植物のふしぎ

植物をはじめ、生物のふしぎな生態をレポートします。
🌷ガーデニング・家庭菜園・草花と自然🌷

プリムラの花に2型・異型花柱性

2024年10月31日 | 園芸

久しぶりに、というか初めて?小綺麗な写真をあげてみました。

プリムラ ジュリアンです。ホームセンターや園芸店でも出回り始めましたね。わたしは ほぼ毎年と言っていいくらいにこの花を買っているのですよ。寒くなってくるこの時期でも色がきれいだし小さくてかわいらしいから。それにこの花は香りがいいのです。柑橘系といったらいいでしょうか、爽やかな香りです。ただし、香りがいいのは黄色の花だけ。それ以外の花では全然香りません。黄色と言っても、覆輪の品種、黄色に赤系の縁取りが入るのは香りませんでした。色の種類を増やす目的で品種改良している間に香りが失われてしまったのでしょうね。ところで花のどの部分から薫ってくるのでしょうか。そこも知りたいところです。

サクラソウ科サクラソウ属のジュリアンには、他にも興味深い特徴があるのです。黄色い花の品種で比較してみますね。

香りがいいから黄色を多く買いがち。

それは花に二つのタイプがあるということ。サクラソウ属の植物はどれも異型花柱性の特徴をもっているのです。この特性については過去「ミソハギは花柱の長さが3種類」のところでも取り上げました。受精できるのは長花柱花の雌しべと短花柱花の雄しべ、あるいはその逆の場合に限られます。自家受粉を避ける仕組みの一つです。

これは雌しべの長さが長い長花柱花です。サクラソウ属の場合、見た感じからピン型ともいいます。

そしてもう一つが

雌しべが短い短花柱花です。スラム型とも言います!・・と言い切ってみたものの、この写真の花・・う〜ん、どう見てもピン型ですね。が〜〜ん、ちゃんと見ずに買ってきてしまった。ん〜ドジっ子。スラム型の場合、雌しべではなく雄しべが顔を出しているはずなのですよ。あとでこそっと正真正銘のスラム型の写真に差し替えておきますね。スラム型のスペルはthrumで織端のこと。雄しべが顔を出した様子が織端の糸がほつれた感じに似ているからなんでしょうね。

見目麗しいのはピン型とスラム型でどっちなんだ、ということですが、わたしは専らピン型を買うことが多いです。雌しべが中心にしっかりあると花のまとまりがいい感じがするし、それにレディーは第一にしておいた方が何事もうまくいきますので。。大同小異って言ってしまえばそうなのですが。


黄色の花で典型的なスラム型を探しにホームセンターや園芸店を数店行ってみたのですが、なぜか見つかりませんでした。過去には1:1くらいの割合で確かにあったのですがね。その代わり、赤い花で中心が黄色の品種にピン型、スラム型があったのでその写真を載せておきますね。

まずはピン型(長花柱花)・・

そしてスラム型(短花柱花)・・


まとめ

  1. プリムラをはじめサクラソウ科の花は異型花柱性で、自家受粉や同型同士での受粉が避けられる工夫がなされています。
  2. 雌しべ、雄しべの形状から、特にサクラソウ科では長花柱花をピン型、短花柱花をスラム型といいます。
  3. 最近、なぜか店頭ではスラム型が並べられている数が少ない印象です(個人的感想)。
  4. プリムラジュリアンでは黄色の花の品種のみが柑橘系の良い香りを持っています。
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ビオラの水挿し エンサイの続報

2024年10月29日 | 植物の生態

あるホームセンターでビオラを数株買ってきました。花の色がわり品種と徒長ぎみの苗。色がわり品種についてはまた後日ご紹介しますね。

花の苗選びのコツとしては徒長したものは避けましょうと言われていますが、今回はあえて徒長気味の苗を購入しました。水挿しが上手にできるか試してみるためです。ホームセンターの従業員さんが花柄詰みをし始めたので詰まれないうちに手に取りました。よく見ると違う植物も生えていたりして管理的に!?・・花の色形を見ればどこのホームセンターかわかってしまうかもですが、全体的に園芸関係の品が良いのでよく利用させてもらっています。

実験計画としては、水とメネデール入りで比較することにします。それに先日報告した「メランポジュームの水挿しは成功するのか?」で水を換えなくても切り花が傷みにくくなる漂白剤入りでも試験します。今後の結果次第ではアゲラタムと同様、購入苗の数を減らせるかなぁと目論見中。

タネを蒔いて育ててもいるのですが、パンジービオラは少し難しいんですよね。年内に花を咲かせたいときはまだ暑さの残る時期に蒔く必要あるけれど、温度が高いと上手に発芽してくれない。数打ちゃ当たる作戦をとりたいけれど野菜のタネと違ってほんのちょっとしか入っていなくてもそこそこのお値段だし。だから水挿しがうまくいくといいなぁと思っているのです。今後の結果が楽しみ。

水挿しは土にさす挿し芽と違って発根の様子が見られるところが良いです。さらに挿し芽だと蒸散量を最小限に抑えるため葉の数を減らす必要がありますが水挿しはそうしなくていいので発根できた場合に株への復活が早いというのもメリットです。デメリットとしては、発根した茎を土に植えるのが面倒臭いことくらいでしょうか。大量に株を作りたい人はきっと挿し芽の方がいいんでしょうね。

挿し芽、挿し木といえば久留米ツツジを増やしたいと思っているのですよ。何回かチャレンジしているのに上手にできなくて。発根してもその後枯れてしまうことも多々です。木の植物はどうなのでしょう、水挿しで発根させることはできるのでしょうか。観葉植物以外ではあまり見聞きしたことないけれど。。興味あるところです。


【追加情報】

11月18日になっても根が生える兆しがありません。22日間経っても発根しないので水挿しで増やすのは実用的ではないという結論。種まきを工夫して暑い時期でも発芽率を上げることに努力した方が良さそうです。3つとも挿し穂は生き生きはしていますが、ここで観察中止としたいと思います。挿し芽を成功させている方でも発根まで2ヶ月くらいかかるかも、と書かれていたので、いずれにしても購入苗から水差しや挿し芽で年内に定植させるのはコスパ・タイパ悪く現実的ではない感じです。


次に「エンサイの水挿し(節と発根の関係)」の続報です。

「脇芽が入らないように節の位置で切り取ったもの」では、カルス状の成長点の兆しは確認して土に植えてみようとしていた間に少し成長しまして・・

この写真のように葉の赤ちゃんみたいなのに・・見方を変えればちょっといやらしい形に成長してきました。パチパチパチ。水挿し始めてから1ヶ月くらいかかりましたねぇ。何の役にも立たないのですけれど・・エンサイの潜在能力として節の組織が少しでも含まれれば成長点を欠いていても時間はかかるが再生できると言えると思います。まぁ、植物の能力はすごい!という結論でした。さらに芽を大きくしたいので液肥とリキダスを薄めに入れておきました。

どうしてこの実験をしようと思ったかというと、以前へデラを切り戻した時に、その新緑があまりにも綺麗だったので葉っぱを水にさしておいたのですよ。そしたら葉柄の先から立派な根がビヨ〜んと出てきたのです。しばらく育てても全然変化が見られず邪魔になって捨ててしまいました。そのことがず〜と記憶の底にあったんですね。本当はその後がどうなるか知りたかったんです。あれももっと時間をかけて見ていれば芽が成長してきたのかもしれないなぁ。

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ヒメイワダレソウの中に生えるコメヒシバ

2024年10月28日 | ガーデニング

庭の一角でヒメイワダレソウ(リピア)を育てているのですが、そこに雑草であるコメヒシバが入り込んでちょっと困ったことに・・

これはヒメイワダレソウの花。9月20日に撮ったものです。現在では花は終わっています。

そしてこれがコメヒシバの花序(花穂)。これも9月20日に撮影しました。現在ではタネがいっぱいついてしまっています。

メヒシバより全体的に小型で細く、花序の枝分かれ数は2〜4本で少ないです。また、小型でも他の雑草に負けないようにということでしょうか、日陰に強いという特徴があります。

元々家の北側に生えていたのを刈ってきて積み上げていたのです。それがヒメイワダレソウの近くだったのがいけなかった。いつの間にかその中にもコメヒシバが生えて来てしまいました。両者の背丈が近いので、コメヒシバだけ抜くのが面倒なんですよ。抜けたと思っても茎が細いから切れやすくて一部が残って取りきれないという・・とても厄介な植物なのです。今年の春、かなり丁寧に抜いて完全に駆逐してやった!!と思っていたのですが、気づけば秋にたくさん花序を出していました。この状況だとまたタネが撒き散らされているよね。全く困ったものです。

ヒメイワダレソウはグランドカバープランツだけれどコメヒシバに勝てていない、というのも問題の領域は日当たりがあまりよろしくなく、ヒメが弱り気味なところに比較的日陰に強いコメヒシバが入り込んだからです。日当たりが良い領域ではヒメが打ち勝っている感じはあります。

そこで今後の選択肢は、

  1. このまま放置して遷移を観察する
  2. 日当たりを良くしてヒメイワダレソウを優勢にする
  3. イネ科植物に選択性の高い除草剤を用いる
  4. タネをつける前にコメヒシバだけ丁寧に抜き続ける
  5. ヒメイワダレソウごと刈り取り 除草が容易な別な植物を植える

といったところでしょうか。

1番を実行すると今後も莫大にタネが撒き散らされ続けるということ。植物観察としては面白いですが庭の管理としては全然面白くないので あり得ません。2番は陰にしている鉢を移動するくらい。最も大きく影響している隣の家を移動させるわけにもいかず不可能。3番はイネ科雑草に選択性の高い除草剤があります。ポルトフロアブル、セレクト乳剤、ナブ乳剤、ワンサイドP乳剤、ラッソー乳剤など。100ml販売のセレクト乳剤を検討してみると、価格が3700円くらい。使用方法は、1平方メートルあたり薬剤50〜75μlを水100mlに薄めて散布。該当箇所がほぼ2m^2なので650〜1000回分以上あるということ。今後の労力を考えれば使いきれなかったとしても安いのかもしれないのですがね。もちろん農家用なので園芸植物に適応は取れていないので自己責任。

4番が一番妥当だとは思うのですが、自分の性格からすると無理っぽい。1年間だけならなんとか頑張れるかもだが休眠種子が必ずあるはずだから地道な努力を何年も続けられそうにない・・ということはヒメイワダレソウごと抜き取るのが現実的かなぁ。まぁ保留して4と5で考えてみます。


コメヒシバとメヒシバの比較。両者とも庭に生えているので比較観察します。

この写真は花序の枝を並べたもの。左がメヒシバで右がコメヒシバ。コメヒシバの方が細いのがわかります。

これらの枝の縁を顕微鏡で拡大してみると・・

メヒシバの方では微鋸歯のギザギザがあって触るとザラつきます。一方コメヒシバはというと・・

コメヒシバでは縁がつるんとしていてザラつきません。

コメヒシバの葉を透過光で見てみると・・

このように葉脈も緑色をしており、これはC4植物の特徴です。C4植物では維管束の周りに葉緑体を持つ維管束鞘細胞と葉肉細胞が取り囲んでいるので葉脈が緑色に見えます。一方C3植物ではそれがないため透けて白く見えます。写真は載せませんがメヒシバもC4植物なので同様な特徴が観察されました。クランツ構造については「葉の断面。ポーチュラカとマツバボタン」でも解説しています。

葉の断面の顕微鏡写真は・・

綺麗な断面が作れませんでした。白いトンガリは葉に生えていた毛です。エノコログサでは比較的綺麗に切れたのでお口直しに載せておきます。

クランツ構造が並んでいるのが美しい!

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ガウラの花が風でゆらゆら・茎の断面が丸い理由

2024年10月25日 | 植物の生態

小布施町には約900mに渡って道路沿いにガウラが植えられていてる所があって、花が風でゆらゆらしてとってもいい感じなのです。「矢島沖」信号あたりから北東方向の谷街道沿いです。写真で紹介できればよかったのですが・・・あいにく撮ってませんです。小布施町には ここ以外にも沿道花壇があちこちにあってどこも手入れが行き届いていて感動ものです。先日訪問した時も「小布施橋東」信号の近くにある山王島委託花壇は相変わらずお花が溢れてきれいでした。実はこの花壇の前を通勤していたことがあって、毎日それを見るのが楽しみでした。小布施町はオープンガーデンを実施している家も多くて その案内で一冊の本になっているくらいです。花好きな人が多い町なんですね。

そんなこんなで自分でもガウラを育ててみたくなって鉢植えにしたんですよ。でも・・・とにかく茎がびよ〜〜んと伸びて傾いちゃうんです。だから全然見栄えがしない、というかなんというか。小さな株ではダメなのかなぁ。沿道花壇みたく群生させてお互いが支え合うようにした方がいいんでしょうね、きっと。あるいは寄せ植えにして他の植物に支えてもらうとか?とにかく丈夫な植物なので持ち主からの愛を失ってもけなげに咲いてはいますけれど。。

これがガウラの花。花の後ろに突き出た「距」があったんだ。今日初めて知りました。雌しべの先端もなんかかわいい。これまで見向きもせずにゴメン。じっくり観察して「愛」も復活、ちょっとだけ大切にしたいと思います。

・・・と日を改めて距だと思っていたものをよく見てみたらそうではなかったぁ。つぼみの時に花を包んでいたものでした。いわゆる萼が花弁のように分かれて広がらずに筒状のまま花の後方に反っているもののようです。口先だけで愛を語ってはダメですね。相手のことをよく見てあげなくちゃ・・です。


非常に前置きが長くなりました。今日のテーマは茎の断面の形です。

ガウラの茎の断面を見てみると・・

右がガウラで左がニシキギです。ガウラでは、茎の断面はやや歪みはあるものの丸い形です。一方、ニシキギは丸の茎に褐色板状の「翼」が4枚ついています。ガウラの茎は曲がりやすくできているため、どの方向からの力でもしなやかに受け流せます。ニシキギは翼があるのでそれを破損せず曲げることができません。

ニシキギの「翼」はこんな感じ。他の植物では見られない特徴です。ただしこんなに大きな翼を持つのは園芸用に選抜されたものであって、山に自生しているニシキギはそうではないらしいです。いずれにしても翼の役割は茎を曲げる力から守っていると見てよさそうです。


次に庭にある植物をいくつか取ってきて断面を調べてみました。

オヒシバとナシの断面は「丸」でツユクサは平らな面がある丸、カヤツリグサは三角、シソとバジルは共にシソ科で四角でした。バジルの試料は、斜めに伸びた茎が起きあがろうとしていた部分を使用したので少し歪みが見られます。樹木で言うところのアテ材。

カヤツリグサとシソとツユクサにはどのような事情があって丸ではないのでしょうか。カヤツリグサは、根元にある葉と上部にある苞葉の間には節がなく茎の途中から葉を出すことがありません。すなわちその間、茎を丈夫にする役割もある節が一つもないのです。そのため曲がったり潰れたりしにくい三角形が採用されたのではないかと考えました。

三角形には構造的に強くても葉を出す方向に制限がかかるというデメリットがあります。そこで、茎の途中に多数の節をもち、葉っぱをたくさん出して光合成効率を上げたいシソ科の植物は茎を丈夫にしつつも葉を出す方向に困らない四角を採用したのだと思います。

ツユクサの丸い断面に含まれる平らな部分は、構造力学的な理由ではなくて成長過程にあるように思われます。ツユクサは節の部分で二股、あるいは三股に分かれて成長します。その分かれた後の茎で向かい合う面が平になっていました。


以上まとめると茎が丸い理由は、どの方向からの力もしなやかに受け流しやすい形であること、そして葉を出す方向に制限を受けないので植物種ごとの事情に応じて自由に葉序を決められるということです。丸以外の形を採用している植物にはそれぞれ異なる事情があるらしく、以下は私の想像・・カヤツリグサでは茎の途中に節がなくても茎を丈夫にするために三角の断面が採用され、シソ科の植物では茎を丈夫にしつつ対生にすれば葉を出す角度に困らない四角が採用されたと推測。ツユクサの断面は丸と考えて良いが成長の過程で図らずも平らな面ができてしまったと。いずれにしても風などの力に対する戦略の違いによって茎の断面の形が違ってきたのだと思います。

「シソと、ツユクサ、カヤツリグサ、みんなちがって、みんないい」

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香りあるミニシクラメン・パリジェンヌ

2024年10月23日 | 園芸

先日、香りのあるミニシクラメンを手に入れました。パリジェンヌという品種です。500円台半ばでした。

良い香りがしています。どんな香りか・・については語彙力が低くて表現できません。ごめんなさい。店頭で見かけたら、是非花に近づいてみてくださいな。

昨年育てた香りシクラメンの「ファルバラローズ」に似ている香りかな?とも思いました。ただ、10ヶ月くらいも前のことなのではっきり覚えていないしどの程度似ているかは正確には分かりません。両者を並べて比較したいところですが。。。

ファルバラローズは花が終わった後も大切に育てていたのですよ。その甲斐があって今年の8月の暑さも無事に越えて葉っぱも青々してました。さらにたくさんの葉っぱを出してほしいなぁと思っていたのですが・・・9月に入って急に腐りました。「やわらか戦車」のように簡単に腐りました。あっけなく腐りました。「♪ゆ〜び先でつ〜つかれたらそこからく・さ・る〜♪」ってな感じです。今年の9月は異常な暑さが続いていたのに水を多すやり過ぎたんですね。無事に夏を越えられたと思って油断したのがいけなかった。それに花が咲いていない植物に対しては、つい愛が薄れてしまって・・相手のことよく見なくなるからねぇ。反省です。

ミニシクラメンのパリジェンヌは普通のシクラメンのファルバラローズよりは丈夫だとは思います。そうであっても油断せず丁寧に育てていきたいと思います。


【追加情報】

園芸店でファルバラローズを見つけました。その香りはパリジェンヌと全く同じでした。香りに関係する遺伝子が同じなんでしょうね。

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