今回は黒い花を咲かせる園芸品種で調べますね。前回同様に紫外線透過可視光吸収フィルターを用いて写真を撮りました。
ビオラ ヌーヴェルヴァーグ パピヨンノワール
サトウ園芸の品種で黒色の花を咲かせるビオラです。花弁全体で紫外線反射は少ないようです。その中でも花弁の脈部分は紫外線を強く吸収していたので、可視光ではわからなかった花弁の模様が浮き出ていました。
次に比較対象として、色変わり品種のビオラ・天使の誘惑では・・
咲き始めの白色花と、開花後時間経過した紫花でも紫外線反射に大きな違いはありませんでした。青色花の紫外線パターンがやや暗く見えるのは日光の当たり方の違いによるものです。花の中央近くにあるネクターガイドと似たパターンで紫外線が強く吸収されていました。しかし、ネクターガイドの模様とは完全に一致はしていませんでした。
次に、村岡オーガニックで作出されたパンジーのジョリーアンジュについて・・
こちらは水色の上弁2枚が紫外線を強く反射し、側弁と唇弁の黄色部分で紫外線を吸収する傾向でした。側弁と唇弁にある青色の模様部分は反射していました。
次に黒色のペチュニアのソフィスティカ ブラックベリーについて
全体的に紫外線の反射は弱いようです。花の形状で日光が当たらない部分では当然紫外線の反射も弱くなります。
次に比較のために、代表してラテリーナ ラベンダーアイス(たぶん)・・
こちらは花弁の外周で紫外線の反射が多めで中央に向かって反射が弱くなる傾向がありました。別品種のペチュニアでも程度の差はあれ同じ傾向が見られました。
ちなみに、なぜかわかりませんが、メーカーのホームページにあるラベンダーアイスの写真に比べて花が白っぽくて模様が少ないですね。何年にもわたって挿木更新しているからかなぁ。さらに情報を付け加えるとこの花は良い香りします。ただし1日の時間によって香りの強さが変わる印象です。実際のところはどうなのでしょう。
【まとめ】
- 花弁の紫外線反射と吸収パターンは、ハナバチなどの紫外線を認識できるポリネーターに対して植物側がアピールするためのものです
- 今回用いた黒い花のビオラとペチュニアではどちらも紫外線の反射は弱い傾向でした
- 紫外線を認識できない人間が選択淘汰しているため、自然界ではありえない反射パターンの花が作られていると考えられます
- ジョリーアンジュの紫外線反射パターンは、偶然に起きたものであり虫にアピールしているわけではないと考えられます
- 可視光で認識できるネクターガイドと紫外線吸収パターンは類似であっても完全に一致ではありませんでした
- 故に、ネクターガイドの色素とは別の物質が紫外線吸収を担っていると推測されます
【今後は・・】
- 花弁が黒くなる理由の調査
- 黒い花にも虫は来るのか?
- その他の園芸品種の紫外線反射パターンを調査
- ペチュニアなど香りを出す花と時間の関係について