植物のふしぎ

植物をはじめ、生物のふしぎな生態をレポートします。
🌷ガーデニング・家庭菜園・草花と自然🌷

冬生育型の多肉植物・リトープス

2024年12月14日 | 園芸

先日リトープスを買い求めました。これまで春秋生育型の多肉植物は何品種も育ててきて自信あるのですが、リトープスが属する冬生育型を育てるのは全くの初めてなのです。やや不安。

リトープスはコロンとした物体の真ん中に割れ目ができたような形をしています。これまた植物の概念を覆すような形です。上から見ると気孔細胞のような形と言えるかもしれません。自生地は南アフリカやナミビアあたりの砂漠地帯で岩や小石に囲まれて生きているそうです。乾燥地帯に生きる植物として進化したといっていいでしょう。すなわち水分保持の観点から葉を無くし丸みを帯びた形状に。そして、植物の少ない土地で動物に喰われないためには、小石と見分けがつかないような外見になる必要があるということ。昆虫でよく見られる擬態をしているということですね。上の写真の状態で売られていたのですが、ナチュラルさを追求するなら植物体と似たような色合いの小石に紛れさせて植え付けるといいのかもしれません。おしゃれにディッシュガーデンにしたいと思ったのですが直根性なんだそう。うまくいかないかもです。

それからこの植物のおもしろい特徴として脱皮をするということが挙げられます。擬態だけでなく脱皮するっていうのも昆虫っぽくておもしろいですよね。さらに魅力を付け加えるなら色鮮やかで綺麗な花を咲かせるのですよ。今後どうなっていくのかどんな花が咲くのか楽しみです。品種もいろいろなので凝り出したら深みにハマりそうな予感。


【今後の予定】

  1. 第一には冬生育型を枯らさずに栽培すること。まずは無事に冬を越したい
  2. 脱皮と開花をさせてみたい
  3. 植物体に合う色合いの小石で植えてみたい
  4. 無事に栽培できたら数品種を集めてみたい
  5. 気孔みたいな形のリトープスの気孔はどうなっているのか見てみたい
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ビオラ:咲き進むと花色変化する品種

2024年11月22日 | 園芸

今回はビオラの色変わり品種の紹介です。花色が徐々に変化していく様子がたいへんおもしろいので、以前から店頭で見つければ入手してきました。また、一品種だけでも花色のバリエーションが楽しめるから、わたしみたいなケチな人に最適です。

一つ目:気まぐれロージー・・

咲き始めが白です。その後、中心の模様(ブロッチ)はそのままで、全体が赤紫色に変化していきます。(注:写真の花は変化前後ではなく別の花です)

二つ目:オセロブルー・・

ブロッチがケムンパス?的。唇弁の模様が黒く大き目です。咲き始めが白で、その後花弁全体が紫色に変化していきます。

3つ目:パンプキン・・

咲き始めが黄色〜オレンジで、その後に紫色に変化していきます。この写真は、変化途中のもの。今1輪しか咲いていなかったので変化前後の写真はありません。たくさん咲いてきたら変化の写真を紹介しますね。


そして、これ以外の色変わり品種として育てているのが、「乙女心」です。これは、トーホク交配から販売されているタネで、「気まぐれロージー」「天使の誘惑」「ひとつぶの涙」の三種が混合されています。ビオラのタネとしては、タネ数が比較的多く入っていたので2021年購入のものを今年も蒔きました。有効期限は2022年3月に切れていましたが今年2024年も無事発芽しました。

このうち、わたしのおすすめ品種は「天使の誘惑」です。色の変化前後が、淡黄色〜淡紫色で補色の関係の色違いが同居している様子は素敵。それと「気まぐれロージー」の赤紫色も良い色合いです。

ネットで調べたところ、これら以外に

  1. 「ラベンダーマジック」 クリーム色 → 淡いラベンダー色
  2. 「パラダイスネオン」 上弁がクリーム色 → ピンク系 幅がある色の変化
  3. 「黄金伝説」 ゴールド → テラコッタカラー
  4. 「ネオンミクスチャー」 ?
  5. 「キティールーレット」 気温変化などの環境によりよっても淡黄色〜淡紫色の変化があるそうです。

これ以外にもあるかもしれません。


まとめ

  • ビオラには色変わり品種があります。
  1. 気まぐれロージー: 白 →  赤紫色
  2. オセロブルー:   白 → 紫
  3. パンプキン:    黄〜オレンジ色 → 紫 
  4. ひとつぶの涙:   白 → 青紫色
  5. 天使の誘惑:    淡黄色 → 淡紫色
  6. ラベンダーマジック:クリーム色 → 淡いラベンダー色
  7. キティールーレット:環境により淡黄色〜淡青色
  8. 黄金伝説・他
  • 咲き始めは白〜薄い色で、咲き進むにつれて濃い色に発色していきます。開花後に発色に関わる遺伝子が働き始めるからなのだと推測できます。
  • ビオラは元々温度の影響を受けて花色が変わることが知られています。気温が低くなると赤系の色味が強くなるとのこと(PWのホームページ情報)。
  • 一品種でも色変わりが楽しめるのでケチな人に・・ではなくて物価高の時代に最適なビオラです。

今後の予定:

  1. 色の変化について、時間を追ってもう少し細かく観察していみたいと思います。おそらく来春。
  2. タネから育てている「乙女心」の「天使の誘惑」と「ひとつぶの涙」についても記録して報告したいと思います。
  3. 可能ならそれら品種のタネを採取して来年以降、育ててみたいと思います。
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ヒヤシンスの水栽培

2024年11月13日 | 園芸

11月はヒヤシンスの水栽培を始めるのに適した時期です。使用する液体は水道水だけでなく、ちょっと変わったものを水に入れてみたらおもしろいかも・・ということで簡単な実験をしました。

水栽培用の球根を三個買ってきて11月3日に開始しました。一つは水道水、そして100倍希釈のメネデール、それから500mg/Lのアスピリンとしました。メネデールを採用したのは製品のホームページの6コマまんがに「ヒヤシンスの水耕栽培」として紹介があったから。メネデールを入れると違いが出るのか、はたまた そうでもないのか?そしてアスピリンはどこかのネット情報で切り花が長持ちすると書いてあったので、ヒヤシンスの水栽培でも何か違いが出るかもと思い実験に入れました。アスピリンの加水分解で生じるサリチル酸は植物ホルモンの一種なので何らかの影響が見られるかも。。という期待。

11月3日、水栽培開始時の写真・・

左が100倍希釈メネデール入り、真ん中が500mg/Lアスピリン、右がコントロールとして水道水です。既に発根しているように見えますが、これは元々球根に付いていた枯れた根です。きれいに取り除いてから始めれば良かったかな、と少し後悔。


そして1週間後の写真・・この期間、水は換えませんでした。

左が水道水、真ん中がメネデール入り、右が500mg/Lアスピリンです。

水道水とメネデール入りは根の伸長具合は同程度のようでした。アスピリンでは根がほとんど伸びていませんでした。水の濁りについては水道水とメネデール入りで見られ、特に水道水の濁りが顕著でした。アスピリンでは、下の方にふわふわとした綿のようなものが・・これは何でしょう?球根の古い根にも似た感じで水カビのようなものが付着していました。

アスピリンの球根の根はどうなっているのか?と思い、球根をひっくり返してみると・・

アスピリン球根のお尻部分の写真です。実は開始後1日目では全ての球根で同程度根が伸長していたのです。しかし、アスピリンはそれから先、一切伸ばさなくなりました。根が傷んでしまったのかというと、写真のようにそうでもなさそうです。水を感じて根を伸ばし始めてみたものの、「ん?なんか変、伸ばすのや〜〜めた」と言った感じ。球根の気持ちを代弁してみました。


水が濁る原因について。考えられるのは、

  1. 球根の一部が溶解した
  2. 根から何らかの物質が出されそれが濁って見える
  3. 水が腐っており細菌や微生物が生じている。

ということで顕微鏡で濁った水を観察してみました。すると・・

写真のナンバー1〜3が水道水に見られた微生物、4がメネデールでみられた微生物です。2と3は同じ種類でしょうね。微生物の名前はちょっと分かりません。テトラヒメナ?とか?どれもすごいスピードで泳いでいました。ゾウリムシと同じく繊毛で泳いでいる繊毛虫門の微生物でしょう。その他にも小さな丸い粒が少しずつ動いていたりしたので他の微生物も存在しているのだろうとは思います。細菌に関しては100倍で観察しているので判別つかなく分かりません。少なくとも写真で示した微生物の数は圧倒的に多いので、これらの繁殖が水を濁らせている主因だということは言えます。

これらの微生物がどこからやってきたか?水道水やプラスチック製品に卵が付着していたとは考えられないので球根の底の部分にいたんでしょうね。漂白剤添加の条件も作っておけばよかったかな。


植物ホルモンの一つであるサリチル酸について、ネット検索した内容を書き留めておきますね。

植物は様々なストレスにさらされており、病原菌の感染、乾燥などの環境変化、虫からの食害のストレスに対してはそれぞれサリチル酸、アブシジン酸、ジャスモン酸をシグナル伝達物質として生合成してこれらのストレスに耐えるためのタンパク質合成を始めるそうです。感染に備える防御機構の一つである全身獲得抵抗性は、サリチル酸の生合成により誘導されますが、これは、アブシジン酸が誘導する環境ストレス抵抗性を抑えてしまうということでした。逆に環境ストレスによってアブシジン酸が合成されている状況では全身獲得抵抗性が抑えられるそうです。虫食いによるジャスモン酸も含め三種のホルモンは植物が受けるストレスの種類と大きさなど、その時々の緊急性にあわせて どのストレス抵抗性を優先させるか制御しているということが分かったそうです。

・同時に種類の異なるストレスがかかると植物にとっては対処できずに危機ということ。だから菜園でも野菜の気持ちになって幾つものストレスを与えないように気をつけなきゃ、ですね。

  • 2012年6月14日のNature

natureダイジェスト 「生死のスイッチ

プログラム細胞死(PCD)は病気になった細胞を死滅させて感染を広がらないようにする意味があります。PCDが起きないようにするためにNPR1という核内移行タンパク質が関係しています。関連タンパク質のNPR3とNPR4は、NPR1とタンパク質分解装置のプロテアソームを結びつけるアダプタータンパク質で これにサリチル酸が結合することで活性化し複合体形成に関与するということ。そしてサリチル酸は(NPR1+NPR3)複合体を促進する一方、(NPR1+NPR4)複合体を阻害し、さらにサリチル酸との結合親和性がNPR3 < NPR4であることから、

サリチル酸が少ない時であればNPR4と結合することで(NPR1+NPR4)が阻害されるのでNPR1がプロテアソームに分解されず細胞死は起こりません。サリチル酸の濃度が高くなると今度はNPR3に結合して(NPR2+NPR3)が促されNPR1が分解されることで細胞死が起きるということを突き止めました。植物体内でのサリチル酸濃度は感染部位から遠ざかるにつれて低くなるので、感染部分で細胞死を起こすことで局所免疫とし、それ以外の細胞は生きて全身性の免疫により抵抗性を上げているとのこと。

・ サリチル酸の濃度により細胞の生死が決まる。そうであれば、今回の実験でもアスピリンの濃度の違いが植物の反応を変化させる重要なファクターのようにも思えてきました。


結論:水は頻繁に換えたほうが良さそうです。水栽培用の充実した球根を用いればメネデールを用いなくても根の伸長は十分です。500mg/Lのアスピリンが培養液でも発根はしましたがその後の根の伸長が停止しました。


今後の予定:

アスピリンは伸長が休止しているので水道水に変えて様子を見てみることにします。メネデールはそのまま水を変えるたびに添加しておきます。そして開花まで水道水と違いが出ないか観察しようと思います。

個体差の影響を除くためにはひとつの条件に対してできるだけ多くの球根で観察する必要があります。薬品の適切な濃度を決めることに対しても複数の条件で調べるべきだとは思うのですが私にはそんな財力はなく無理というものです。さらに、部屋の中にヒヤシンスが何鉢もあると芳香を通り越して臭くなるだろうなと予想。三個でもちょっと心配になっています。

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プリムラの花に2型・異型花柱性

2024年10月31日 | 園芸

久しぶりに、というか初めて?小綺麗な写真をあげてみました。

プリムラ ジュリアンです。ホームセンターや園芸店でも出回り始めましたね。わたしは ほぼ毎年と言っていいくらいにこの花を買っているのですよ。寒くなってくるこの時期でも色がきれいだし小さくてかわいらしいから。それにこの花は香りがいいのです。柑橘系といったらいいでしょうか、爽やかな香りです。ただし、香りがいいのは黄色の花だけ。それ以外の花では全然香りません。黄色と言っても、覆輪の品種、黄色に赤系の縁取りが入るのは香りませんでした。色の種類を増やす目的で品種改良している間に香りが失われてしまったのでしょうね。ところで花のどの部分から薫ってくるのでしょうか。そこも知りたいところです。

サクラソウ科サクラソウ属のジュリアンには、他にも興味深い特徴があるのです。黄色い花の品種で比較してみますね。

香りがいいから黄色を多く買いがち。

それは花に二つのタイプがあるということ。サクラソウ属の植物はどれも異型花柱性の特徴をもっているのです。この特性については過去「ミソハギは花柱の長さが3種類」のところでも取り上げました。受精できるのは長花柱花の雌しべと短花柱花の雄しべ、あるいはその逆の場合に限られます。自家受粉を避ける仕組みの一つです。

これは雌しべの長さが長い長花柱花です。サクラソウ属の場合、見た感じからピン型ともいいます。

そしてもう一つが

雌しべが短い短花柱花です。スラム型とも言います!・・と言い切ってみたものの、この写真の花・・う〜ん、どう見てもピン型ですね。が〜〜ん、ちゃんと見ずに買ってきてしまった。ん〜ドジっ子。スラム型の場合、雌しべではなく雄しべが顔を出しているはずなのですよ。あとでこそっと正真正銘のスラム型の写真に差し替えておきますね。スラム型のスペルはthrumで織端のこと。雄しべが顔を出した様子が織端の糸がほつれた感じに似ているからなんでしょうね。

見目麗しいのはピン型とスラム型でどっちなんだ、ということですが、わたしは専らピン型を買うことが多いです。雌しべが中心にしっかりあると花のまとまりがいい感じがするし、それにレディーは第一にしておいた方が何事もうまくいきますので。。大同小異って言ってしまえばそうなのですが。


黄色の花で典型的なスラム型を探しにホームセンターや園芸店を数店行ってみたのですが、なぜか見つかりませんでした。過去には1:1くらいの割合で確かにあったのですがね。その代わり、赤い花で中心が黄色の品種にピン型、スラム型があったのでその写真を載せておきますね。

まずはピン型(長花柱花)・・

そしてスラム型(短花柱花)・・


まとめ

  1. プリムラをはじめサクラソウ科の花は異型花柱性で、自家受粉や同型同士での受粉が避けられる工夫がなされています。
  2. 雌しべ、雄しべの形状から、特にサクラソウ科では長花柱花をピン型、短花柱花をスラム型といいます。
  3. 最近、なぜか店頭ではスラム型が並べられている数が少ない印象です(個人的感想)。
  4. プリムラジュリアンでは黄色の花の品種のみが柑橘系の良い香りを持っています。
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香りあるミニシクラメン・パリジェンヌ

2024年10月23日 | 園芸

先日、香りのあるミニシクラメンを手に入れました。パリジェンヌという品種です。500円台半ばでした。

良い香りがしています。どんな香りか・・については語彙力が低くて表現できません。ごめんなさい。店頭で見かけたら、是非花に近づいてみてくださいな。

昨年育てた香りシクラメンの「ファルバラローズ」に似ている香りかな?とも思いました。ただ、10ヶ月くらいも前のことなのではっきり覚えていないしどの程度似ているかは正確には分かりません。両者を並べて比較したいところですが。。。

ファルバラローズは花が終わった後も大切に育てていたのですよ。その甲斐があって今年の8月の暑さも無事に越えて葉っぱも青々してました。さらにたくさんの葉っぱを出してほしいなぁと思っていたのですが・・・9月に入って急に腐りました。「やわらか戦車」のように簡単に腐りました。あっけなく腐りました。「♪ゆ〜び先でつ〜つかれたらそこからく・さ・る〜♪」ってな感じです。今年の9月は異常な暑さが続いていたのに水を多すやり過ぎたんですね。無事に夏を越えられたと思って油断したのがいけなかった。それに花が咲いていない植物に対しては、つい愛が薄れてしまって・・相手のことよく見なくなるからねぇ。反省です。

ミニシクラメンのパリジェンヌは普通のシクラメンのファルバラローズよりは丈夫だとは思います。そうであっても油断せず丁寧に育てていきたいと思います。


【追加情報】

園芸店でファルバラローズを見つけました。その香りはパリジェンヌと全く同じでした。香りに関係する遺伝子が同じなんでしょうね。

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