植物のふしぎ

植物をはじめ、生物のふしぎな生態をレポートします。
🌷ガーデニング・家庭菜園・草花と自然🌷

ガガイモとヘクソカズラの実とタネ

2024年12月15日 | 野草・山野草

以前報告したヘクソカズラとガガイモの続報です。今回は実とタネについて。

  以前の投稿: ガガイモの花・ふしぎな構造とは? 花の構造・ヘクソカズラ ヘクソカズラとガガイモ

12月上旬に以前観察した公園を再度訪問しガガイモとヘクソカズラの様子を見てきました。両者が生育していた植え込みは綺麗に刈り込まれていましたが、幸い少しだけ絡みついて実が残っていたので取ってきました。公園に生える雑草なので採取も問題なしと判断。

まずはガガイモから・・

ガガイモは以前に報告したような受粉形態なので実ができているか心配しましたが無事に採取できました。ガガイモの実は袋果といいます。写真のような独特の形をしています。右側の丸みを帯びた方に茎に接続していました。この時期の実の表面はイボイボでが変色して汚らしいです。袋状の果実の中には絹糸のように艶やかで触り心地がふわふわな種髪が入っています。タネは扁平で楕円形〜三角のおむすび型をしています。この実を裏返してみると・・

種髪がわかりやすいように黒バックで撮影しました。ご覧のように袋果の中にタネが整然と並んでおり、種髪はタネの尖った方の先端に着いているのがわかります。タネを拡大して見てみると・・

このように茶色が濃い部分のタネの周りに翼がついていることがわかります。まるでユリのタネのようです。種髪だけでなくタネに翼を付けることで風で遠くまで運ばれたいという強い意志を感じます。


次にヘクソカズラの黄褐色の実は金色にも見えるので いけばなやクリスマスリースなどにも利用されることがあります。ガガイモの袋果に対してこちらは核果といいます。

採取した実は表皮がカサカサしていたので剥いてタネを取り出そうとしました。が、実の中はまだグジュグジュに湿っており黄色い汁で手が汚れました。それもそのはず、核果とは桃のような実のこと。水分の多い多肉質の中果皮が残っていたということです。図鑑には実の中にはタネが2個入っていると書いてありましたが取り出したタネは、いずれも一つの実に1個のようでした。なぜでしょう?それを並べたのが上の写真の右下に写っている物体。形や大きさが様々。タネはまだ柔らかみが残った感じはありました。はたしてこのタネで来年発芽するかどうか・・


【今後の予定】

  1. ガガイモの種髪で何かハンドクラフトというかインテリア雑貨できないかなぁと思案中
  2. 来春ヘクソカズラを鉢で発芽させて回旋運動の観察でもしてみようかな。
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冬生育型の多肉植物・リトープス

2024年12月14日 | 園芸

先日リトープスを買い求めました。これまで春秋生育型の多肉植物は何品種も育ててきて自信あるのですが、リトープスが属する冬生育型を育てるのは全くの初めてなのです。やや不安。

リトープスはコロンとした物体の真ん中に割れ目ができたような形をしています。これまた植物の概念を覆すような形です。上から見ると気孔細胞のような形と言えるかもしれません。自生地は南アフリカやナミビアあたりの砂漠地帯で岩や小石に囲まれて生きているそうです。乾燥地帯に生きる植物として進化したといっていいでしょう。すなわち水分保持の観点から葉を無くし丸みを帯びた形状に。そして、植物の少ない土地で動物に喰われないためには、小石と見分けがつかないような外見になる必要があるということ。昆虫でよく見られる擬態をしているということですね。上の写真の状態で売られていたのですが、ナチュラルさを追求するなら植物体と似たような色合いの小石に紛れさせて植え付けるといいのかもしれません。おしゃれにディッシュガーデンにしたいと思ったのですが直根性なんだそう。うまくいかないかもです。

それからこの植物のおもしろい特徴として脱皮をするということが挙げられます。擬態だけでなく脱皮するっていうのも昆虫っぽくておもしろいですよね。さらに魅力を付け加えるなら色鮮やかで綺麗な花を咲かせるのですよ。今後どうなっていくのかどんな花が咲くのか楽しみです。品種もいろいろなので凝り出したら深みにハマりそうな予感。


【今後の予定】

  1. 第一には冬生育型を枯らさずに栽培すること。まずは無事に冬を越したい
  2. 脱皮と開花をさせてみたい
  3. 植物体に合う色合いの小石で植えてみたい
  4. 無事に栽培できたら数品種を集めてみたい
  5. 気孔みたいな形のリトープスの気孔はどうなっているのか見てみたい
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帯化したガーベラ

2024年12月13日 | 植物の生態

店頭に並んでいたガーベラが帯化していました。帯化とは植物の奇形の一種です。見た目が下の写真のようで売れ残り気味だったのかもしれません。もっと色鮮やかで花の大きなガーベラも売ってはいたのですが、変わったもの好きなわたしとしては ついこちらを選んでしまったという・・

正常な花が3個くっついたようになって「L字型」に見えます。帯化したものはピンクの花弁ですが、次に上がってきた花は白でした。色変わりする品種でもあるのでしょうか?その点も興味深いところです。

茎と萼の様子。写真右の正常なものに比べて茎も太め。花がL字型だから、がくもそれに応じて三角錐を逆さにしたような形になっていました。この性質は2番目に上がってきた花が正常だったことから遺伝的に決まっているわけではないということ。帯化は成長点の分裂に異常が出ることで発生するとされていて、その原因はさまざまあるようです。微生物が原因のこともあれば害虫による食害が帯化を引き起こすこともあるそうです。ネット上の情報では、ガーベラの帯化はしばしば見られるといいます。ガーベラ特有の原因って何なのでしょうか?品種によっても起こりやすさに違いがあるみたいですが、よく分かりませんでした。


園芸植物だけでなく野草でも帯化は起きるのでその紹介・・

これはメドハギといいます。マメ科ハギ属の多年草です。この写真でど〜んと横に伸びているのが帯化したメドハギです。それ以外のほっそりとした茎を持ったものが正常のものです。この写真は10月中旬の撮影で花はほとんど終わっていました。

帯状の茎にポツポツついているのはまだ若い豆果です。同じマメ科でエニシダ属のエニシダでは帯化したものをいけばなに使うそうですよ。いけばな界隈では帯化のことを石化(せっか)といっているようです。


帯化の原因が、他の生物による刺激だけということであれば形質が維持されることはないはずです。しかし、多肉植物のゴーラム花月(カゲツ)の帯化した品種として確立されているようなので、帯化の原因は植物側にもあり得るということでしょうね。それが何なのかは知りませんけれども・・。多肉植物やサボテン界では帯化のことを綴化(てっか) と言っているようです。

花月は「金のなる木」という名でも知られており正式な和名はフチベニベンケイだそうです。葉っぱの縁が赤く色づくからその和名になったのですね。ゴーラムでもその性質が受け継がれており、写真のように縁が赤くなります。花月の大株では花が咲くこともあるからゴーラムも大きく育てれば咲くのかな。咲かせてみたいな。

ゴーラムの独特な特徴は、というと葉の形。スプーンの先のような・・あるいは、ホーンのような とも言えるかな。あのパフパフっていう楽器の・・。地球上の植物にしてはあまりにも奇妙な形なので「宇宙の木」と呼ばれることもあります。この写真の鉢に宇宙人のフィギュアを置いたらおもしろいマン盆栽(注)になりそう。

注:マン盆栽は小さなフィギュアを添えた盆栽の一種でマンボミュージシャンのパラダイス山元氏が発案。マン(人・フィギュア)と盆栽を併せてマンボで言葉遊び。


【まとめ】

  1. 帯化とは、植物の奇形の一つで、茎や花が複数くっついて成長したような外見で帯状になること
  2. 帯化は植物の成長点の分裂に異常が生じることで起こるとされている
  3. 原因としては、微生物の感染や害虫の食害が挙げられる。その他、植物側にも帯化を起こす原因が形質として保持されることがある
  4. 一般には帯化と言われているが、サボテンや多肉植物方面では綴化、いけばな方面では石化と言われることが多く帯化に価値が見出されている場合もある
  5. 帯化は見た感じが正常とはかけ離れているので気色悪いのは否めない

【結論】

気色悪いと感じる人がいる一方、帯化に価値を見出す人もいる。だから他と違っていても気にすることはない。価値を分かってくれる人が必ずいるのだから。みんなちがって、みんないい。


【今後の予定】

  1. 今回ガーベラの購入株が色変わり品種なのかを見定める
  2. ゴーラムに花を咲かせる(そうとう先のことになりそう)
  3. 宇宙人のフィギュアを手に入れてゴーラムの横に立たせてみたい
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