植物のふしぎ

植物をはじめ、生物のふしぎな生態をレポートします。
🌷ガーデニング・家庭菜園・草花と自然🌷

メランポジュームがこんもり咲く秘密

2024年08月30日 | ガーデニング

今回はメランポジュームがピンチをしなくてもこんもり咲く理由、徒長しにくい理由を調べていきたいと思います。

ペチュニアなどでは、枝を伸ばしながら先端付近にだけに花がつくことと、頂芽優勢のためピンチをしないと側枝が出にくい性質があります。そのため手をかけずにいると徒長しやすく草姿が乱れてしまいがちです。一方、メランポジュームはピンチなどの手間をかけなくても徒長しにくくこんもりと仕上がります。この違いはどこにあるのでしょうか。

それを調べるため、メランポジュームのある枝に注目し、節の部分で適宜カットして平面でも観察しやすいように並べました。それが次の写真です。

一番下の節に着目すると、葉が2枚(L)、茎が2本(S1、S2)、花茎が1本(Sc)出ているのがわかります。そして2本の茎は、必ず長さが違うものがセットになっているという特徴があります。この写真では長茎がS1で、短茎がS2と印してあります。節から5本の器官(葉2、茎2、花茎1)が伸びていくという特徴はどこの節でも同じになっています。

上で着目した節の上部の節だけを拡大したのが下の写真です。

このように、節の特徴が繰り返されているのが確認できました。各節から必ず2本の茎が出ることでピンチしなくてもバランスよく枝数が増えていきます。そして、2本の茎に長短があることのメリットについて。それは、咲く高さが異なることで花が混み合い過ぎるのを防いだり、最上部だけでなく、その下の段や株の奥でも花が咲くということを意味しています。

実際、花が咲く順番はどうなっているのでしょうか。それを調べたのが次の写真です。

まな板の上に乗せて撮ったのを分かりやすいように反転させました。違和感はご了承を。

咲いている順番は、筒状花の咲き進み具合や舌状花の展開具合で判断しました。写真の番号順で咲いています。黒丸1〜3はほぼ筒状花が咲ききっているもの、白丸4〜7は筒状花が順次咲いているもの、括弧8〜10は蕾を表しています。6番と7番、および8番と9番はほぼ同じ開花状況でしたが微差を持って強いて順番をつけてあります。

写真でわかるように、長茎の先が咲いた後に、短茎の先が咲く順に注目です。例えば長茎の先3番の花より短茎の先5番が遅く咲き始めるということ。株全体でみると最も外側が咲いた後もその下の段やさらに奥でも咲き始めることを意味しているので株全体が新鮮な花で満たされた感じになり見栄えが良いということ。ペチュニアでは咲いている節より下では必ず花は枯れ落ちていますから大きな違いです。

以上の特徴は園芸的にも大きなメリットですよね。今後このような園芸品種が開発されていくことを期待したいと思います。また、同じような特徴を持った植物をご存知の方おられましたらぜひ教えてください。

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またしてもナスに傷がついている!

2024年08月29日 | 家庭菜園

農薬のモベントフロアブルを使用して、ようやくチャノホコリダニの被害は落ち着きました。ところが今度は下の写真のような傷のあるナスができてしまいました。が〜ん。

何かと擦れてできた物理的なキズか?? 縦方向のかすり状のキズ、といえばアザミウマ被害でしょうか。浸透移行性と残効性に優れるモベントフロアブルはアザミウマにも効果があったはずなんですが。農薬散布後にどうして被害が出たのかはよくわかりません。アザミウマは土中で蛹化するので、農薬散布時に回避したものが加害したとかが考えられるでしょうか。農薬が効きにくくなる厄介な昆虫でもあるんですよね。

果皮の被害部分を輪切り方向に薄くスライスして顕微鏡で観察してみました。すると・・

上側が外果皮で下の白いのが中果皮部分。表皮の左側は、紫色をしており正常。右側の黄色くなっている部分が被害箇所です。

これをみると、被害箇所では外果皮の正常細胞が失われて荒れているのがわかります。それを補うためにその下にある組織が増殖したようで、やや深いところまで正常箇所にはない細胞の集まりが見られました。

被害箇所が盛大にコルク化しないので、食味には大きな影響は無さそうにも思えます。なので 家庭菜園レベルなら気にしなければいいだけかも。ただ、ダニ同様にエネルギー工場である葉にも被害を与えるしウイルス病も運ぶことが知られているので軽く見てはいけない。ただ今後の予定ですが、既に8月末ですし様子を見ておいて被害拡大なければ農薬は使用しないつもり。できればアザミウマの種類の特定はしておこうかと考えています。

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茎の断面(ポーチュラカとスベリヒユとマツバボタン)

2024年08月28日 | 植物の生態

「ポーチュラカとスベリヒユとマツバボタン」シリーズの第4回目で、茎の断面の比較です。このシリーズは、あと何回か続く予定です。やり尽くした、というところでまとめたいと思います。

早速本題。この三種を茹でて食べようとした時に、茎から赤い汁が出てきたので色素の種類と分布についても興味が出ました。

それぞれの茎で輪切りの切片を作って顕微鏡で観察しました。簡易的なミクロトームで切り出したのですが、高ナットとボルトとワッシャーで作った自作なのですよ。それゆえ なかなか綺麗な切片は得られません・・まぁ安上がりに努力はしています。


まずはポーチュラカ・・・花の色が赤と薄ピンクと黄色で違いがあるか調べてみました。

  • 花色:赤・・

  • 花色:薄ピンク・・

 

  • 花色:黄色・・

色素の分布は環状に並んだ維管束の外側に限られてありました。おそらく内皮に当たる部分でしょうか。花の色に関わらず、茎の色素は全て赤紫でした。ただ、赤花の茎では他よりも濃い色をしていました。それゆえ花の色と茎の色は何らかの関係はあるのかもしれません。


次にマツバボタン・・・

  • 花色:赤・・

  • 花色:黄色・・

マツバボタンは、ポーチュラカと違って色素は表皮にありました。環状に並んだ維管束の外側ラインは、やや色づいているようにも見えますがほとんど色素はないと言っていいでしょう。こちらも黄花でも茎の色素は赤紫ですが、やはり赤花の方が濃い色をしていました。


最後にスベリヒユ行きます・・・

スベリヒユは園芸種ではないので花の色は黄色のみです。

スベリヒユの葉や茎の様子はポーチュラカに近いので色素も同じ部位に存在していると想像していましたが、それとは異なりマツバボタンと同じに表皮に限られていました。野生のスベリヒユは黄花だけですが、こちらの色素も赤紫色をしていました。倍率を上げてみると・・

こんな感じ。表皮細胞に色素が充満しているのがよくわかります。

調べたところ、これらの色素は、ベタレインだそうです。赤紫色しているのはそのうちのベタシアニン類と推測されます。

その色素の特徴として、アルカリ性にすると黄変し、酸性では色は変わらないそうです。簡単に調べられそうなので、明日、キッチン研究室で実験したいと思います。

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熱中症と暑さ指数 8月24日

2024年08月27日 | 日記

 実は、わたくし、8月24日に熱中症になりかけてしまいまして・・庭先の家庭菜園の手入れをしていた時です。いや、びっくりしました。山歩きを趣味にしたりして、暑い中で激しい運動しても全然平気だったのに。。最近鍛えていないからなぁ。と言うより年齢的なものか??。

 あともう一仕事して昼食にしようと思ったのですよ。できると思ったのに数分後にふらつき始めてしまい・・その仕事に手を出すとやばいかも・・とすぐ家の中に入りました。すぐ扇風機で頭を冷やしたのですが服を脱ぐのも億劫な感じ。少し落ち着いてから体温を測ったら37℃もありました。さらにクーラーと扇風機で体を冷やして十数分後には36.1℃まで下がりました。

ニュースで熱中症に注意しましょう と散々言われているのに救急搬送される人や命を落とす人がいるのはどうしてなのかと、少し疑問に思っていたけれど、これは急に症状が悪化するのですよ。3分前に平気だと思っても危ない。だから恐ろしいのです。暑い日に少しでもおかしいなと思ったらすぐに体温を下げるようにしましょう。少し頑張ってしまうと回復まで大変なことになるかもです。自分は趣味の家庭菜園、それも庭先だからすぐ回避できてどーってことなかったのですが、暑い中、外で仕事をしている人とか大変だと思う。どうぞお気をつけて。


と言うわけで、その時の気象状況と不快指数、暑さ指数などを求めてみたいと思います。用いるのは気象庁のデータです。

8月24日土曜日の気象庁発表のデータ 長野一部抜粋(全天日射量の単位はMJ/m^2)

私の住まいと観測所は離れてはいますが便宜上このデータを利用して正午時点での不快指数と暑さ指数を求めてみます。

気温

湿度

風速

日照時間

全天日射量MJ/m^2

11

32.1

60

2.6

0.9

2.81

12

33.2

58

3.2

0.9

3.02

13

33.1

62

4.6

0.5

2.14

  • まずは不快指数

不快指数 = 0.81 x 気温 + 0.01 x 湿度 x (0.99 x 気温 -14.3) + 46.3 

それぞれ代入して12時の不快指数 = 84.0

80〜85が「暑くて汗が出る」85以上が「暑くてたまらない」なので、「たまらない」に近かった暑さでした。

  • 次に暑さ指数

暑さ指数(WBGT) = 0.7 x 湿球温度 + 0.2 x 黒球温度 + 0.1 x 乾球温度

湿級温度については、「湿球温度換算表」を利用。と言うより、自動で計算してくれるサイトがあったのでそれを利用しました。気温33.2、湿度58を入力したら、湿球温度は26.27と算出されました。

あとは黒球温度なのですが、検索したら「岡田・日下の黒球温度推定式〜」という論文がネット上にあったのでその式を利用。論文は読み飛ばしたので、この場合、それを利用して大丈夫かは自信ありません。ですが、おおよその数字がつかめればいいので気にせず利用しました。

Tg = [(So - 38.5)/(0.0217 So + 4.35 U + 23.5)] + Ta

 Tg : 黒球温度 ( ℃) Ta : 気温 ( ℃) So : 全天日射量 (W/m^2) U : 風速 (m/s) 

とありました。気象庁の全天日射量の単位はMJ/m^2です。1J = 1Ws(sは秒)だから、1時間を秒になおした3600で割ってMJをWに変換すると

3.02MJ/m^2 =3.02 x 10^6/3600 = 838.9

これらと12時のデータを用いて黒球温度を計算したところ

Tg = 47.6

以上より暑さ指数を求めると31.2となりました・・・・とここまでやって気づいてしまったのですが、環境省の熱中症予防情報サイトで黒球温度が測定されていて、過去の実測値も公表されていたのでした。それによるとTg = 48.2 暑さ指数は31.1だったようです。まぁ、岡田・日下の黒球温度推定式を利用してもほぼ近い値が出たと言うことで・・

暑さ指数が31以上は危険レベルだったのでした。

今後は無理しないようにします。というか、暑さに負けないように体を鍛えたいと思います。最近、山歩きしていないからなぁ。

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種子の観察・ポーチュラカとスベリヒユとマツバボタン

2024年08月26日 | 野草・山野草

今回は、ポーチュラカとスベリヒユとマツバボタンの種子の比較です。どの種も大変小さな種子なので顕微鏡で観察。

1枚の顕微鏡写真で種子を表現しようとすると非常にピントが浅くなります。なのでピントの深さの異なる3枚の写真を利用して被写界深度合成をしました。現時点で利用できる合成ソフトを持っていないので仕方がなく手動で深度合成しました。なので、不自然さは否めず、ご了承ください。

  • まずはポーチュラカの種子・・・

種子の表面はジグソーパズル的なタイル状のもので覆われています。サザエの貝殻のような円錐状突起が見られます。中央の凹んだ部分「へそ」の左側についている蓋のようなものは種柄の一部の残骸です。

写っている面に関して、種子の長径は743μm、短径は621μm

  • 次にマツバボタンの種子・・・

ポーチュラカと同じようにジグソーパズル状タイルで覆われています。こちらは金属光沢があり大変美しいです。円錐状突起は見られますが、ポーチュラカよりかなり小さいです。「へそ」の左側に見られる種柄の残骸は見やすく撮れました。写っている面に関して、種子の長径はポーチュラカとほぼ同じで756μm、短径は621μmでした。

  • 次にスベリヒユの種子・・・

スベリヒユの種子表面は、他の2種とは印象が違います。茶褐色をしており鈍円錐状突起が密生しています。種柄の残骸は黄褐色であり、種子の濃い色との対比が印象的です。種子の大きさについては、他より小さく、長径は675μm、短径は594μmでした。

ポーチュラカ・スベリヒユ・マツバボタンについてのレポートは、後日一つにまとめたいと思います。

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