長嶺ヤス子が次の公演「CASA BLANCA」にむけ稽古を始めた。スペインからお馴染みのアントニオ・デルガードとイサク・バルベーロが到着、11月23日が稽古の初日となった。場所は東京大仏として知られる乗蓮寺。長嶺が物語りのあらすじを2人にスペイン語で説明した後、できる箇所からさっそく稽古にかかる。ずっと長嶺の振り付け・演出を担当している池田瑞臣さんの指示で細かい動きが徐々に固まっていく。踊り手はすべての動きを身体で覚えなければならないので大変だ。1分ほどの踊りが固まると長嶺が1つ1つの動きを自分の言葉で復唱、池田さんが1つ1つ筆記してゆく。いつもの作業である。池田さんは古いカレンダー用紙を大量に持ち込みその裏に大きめの字で書き込む。後で振りを忘れた場合、この紙がバイブルになるのである。1公演ごとに膨大な量のカレンダー用紙がたまるというわけだ。2時間の公演を観客は漠然と観てしまうが何千、何万という振り、動きはすべてが計算尽くされているのである。どの世界でもプロの仕事は余人の想像を超える凄さを秘めているものだが、舞踊の世界もこうした神経と肉体を駆使した細かい配慮と努力で成り立っているのだ、とつくづく思い知らされる。
「Casa Blanca」は12月11日“ゆうぽうとホール”で行われる公演で、スペインとアメリカのダンサーと競演する愛と死の相克を描く2時間の大作である。内戦に巻き込まれ1家皆殺しに直面した女は死を前にして辛うじて1人息子の赤子を助ける。20年後、死の世界で女は赤ん坊の人形を抱き、生の世界に残した我が子を懐かしみながらも自分を愛する男たちに囲まれて暮らしている。しかし、彼女はぐうぜん生の世界で白い家の前にたたずむ美青年を見かけ心惹かれる。女は青年を殺し死の世界に引き込めば自分のものにできると思い、懸命に青年の殺害を試みるが、彼女を愛する死の世界の男たちはそれを阻止しようとして戦いがはじまる。しかし、青年が持つ十字架が20年前に自分が息子に与えた物であることが判明、息子を恋することを諦めて女は青年を生の世界に放免する。これはオイデプス神話の長嶺ヴァージョンである。しかも死の世界は日本の童歌(わらべうた)で、生の世界はフラメンコのカンテで描くという実験を試みる。アメリカから招聘する3人の黒人ダンサー、2人のスペイン人フラメンコダンサー、アメリカ、・スペイン両国のミュージシャンを揃えた豪華舞台となる。
11月28日にはアメリカからデリック・ミンターが到着、昨日から稽古を始めた。彼は有名なAlvin Ailey American Dance Theaterのメンバーでオクラホマ州立大学の助教授を務めるアメリカ有数の黒人ダンサーである。私自身も長年の友人で再会を喜びあった。私は長嶺が説明するストーリーを英語に通訳、稽古もある程度手伝った。ある程度というのは、じっさいの振り付けが始まると、身体と身体の会話が主なので言葉の問題は殆どなくなるからである。
ドキュメンタリーの撮影も順調、今度の公演がクライマックスになるので高松カメラマンも張り切っている。撮影は3月までで、その後はポストプロダクションに入る予定だ。今日はアメリカから残りの2人が到着。アメリカ・スペインの音楽関係者が揃うのは12月3日、そこから総仕上げが始まる。私たちも緊張の時を迎える。
「Casa Blanca」は12月11日“ゆうぽうとホール”で行われる公演で、スペインとアメリカのダンサーと競演する愛と死の相克を描く2時間の大作である。内戦に巻き込まれ1家皆殺しに直面した女は死を前にして辛うじて1人息子の赤子を助ける。20年後、死の世界で女は赤ん坊の人形を抱き、生の世界に残した我が子を懐かしみながらも自分を愛する男たちに囲まれて暮らしている。しかし、彼女はぐうぜん生の世界で白い家の前にたたずむ美青年を見かけ心惹かれる。女は青年を殺し死の世界に引き込めば自分のものにできると思い、懸命に青年の殺害を試みるが、彼女を愛する死の世界の男たちはそれを阻止しようとして戦いがはじまる。しかし、青年が持つ十字架が20年前に自分が息子に与えた物であることが判明、息子を恋することを諦めて女は青年を生の世界に放免する。これはオイデプス神話の長嶺ヴァージョンである。しかも死の世界は日本の童歌(わらべうた)で、生の世界はフラメンコのカンテで描くという実験を試みる。アメリカから招聘する3人の黒人ダンサー、2人のスペイン人フラメンコダンサー、アメリカ、・スペイン両国のミュージシャンを揃えた豪華舞台となる。
11月28日にはアメリカからデリック・ミンターが到着、昨日から稽古を始めた。彼は有名なAlvin Ailey American Dance Theaterのメンバーでオクラホマ州立大学の助教授を務めるアメリカ有数の黒人ダンサーである。私自身も長年の友人で再会を喜びあった。私は長嶺が説明するストーリーを英語に通訳、稽古もある程度手伝った。ある程度というのは、じっさいの振り付けが始まると、身体と身体の会話が主なので言葉の問題は殆どなくなるからである。
ドキュメンタリーの撮影も順調、今度の公演がクライマックスになるので高松カメラマンも張り切っている。撮影は3月までで、その後はポストプロダクションに入る予定だ。今日はアメリカから残りの2人が到着。アメリカ・スペインの音楽関係者が揃うのは12月3日、そこから総仕上げが始まる。私たちも緊張の時を迎える。