今回はメランポジュームがピンチをしなくてもこんもり咲く理由、徒長しにくい理由を調べていきたいと思います。
ペチュニアなどでは、枝を伸ばしながら先端付近にだけに花がつくことと、頂芽優勢のためピンチをしないと側枝が出にくい性質があります。そのため手をかけずにいると徒長しやすく草姿が乱れてしまいがちです。一方、メランポジュームはピンチなどの手間をかけなくても徒長しにくくこんもりと仕上がります。この違いはどこにあるのでしょうか。
それを調べるため、メランポジュームのある枝に注目し、節の部分で適宜カットして平面でも観察しやすいように並べました。それが次の写真です。
一番下の節に着目すると、葉が2枚(L)、茎が2本(S1、S2)、花茎が1本(Sc)出ているのがわかります。そして2本の茎は、必ず長さが違うものがセットになっているという特徴があります。この写真では長茎がS1で、短茎がS2と印してあります。節から5本の器官(葉2、茎2、花茎1)が伸びていくという特徴はどこの節でも同じになっています。
上で着目した節の上部の節だけを拡大したのが下の写真です。
このように、節の特徴が繰り返されているのが確認できました。各節から必ず2本の茎が出ることでピンチしなくてもバランスよく枝数が増えていきます。そして、2本の茎に長短があることのメリットについて。それは、咲く高さが異なることで花が混み合い過ぎるのを防いだり、最上部だけでなく、その下の段や株の奥でも花が咲くということを意味しています。
実際、花が咲く順番はどうなっているのでしょうか。それを調べたのが次の写真です。
まな板の上に乗せて撮ったのを分かりやすいように反転させました。違和感はご了承を。
咲いている順番は、筒状花の咲き進み具合や舌状花の展開具合で判断しました。写真の番号順で咲いています。黒丸1〜3はほぼ筒状花が咲ききっているもの、白丸4〜7は筒状花が順次咲いているもの、括弧8〜10は蕾を表しています。6番と7番、および8番と9番はほぼ同じ開花状況でしたが微差を持って強いて順番をつけてあります。
写真でわかるように、長茎の先が咲いた後に、短茎の先が咲く順に注目です。例えば長茎の先3番の花より短茎の先5番が遅く咲き始めるということ。株全体でみると最も外側が咲いた後もその下の段やさらに奥でも咲き始めることを意味しているので株全体が新鮮な花で満たされた感じになり見栄えが良いということ。ペチュニアでは咲いている節より下では必ず花は枯れ落ちていますから大きな違いです。
以上の特徴は園芸的にも大きなメリットですよね。今後このような園芸品種が開発されていくことを期待したいと思います。また、同じような特徴を持った植物をご存知の方おられましたらぜひ教えてください。