼がついていることがわかります。まるでユリのタネのようです。種髪だけでなくタネに翼を付けることで風で遠くまで運ばれたいという強い意志を感じます。


次にヘクソカズラの黄褐色の実は金色にも見えるので いけばなやクリスマスリースなどにも利用されることがあります。ガガイモの袋果に対してこちらは核果といいます。

採取した実は表皮がカサカサしていたので剥いてタネを取り出そうとしました。が、実の中はまだグジュグジュに湿っており黄色い汁で手が汚れました。それもそのはず、核果とは桃のような実のこと。水分の多い多肉質の中果皮が残っていたということです。図鑑には実の中にはタネが2個入っていると書いてありましたが取り出したタネは、いずれも一つの実に1個のようでした。なぜでしょう?それを並べたのが上の写真の右下に写っている物体。形や大きさが様々。タネはまだ柔らかみが残った感じはありました。はたしてこのタネで来年発芽するかどうか・・


【今後の予定】

  1. ガガイモの種髪で何かハンドクラフトというかインテリア雑貨できないかなぁと思案中
  2. 来春ヘクソカズラを鉢で発芽させて回旋運動の観察でもしてみようかな。
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冬生育型の多肉植物・リトープス

2024年12月14日 | 園芸

先日リトープスを買い求めました。これまで春秋生育型の多肉植物は何品種も育ててきて自信あるのですが、リトープスが属する冬生育型を育てるのは全くの初めてなのです。やや不安。

リトープスはコロンとした物体の真ん中に割れ目ができたような形をしています。これまた植物の概念を覆すような形です。上から見ると気孔細胞のような形と言えるかもしれません。自生地は南アフリカやナミビアあたりの砂漠地帯で岩や小石に囲まれて生きているそうです。乾燥地帯に生きる植物として進化したといっていいでしょう。すなわち水分保持の観点から葉を無くし丸みを帯びた形状に。そして、植物の少ない土地で動物に喰われないためには、小石と見分けがつかないような外見になる必要があるということ。昆虫でよく見られる擬態をしているということですね。上の写真の状態で売られていたのですが、ナチュラルさを追求するなら植物体と似たような色合いの小石に紛れさせて植え付けるといいのかもしれません。おしゃれにディッシュガーデンにしたいと思ったのですが直根性なんだそう。うまくいかないかもです。

それからこの植物のおもしろい特徴として脱皮をするということが挙げられます。擬態だけでなく脱皮するっていうのも昆虫っぽくておもしろいですよね。さらに魅力を付け加えるなら色鮮やかで綺麗な花を咲かせるのですよ。今後どうなっていくのかどんな花が咲くのか楽しみです。品種もいろいろなので凝り出したら深みにハマりそうな予感。


【今後の予定】

  1. 第一には冬生育型を枯らさずに栽培すること。まずは無事に冬を越したい
  2. 脱皮と開花をさせてみたい
  3. 植物体に合う色合いの小石で植えてみたい
  4. 無事に栽培できたら数品種を集めてみたい
  5. 気孔みたいな形のリトープスの気孔はどうなっているのか見てみたい
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帯化したガーベラ

2024年12月13日 | 植物の生態

店頭に並んでいたガーベラが帯化していました。帯化とは植物の奇形の一種です。見た目が下の写真のようで売れ残り気味だったのかもしれません。もっと色鮮やかで花の大きなガーベラも売ってはいたのですが、変わったもの好きなわたしとしては ついこちらを選んでしまったという・・

正常な花が3個くっついたようになって「L字型」に見えます。帯化したものはピンクの花弁ですが、次に上がってきた花は白でした。色変わりする品種でもあるのでしょうか?その点も興味深いところです。

茎と萼の様子。写真右の正常なものに比べて茎も太め。花がL字型だから、がくもそれに応じて三角錐を逆さにしたような形になっていました。この性質は2番目に上がってきた花が正常だったことから遺伝的に決まっているわけではないということ。帯化は成長点の分裂に異常が出ることで発生するとされていて、その原因はさまざまあるようです。微生物が原因のこともあれば害虫による食害が帯化を引き起こすこともあるそうです。ネット上の情報では、ガーベラの帯化はしばしば見られるといいます。ガーベラ特有の原因って何なのでしょうか?品種によっても起こりやすさに違いがあるみたいですが、よく分かりませんでした。


園芸植物だけでなく野草でも帯化は起きるのでその紹介・・

これはメドハギといいます。マメ科ハギ属の多年草です。この写真でど〜んと横に伸びているのが帯化したメドハギです。それ以外のほっそりとした茎を持ったものが正常のものです。この写真は10月中旬の撮影で花はほとんど終わっていました。

帯状の茎にポツポツついているのはまだ若い豆果です。同じマメ科でエニシダ属のエニシダでは帯化したものをいけばなに使うそうですよ。いけばな界隈では帯化のことを石化(せっか)といっているようです。


帯化の原因が、他の生物による刺激だけということであれば形質が維持されることはないはずです。しかし、多肉植物のゴーラム花月(カゲツ)の帯化した品種として確立されているようなので、帯化の原因は植物側にもあり得るということでしょうね。それが何なのかは知りませんけれども・・。多肉植物やサボテン界では帯化のことを綴化(てっか) と言っているようです。

花月は「金のなる木」という名でも知られており正式な和名はフチベニベンケイだそうです。葉っぱの縁が赤く色づくからその和名になったのですね。ゴーラムでもその性質が受け継がれており、写真のように縁が赤くなります。花月の大株では花が咲くこともあるからゴーラムも大きく育てれば咲くのかな。咲かせてみたいな。

ゴーラムの独特な特徴は、というと葉の形。スプーンの先のような・・あるいは、ホーンのような とも言えるかな。あのパフパフっていう楽器の・・。地球上の植物にしてはあまりにも奇妙な形なので「宇宙の木」と呼ばれることもあります。この写真の鉢に宇宙人のフィギュアを置いたらおもしろいマン盆栽(注)になりそう。

注:マン盆栽は小さなフィギュアを添えた盆栽の一種でマンボミュージシャンのパラダイス山元氏が発案。マン(人・フィギュア)と盆栽を併せてマンボで言葉遊び。


【まとめ】

  1. 帯化とは、植物の奇形の一つで、茎や花が複数くっついて成長したような外見で帯状になること
  2. 帯化は植物の成長点の分裂に異常が生じることで起こるとされている
  3. 原因としては、微生物の感染や害虫の食害が挙げられる。その他、植物側にも帯化を起こす原因が形質として保持されることがある
  4. 一般には帯化と言われているが、サボテンや多肉植物方面では綴化、いけばな方面では石化と言われることが多く帯化に価値が見出されている場合もある
  5. 帯化は見た感じが正常とはかけ離れているので気色悪いのは否めない

【結論】

気色悪いと感じる人がいる一方、帯化に価値を見出す人もいる。だから他と違っていても気にすることはない。価値を分かってくれる人が必ずいるのだから。みんなちがって、みんないい。


【今後の予定】

  1. 今回ガーベラの購入株が色変わり品種なのかを見定める
  2. ゴーラムに花を咲かせる(そうとう先のことになりそう)
  3. 宇宙人のフィギュアを手に入れてゴーラムの横に立たせてみたい
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蕪の収穫・木曽紫かぶ

2024年11月30日 | 家庭菜園

今年は、「木曽紫かぶ」の1品種だけを育てました。

鮮やかな赤紫色をしています。タネの袋に書かれていた特徴は、

  1. カブの肉質は密で比較的かため
  2. カブは酢漬け、ぬか漬けに。茎葉も漬物に

だそうです。昨日報告した大根の「紅くるり」との比較・・

紅くるりの色は真紅。木曽紫かぶは、色の名前でいうと葡萄染(えびぞめ)に近いかな。この紫色は平安時代の宮廷でも好まれて高貴な色です。現在では葡萄の漢字は果物の「ぶどう」に当てられています。

断面はというと

木曽紫かぶは、紅くるりと違って中心部分には色がつきません。食べ方や調理の方法について。上記通りにタネ袋では漬物推しとなっています。ただ、色素がアントシアニンだから酢漬けにすると真っ赤になってしまうのですよ。せっかくの高貴な色が台無しに。加熱したら色は薄く青色方向に偏りました。この高貴な色をそのままに調理する方法はないかなぁと探っている最中です。そのまま食べるとボソボソでおいしくない。極薄にスライスして油分多めのドレッシングを和えればなんとかなりそうかな。今年タネを切らして作らなかった「スワン」は肉質が柔らかくおいしいし栽培もしやすいです。色物ではない蕪を栽培するのならスワンをお勧めします。

蕪と大根の違いについて。蕪は胚軸の部分が肥大し、そこが食べる部分です。写真にあるねずみのしっぽのようなところは根です。一方、紅くるりは大根であり、「ねずみの尻尾」(写真では尻尾を除去してあります)はもちろん、その上部も根に当たります。大根は根と共に胚軸も肥大して一体化しますが、根には側根が出た痕跡があるので区別できます。例えば青首大根の緑色で側根の窪みが無いところは胚軸になります。

ちなみに、蕪の「ネズミの尻尾」を食べると大根みたいな味で辛いですよ。

種子においても蕪と大根の違いが見られます。

左から順に、蕪「木曽紫かぶ」・二十日大根「コメット」・ミニ大根「紅くるり」・青首大根「源光」

タネのレベルでも蕪と大根が区別できます。収穫物では、二十日大根は蕪と変わらないように見えますが、正真正銘大根の仲間と分かります。

大根以外のアブラナ科野菜のタネは、蕪と同程度の大きさです。この小さなタネグループが好光性種子だと解説しているサイトがあるわけなのですが・・・

その根拠やエビデンスを探したのですがよく分かりませんでした。誰かが適当に載せた情報がコピペで増殖したということでしょうか。これらの野菜のタネは、土の中1cmの深さに播いても普通に発芽できます。なので現場ではこの情報は無視していいと思います。


【まとめ】

  1. 木曽紫かぶは葡萄染(えびぞめ)の高貴な色をしている。蕪の中心には色がない
  2. 肉質は緻密でかため。調理方法として漬物が薦められている
  3. 色素がアントシアニンなので酢などで酸性にかたむくと赤く変色する
  4. 蕪は胚軸が肥大した部分、大根は胚軸と根が肥大した部分を食べている
  5. 蕪、大根共に葉もおいしく食べることができる
  6. 蕪でも細長い根の部分は大根のような辛味がある
  7. 蕪と大根の違いはタネの大きさでも区別ができる
  8. アブラナ科野菜の小さなタネグループは深さ1cmに播いても問題なく発芽するため栽培品種において好光性種子とするのは正しくない

【今後の予定】

  1. ニンジンなどの好光性種子の発芽について、野菜栽培にメリットになる方法があれば確立してみたい。
  2. 大根やキャベツ、白菜は食べきれないほど穫れたので下処理して冷凍保存したいと思います。
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