植物のふしぎ

植物をはじめ、生物のふしぎな生態をレポートします。
🌷ガーデニング・家庭菜園・草花と自然🌷

ヒメイワダレソウの中に生えるコメヒシバ

2024年10月28日 | ガーデニング

庭の一角でヒメイワダレソウ(リピア)を育てているのですが、そこに雑草であるコメヒシバが入り込んでちょっと困ったことに・・

これはヒメイワダレソウの花。9月20日に撮ったものです。現在では花は終わっています。

そしてこれがコメヒシバの花序(花穂)。これも9月20日に撮影しました。現在ではタネがいっぱいついてしまっています。

メヒシバより全体的に小型で細く、花序の枝分かれ数は2〜4本で少ないです。また、小型でも他の雑草に負けないようにということでしょうか、日陰に強いという特徴があります。

元々家の北側に生えていたのを刈ってきて積み上げていたのです。それがヒメイワダレソウの近くだったのがいけなかった。いつの間にかその中にもコメヒシバが生えて来てしまいました。両者の背丈が近いので、コメヒシバだけ抜くのが面倒なんですよ。抜けたと思っても茎が細いから切れやすくて一部が残って取りきれないという・・とても厄介な植物なのです。今年の春、かなり丁寧に抜いて完全に駆逐してやった!!と思っていたのですが、気づけば秋にたくさん花序を出していました。この状況だとまたタネが撒き散らされているよね。全く困ったものです。

ヒメイワダレソウはグランドカバープランツだけれどコメヒシバに勝てていない、というのも問題の領域は日当たりがあまりよろしくなく、ヒメが弱り気味なところに比較的日陰に強いコメヒシバが入り込んだからです。日当たりが良い領域ではヒメが打ち勝っている感じはあります。

そこで今後の選択肢は、

  1. このまま放置して遷移を観察する
  2. 日当たりを良くしてヒメイワダレソウを優勢にする
  3. イネ科植物に選択性の高い除草剤を用いる
  4. タネをつける前にコメヒシバだけ丁寧に抜き続ける
  5. ヒメイワダレソウごと刈り取り 除草が容易な別な植物を植える

といったところでしょうか。

1番を実行すると今後も莫大にタネが撒き散らされ続けるということ。植物観察としては面白いですが庭の管理としては全然面白くないので あり得ません。2番は陰にしている鉢を移動するくらい。最も大きく影響している隣の家を移動させるわけにもいかず不可能。3番はイネ科雑草に選択性の高い除草剤があります。ポルトフロアブル、セレクト乳剤、ナブ乳剤、ワンサイドP乳剤、ラッソー乳剤など。100ml販売のセレクト乳剤を検討してみると、価格が3700円くらい。使用方法は、1平方メートルあたり薬剤50〜75μlを水100mlに薄めて散布。該当箇所がほぼ2m^2なので650〜1000回分以上あるということ。今後の労力を考えれば使いきれなかったとしても安いのかもしれないのですがね。もちろん農家用なので園芸植物に適応は取れていないので自己責任。

4番が一番妥当だとは思うのですが、自分の性格からすると無理っぽい。1年間だけならなんとか頑張れるかもだが休眠種子が必ずあるはずだから地道な努力を何年も続けられそうにない・・ということはヒメイワダレソウごと抜き取るのが現実的かなぁ。まぁ保留して4と5で考えてみます。


コメヒシバとメヒシバの比較。両者とも庭に生えているので比較観察します。

この写真は花序の枝を並べたもの。左がメヒシバで右がコメヒシバ。コメヒシバの方が細いのがわかります。

これらの枝の縁を顕微鏡で拡大してみると・・

メヒシバの方では微鋸歯のギザギザがあって触るとザラつきます。一方コメヒシバはというと・・

コメヒシバでは縁がつるんとしていてザラつきません。

コメヒシバの葉を透過光で見てみると・・

このように葉脈も緑色をしており、これはC4植物の特徴です。C4植物では維管束の周りに葉緑体を持つ維管束鞘細胞と葉肉細胞が取り囲んでいるので葉脈が緑色に見えます。一方C3植物ではそれがないため透けて白く見えます。写真は載せませんがメヒシバもC4植物なので同様な特徴が観察されました。クランツ構造については「葉の断面。ポーチュラカとマツバボタン」でも解説しています。

葉の断面の顕微鏡写真は・・

綺麗な断面が作れませんでした。白いトンガリは葉に生えていた毛です。エノコログサでは比較的綺麗に切れたのでお口直しに載せておきます。

クランツ構造が並んでいるのが美しい!

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メランポジュームの水挿しは成功するのか?

2024年10月18日 | ガーデニング

以前、「驚異の発根力!・アゲラタムとエンサイ」のレポートで、アゲラタムはすぐに発根するがメランポジュームは発根せず切り口から腐ってしまう、と報告しました。

だったら腐らず傷みにくくすれば発根できるのでは?と思って実験することにしました。

まずは、今日の花壇の様子。切り戻しや花がら摘みは一度もしていません。全然手をかけなくとも長期間綺麗に咲き続けてくれています。ほんと、コスパがいい植物です。

今回用いた方法、それは水に塩素系漂白剤(次亜塩素酸ナトリウム)を入れるというもの。濃度は水200ml当たり漂白剤1滴程度。界面活性剤が入った商品でも大丈夫です。簡単にいうとハイターでもキッチンハイターでもどちらでも良いということ。漂白剤入りの水が発根に害がないことを示すためのコントロールとして すぐに発根することが分かっているアゲラタムも併せて水挿ししました。

すると・・アゲラタムは開始後3日で発根が確認できた一方、メランポジュームはというと・・

この写真は水挿ししてから16日経過した時の茎の断面付近です。通常の水だと数日で傷むところ、水に塩素が入っているおかげで長期間生き生きとした状態が保てました。しかし、断面と節どちらからも全然発根する兆候さえも見られませんでした。

今回分かったこと・・

  1. 傷みやすい切り花でも長持ちさせるためには、用いる水200mlに対して塩素系漂白剤1滴の割合で加えると良いことが分かりました。
  2. メランポジュームの挿し芽あるいは水挿しを成功させるのはかなり困難であることが分かりました。

あとは工夫の余地としては、オーキシン系の発根促進剤やメネデールが残されていますけれど・・・どんな工夫をしても何をやっても発根しない植物というのもあるのかなぁ。今年は気温が下がってきて挿し芽に不適な季節になるので諦めますね。まぁ種まきすれば容易に育てられるから全然困らないのですけれど。そうそう、そろそろ来年のためにタネを採っておくことにしましょう。

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メランポジュームがこんもり咲く秘密

2024年08月30日 | ガーデニング

今回はメランポジュームがピンチをしなくてもこんもり咲く理由、徒長しにくい理由を調べていきたいと思います。

ペチュニアなどでは、枝を伸ばしながら先端付近にだけに花がつくことと、頂芽優勢のためピンチをしないと側枝が出にくい性質があります。そのため手をかけずにいると徒長しやすく草姿が乱れてしまいがちです。一方、メランポジュームはピンチなどの手間をかけなくても徒長しにくくこんもりと仕上がります。この違いはどこにあるのでしょうか。

それを調べるため、メランポジュームのある枝に注目し、節の部分で適宜カットして平面でも観察しやすいように並べました。それが次の写真です。

一番下の節に着目すると、葉が2枚(L)、茎が2本(S1、S2)、花茎が1本(Sc)出ているのがわかります。そして2本の茎は、必ず長さが違うものがセットになっているという特徴があります。この写真では長茎がS1で、短茎がS2と印してあります。節から5本の器官(葉2、茎2、花茎1)が伸びていくという特徴はどこの節でも同じになっています。

上で着目した節の上部の節だけを拡大したのが下の写真です。

このように、節の特徴が繰り返されているのが確認できました。各節から必ず2本の茎が出ることでピンチしなくてもバランスよく枝数が増えていきます。そして、2本の茎に長短があることのメリットについて。それは、咲く高さが異なることで花が混み合い過ぎるのを防いだり、最上部だけでなく、その下の段や株の奥でも花が咲くということを意味しています。

実際、花が咲く順番はどうなっているのでしょうか。それを調べたのが次の写真です。

まな板の上に乗せて撮ったのを分かりやすいように反転させました。違和感はご了承を。

咲いている順番は、筒状花の咲き進み具合や舌状花の展開具合で判断しました。写真の番号順で咲いています。黒丸1〜3はほぼ筒状花が咲ききっているもの、白丸4〜7は筒状花が順次咲いているもの、括弧8〜10は蕾を表しています。6番と7番、および8番と9番はほぼ同じ開花状況でしたが微差を持って強いて順番をつけてあります。

写真でわかるように、長茎の先が咲いた後に、短茎の先が咲く順に注目です。例えば長茎の先3番の花より短茎の先5番が遅く咲き始めるということ。株全体でみると最も外側が咲いた後もその下の段やさらに奥でも咲き始めることを意味しているので株全体が新鮮な花で満たされた感じになり見栄えが良いということ。ペチュニアでは咲いている節より下では必ず花は枯れ落ちていますから大きな違いです。

以上の特徴は園芸的にも大きなメリットですよね。今後このような園芸品種が開発されていくことを期待したいと思います。また、同じような特徴を持った植物をご存知の方おられましたらぜひ教えてください。

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すご〜い背の高いひまわり

2024年08月19日 | ガーデニング

昨冬、野生のシジュウカラのために小動物用のひまわりのタネを餌台に置いたのです。シジュウカラは上手に殻を割って中身だけ食べるのですが・・・餌台に集団で来るスズメは上手に食べられずにあたり一面にまき散らすという暴挙に出たものだから春になってそこらじゅうからひまわりが芽生えたという次第。まぁせっかくなので適当な所に移植して育てることにしたのですよ。

そして育ったのが・・じゃじゃ〜ん ↓↓

うぅぅ・・うるうる・・こんなに立派になって・・育てた甲斐があったというものです。

ひまわりの両サイドにある高さ2.5mのコニファーに比べてもかなり高いなぁ。なのでメジャーでひまわりの身長測定したのですよ。そしたら てっぺんまで3m75cmもありました。高っっっっか!!

これってもしかして日本一?と思ったら日本記録が7m30cmで世界記録は9m17cmだって。これの2倍以上も高いなんて信じられない。っと思って記録保持者が取材された様子を見てみたら・・ひまわりの周りに足場を組んで保護していたわ。ひまわりはやっぱり自立してないと。。。(と負け惜しみ)


地面近くの茎の直径は514mmもありました。たっくましぃー。木の幹といった感じだからノコギリでないと切れないぞ。

ひまわりの茎の断面はというと・・・

中央の白い部分が髄、茶色い部分が維管束、緑の部分が皮層、一番外側の濃い緑が表皮です。維管束は分厚い。ここを通って高いところまで水が運ばれているのです。


実をつける段階になって花が下を向く理由について。たくさん実ったタネが重いから仕方なく下を向いている・・と思われた方、それは正しくないと思いますよ。だって、たくましい茎の持ち主・ひまわりのことですよ。その気になればタネの重さくらいで下を向いて暗い人生を歩まなくったっていいはずです。ひまわりは意図的に下を向いているのですよ。「首」の曲がり方がU字カーブになって歪みが出ていないのを見てもわかります。上から降りかかる災難からタネを守っているというのが妥当な理由でしょう。雨や鳥などでしょうかね。でもね、近くに住んでいる野生の小鳥・カワラヒワはひまわりのタネが大好物で、どっちを向いていようがお構いなしでバクバク喰ってますけど。


そして・・今年の冬も野鳥に餌やりしようと思うのでタネ取りしまーす。まずは頭花を切り取って・・乾燥ついでにしばらく飾っておくつもり。

身長相応に花も巨大!!比較のため長さ約33cmの移植ごてを一緒に写しておきました。メジャーでタネのついている所の直径を測ると28cm(移植ごて右のひまわり)と27cm(移植ごて左)でした。右手前にある小さなのでも直径11cmくらいあります。

一つを拡大してみると・・・

この写真のは、まだ筒状花の残骸がタネの頭にくっついている状態。ところどころそれが外れて真っ黒なタネが見えています。そして2時方向のタネがなくなっているのは、カワラヒワに食われた跡です。


タネの並びに現れる螺旋状のラインについては、その本数がフィボナッチ数列になっているということです。フィボナッチ数列とは、Fn+2=Fn+1+Fn (F1=1 F2=1)

で表される数列。具体的には1、1、2、3、5、8、13、21、34、55、89、144、・・・・

この写真のひまわりは歪みがあって数えにくかったのですが、本質的に時計回りの曲線が89本、反時計回りの曲線が55本と数えられました。これよりも小さい直径11cmの頭花では、55本と34本でした。花の大きさが違ってもフィボナッチ数列に収まるということ。さらに周りの花びら・舌状花の数もフィボナッチ数列に含まれるそうです。写真の「花」ではもう数えようがありませんけれども。。。

なぜ植物にフィボナッチなのでしょうか。その原因は成長点で花の原基が作られる分化初期にあるのだとか。原基が作られる位置は、それ以前に確定している原基から最も離れた部分に作られるという性質によるもの。成長点の成長スピードが十分に早いと2個以上前に作られた原基の影響は受けないので成長点を挟んで180度、互い違いに作られていきます。一方、成長スピードが原基が作られるスピードに対して十分に遅いと、2個以上前に作られた原基の影響も受け始めて最終的に黄金角を持って螺旋になっていくという話らしいです。フィボナッチ数列の一般項に黄金数が含まれるので植物とフィボナッチ数列が繋がるらしいです。数学が得意な方なら理解できるんでしょうか。

フランスの数理物理学者のDouadyとCouderが実験でも証明したといいます(フィボナッチ数の小宇宙・中村滋(日本評論社))。磁場を持たせたシリコンオイルの中に磁化させた流体を一定間隔で滴下させると植物と同じような螺旋が生じたという。まぁ実際問題、この黄金角の特徴があるから葉序であれば上部の葉と重ならないように葉を展開させて光合成の点でもメリットがあるのですよね。

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おすすめの夏の花・メランポジューム

2024年08月18日 | ガーデニング

夏の花壇を彩る植物は多種多様、今日はそのうちの一つ、メランポジュームを紹介したいと思います。

メランポジューム(キク科メランポジウム属)メキシコ〜中央アメリカ原産の一年草です。花径は2〜3cmで黄色い花が次から次へと咲き続けて6月下旬から11月上旬頃まで長期間楽しめます(長野県)。さらに私が気に入っているのは花がら摘みをしなくても全然汚くならないという点。夏の定番ジニアは花柄つみしないと存在感のある花柄が残ってしまって見栄えを損なうのに比べて優秀です。さらに暑さにも強くて盛夏も休まず咲きます。サンビタリアは同じような花を咲かせますけれど、高温多湿に弱くてメランポジュームの方が全然扱いが楽です。

そして特別手をかけなくても自然にこんもりとした草姿になるのも素敵です。

上の写真でちょっと見える紫の花はアゲラタム。メランポジュームとアゲラタムは花色が補色の関係で相性がいいんです。

花が終わる時の様子は、というと・・・

上記写真の右下の花のように、中央にある筒状花はまとまってぽろっと落ち、周りの舌状花も順次自然に落ちていってきれいに片付きますよ。舌状花の根元にはタネが一周並ぶのですが、これも熟せば自然に落ちていきます。庭植えであれば翌年も自然に発芽します。雑草と間違って抜かないようにこぼれ種で増えることは覚えておきましょう。特徴的な葉の黄緑色は他の雑草にはないので区別つけやすいです。そしてメランポジュームの種は・・・

こんな感じ、バームクーヘンを切ったような形をしています。大体1mm x 2mm x 3mmの大きさです。

苗床にばら撒きしてポリポットやセルトレイに鉢上げして花壇に植えるといいです。キク科で好光性種子のため覆土は薄めに。私は、今年4月29日に種まきして花壇に6月21日に定植しました。たくさん蒔いたので庭中が黄色の花でいっぱい!!

増やすのに挿し芽を試したことがあるのですが、茎が傷みやすく溶けるようになってうまくいきませんでした。種で増やした方が簡単です。種は売っているのを見たことないです。1年目は花苗を購入するのがいいと思います。

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