実は2日くらい前に、感情の激落ちピークが来た。
あれは月曜日の夜だったんじゃないかと思う。
自分なんて、こんな状況じゃ
世の中の役になんて全く立たないんじゃないか
そんな気持ちがマックスに達してしまってこらえきれなくなった。
他のミュージシャン達のことは尊敬しており、世の中の役に立つ人たちだと思っているのだけど、自分のことだけがどうも役にたつとは思えない。
夜中になるにつれ感情がもうどうしようもなくなり
私は思いを吐露するメールをJohn MoscaとDouglas Purvianceに同報で書いた。
お願いがあります。
日本は本当にまずいです。本当にピンチだと思います。
今日は月曜日で、きっと夜Village Vanguardでライブがあると思うのだけど、そこで日本が助けを必要としているということを、来場者の皆さんに言ってもらえないでしょうか。
助けてほしいということを、知ってほしいんです。
こんなお願いおかしいのは分かってるし、いつもジョンとダグラスの前ではちゃんとよい子でいようと頑張ってきたけれども
今回だけはどうか、甘えさせてください。
もし日本のことに触れてくれたら本当に有り難いです。
それからもう1つお願いがあります。
日本では数多くのミュージシャンが
もし自分が医者だったら怪我人を助けたりできるのに。自分はミュージシャンだから何の役にも立たない。と感じて自信をなくし、塞ぎ込んでいます。
実は私もそういう風にしか考えられなくなって、とても辛いです。
二人のように凄い人たちだったらきっと
これまでに、こういう苦境の中でもミュージシャンとして人の役にたったという経験があるんじゃ無いかと思い
すがるような思いでメールを書いてます。
もしそういう経験があったら私に話してもらえないでしょうか。
日本のみんなと、共有したいんです。
そうしたら、ダグラスから電話があり、
確信に満ちた声で彼はこう言ってくれました。
以下、彼が一生懸命、とても力強い声で言ってくれた意見です。
イラストは関西在住のイラストレーター藤岡宇央(ふじおかたかお)さん(クリックで拡大)
http://www.jazgra.com/
(本編)
----------------------
みぎわ、まず、君が自信をなくしちゃった、というのは、ちょっと間違っていると思う。
君は、誇りを持つべき存在であって、自信をなくすべき存在じゃない。
君はお医者さんだったら被災した怪我人をなおせるのに
大工さんだったら被災地域に家を建てられるのに、と言ったね。
どちらも当たってる。その通りだ。
じゃあ、芸術家は何が出来ると思う?
(みぎ既に泣いており、鼻声で「わかりましぇん」)
芸術家はね、人のこころに直接触れられるんだよ。
(みぎ泣き崩れる。「ああ、そうか・・・!!!」)
そうだよ。
いいかい、芸術家っていうのは、人の感情に直接ふれることが出来る仕事なんだ。
地震のせいで、家がなくなった人がたくさんいるね、
病気になったり怪我した人もたくさんいてつらいね。
だけど、よく考えてみてほしい
それ以上に凄い数「辛い思いをしている人」だって居るだろう。
芸術家っていうのは、そういう方達のこころに直接ダイレクトに触れて、それを治して(癒して。cureして)あげらるという凄い仕事なんだ。
しかも「音楽」というのは
各芸術の中でも特に
とてもダイレクトにこころをふるわせることの出来る種類の芸術で
みぎわ、よく考えるんだ、
きみはそれをやれる能力を持ってる。
きみはピアノが弾ける。
曲が書ける。
これまでも僕に美しい曲をたくさん作って弾いてくれたじゃないか。
つまり、君は、そういう役割を担え、と選ばれた人なんだ。
選ばれているんだよ、そんな素晴らしい仕事をやりなさい、と。
(You are chosen by higher power to do it.)
(ダグラスの話がすっかり腹に落ちて、
号泣していたけれども私は既にもうハッピーな気持ちだった。
だけどやはり、電話を切ったらまた落ち込むのじゃないかという気もしていたのでこう聞いた。
みぎ 「もしかしたら私は、感性まるだしで生きすぎているのかもしれない。テレビで流れる画像とか、辛くて、動揺してしまって、もうなんというか、どうしたらいいのか・・・」
ダグ 「そりゃそうだよ、あれだけの絵を流し続けられたら誰だって参る。みぎわ、きみの他に誰があの画像に参ってるか知ってるかい?僕だよ、僕。僕もテレビをもう見ていられない。僕の愛する日本がこんなになっちゃってるのかと思うと、もう動揺しちゃって、泣きそうになって、見ていられなくなるよ。だから気持ち分かるよ。」
でもね、と言ってダグラスは続けた。
音楽の凄いところは
楽しいこと幸せなことだけじゃなく
目を覆いたくなるような苦しみすら芸術にかえることができる
そういう計り知れない大きさを持っているところなんだ。
About last nightってみぎわの曲があるでしょう。
あれは、辛い気持ちの日に書いたのだったでしょう?
決してハッピーな気持ちじゃあなかったと言っていたはず。
だけどあの曲が持つ美しさを見ろ。
辛く苦しく、もう耐えられない、もうどうしたらよいか分からない
という気持ちからも美しい物が紡ぎ出せる。*
それが音楽の計り知れない深さなんだ。
ビリー・ホリデイの「奇妙な果実」っていう曲を知ってるね。
あの曲がすさまじい壮絶なストーリーに基づいたものだということは知ってるね。
それが音楽の、信じられないほどの深淵なんだよ。
音楽って、人生そのものだって話をこれまでもよく話したでしょ。
音楽は人生なんだ。
美しいものもある、醜いものもある、耐えられないこともある、一方で喜びもある。
そういうの全部含めて人生で、すなわちそれが音楽なんだ。
きみはそういう、言葉では表現しきれないほど深い芸術かつ
人々のこころへ直接届くことのできる芸術をやれと
選ばれてそこにいる。
自信をなくすなんておかしい、自信をなくすんじゃない。
君ができることはたくさんある。今見えていないだけだ。
ミュージシャンとして生きる人生、
ミュージシャンであることを、誇りに思え。
いいね!
(うううう・・・と泣いて、いぇしゅ、アイアンダースタンド!(鼻声)と答えました。My heart is always with you, everyone in the band love you always. (僕のこころはいつもきみと一緒だから。バンドみんなきみを愛してるから。と念押しをされ、バイバイをしてこの電話は終わりました。)
*ダグラスが言いたかったことのベストな訳としては、「どんなに壮絶なものであっても音楽はそれを「芸術」に昇華させることができる」、ということだなと後から感じました。
----------------------
このダグラスのアドバイスの良いところは
「あれをやれ」「これをやれ」と具体的に指示していないところだな。
と、後で私は思いました。
やることを指示する。指示された通りに動く。
という「子供のおつかい型」のアドバイスだったらきっと誰でもできる。
(私だったらYOUTUBEで元気の出る曲を検索してツイートで紹介する、とか!みたいな超具体策をアドバイスしてしまうかもしれない)
けれどもダグラスは意識的なのか無意識なのか分からないけど
どーんといきなり本質に迫った答えを言ってくれた。
音楽家のやるべきことは
こころに直にタッチして、痛んでいるこころを癒し、傷を治す手伝いをすること。
それが必要な「こころの怪我」を負った方は実はたくさんいること。
そしてそれを「やれ」と任命されてこの世に生きていることは
実はとても誇らしいことなのだということ。
これを聴いてから私は、前と同じような落ち込み方はしなくなりました。
どう訳すかずっと考えていたりして
ブログに書くのが遅くなってしまったけれども
このブログが誰かのお役に立てればいいなあと思っています。
みんなが、自分なんて・・・と思わないですみますように!
祈っています!
みぎわ
あれは月曜日の夜だったんじゃないかと思う。
自分なんて、こんな状況じゃ
世の中の役になんて全く立たないんじゃないか
そんな気持ちがマックスに達してしまってこらえきれなくなった。
他のミュージシャン達のことは尊敬しており、世の中の役に立つ人たちだと思っているのだけど、自分のことだけがどうも役にたつとは思えない。
夜中になるにつれ感情がもうどうしようもなくなり
私は思いを吐露するメールをJohn MoscaとDouglas Purvianceに同報で書いた。
お願いがあります。
日本は本当にまずいです。本当にピンチだと思います。
今日は月曜日で、きっと夜Village Vanguardでライブがあると思うのだけど、そこで日本が助けを必要としているということを、来場者の皆さんに言ってもらえないでしょうか。
助けてほしいということを、知ってほしいんです。
こんなお願いおかしいのは分かってるし、いつもジョンとダグラスの前ではちゃんとよい子でいようと頑張ってきたけれども
今回だけはどうか、甘えさせてください。
もし日本のことに触れてくれたら本当に有り難いです。
それからもう1つお願いがあります。
日本では数多くのミュージシャンが
もし自分が医者だったら怪我人を助けたりできるのに。自分はミュージシャンだから何の役にも立たない。と感じて自信をなくし、塞ぎ込んでいます。
実は私もそういう風にしか考えられなくなって、とても辛いです。
二人のように凄い人たちだったらきっと
これまでに、こういう苦境の中でもミュージシャンとして人の役にたったという経験があるんじゃ無いかと思い
すがるような思いでメールを書いてます。
もしそういう経験があったら私に話してもらえないでしょうか。
日本のみんなと、共有したいんです。
そうしたら、ダグラスから電話があり、
確信に満ちた声で彼はこう言ってくれました。
以下、彼が一生懸命、とても力強い声で言ってくれた意見です。
イラストは関西在住のイラストレーター藤岡宇央(ふじおかたかお)さん(クリックで拡大)
http://www.jazgra.com/
(本編)
----------------------
みぎわ、まず、君が自信をなくしちゃった、というのは、ちょっと間違っていると思う。
君は、誇りを持つべき存在であって、自信をなくすべき存在じゃない。
君はお医者さんだったら被災した怪我人をなおせるのに
大工さんだったら被災地域に家を建てられるのに、と言ったね。
どちらも当たってる。その通りだ。
じゃあ、芸術家は何が出来ると思う?
(みぎ既に泣いており、鼻声で「わかりましぇん」)
芸術家はね、人のこころに直接触れられるんだよ。
(みぎ泣き崩れる。「ああ、そうか・・・!!!」)
そうだよ。
いいかい、芸術家っていうのは、人の感情に直接ふれることが出来る仕事なんだ。
地震のせいで、家がなくなった人がたくさんいるね、
病気になったり怪我した人もたくさんいてつらいね。
だけど、よく考えてみてほしい
それ以上に凄い数「辛い思いをしている人」だって居るだろう。
芸術家っていうのは、そういう方達のこころに直接ダイレクトに触れて、それを治して(癒して。cureして)あげらるという凄い仕事なんだ。
しかも「音楽」というのは
各芸術の中でも特に
とてもダイレクトにこころをふるわせることの出来る種類の芸術で
みぎわ、よく考えるんだ、
きみはそれをやれる能力を持ってる。
きみはピアノが弾ける。
曲が書ける。
これまでも僕に美しい曲をたくさん作って弾いてくれたじゃないか。
つまり、君は、そういう役割を担え、と選ばれた人なんだ。
選ばれているんだよ、そんな素晴らしい仕事をやりなさい、と。
(You are chosen by higher power to do it.)
(ダグラスの話がすっかり腹に落ちて、
号泣していたけれども私は既にもうハッピーな気持ちだった。
だけどやはり、電話を切ったらまた落ち込むのじゃないかという気もしていたのでこう聞いた。
みぎ 「もしかしたら私は、感性まるだしで生きすぎているのかもしれない。テレビで流れる画像とか、辛くて、動揺してしまって、もうなんというか、どうしたらいいのか・・・」
ダグ 「そりゃそうだよ、あれだけの絵を流し続けられたら誰だって参る。みぎわ、きみの他に誰があの画像に参ってるか知ってるかい?僕だよ、僕。僕もテレビをもう見ていられない。僕の愛する日本がこんなになっちゃってるのかと思うと、もう動揺しちゃって、泣きそうになって、見ていられなくなるよ。だから気持ち分かるよ。」
でもね、と言ってダグラスは続けた。
音楽の凄いところは
楽しいこと幸せなことだけじゃなく
目を覆いたくなるような苦しみすら芸術にかえることができる
そういう計り知れない大きさを持っているところなんだ。
About last nightってみぎわの曲があるでしょう。
あれは、辛い気持ちの日に書いたのだったでしょう?
決してハッピーな気持ちじゃあなかったと言っていたはず。
だけどあの曲が持つ美しさを見ろ。
辛く苦しく、もう耐えられない、もうどうしたらよいか分からない
という気持ちからも美しい物が紡ぎ出せる。*
それが音楽の計り知れない深さなんだ。
ビリー・ホリデイの「奇妙な果実」っていう曲を知ってるね。
あの曲がすさまじい壮絶なストーリーに基づいたものだということは知ってるね。
それが音楽の、信じられないほどの深淵なんだよ。
音楽って、人生そのものだって話をこれまでもよく話したでしょ。
音楽は人生なんだ。
美しいものもある、醜いものもある、耐えられないこともある、一方で喜びもある。
そういうの全部含めて人生で、すなわちそれが音楽なんだ。
きみはそういう、言葉では表現しきれないほど深い芸術かつ
人々のこころへ直接届くことのできる芸術をやれと
選ばれてそこにいる。
自信をなくすなんておかしい、自信をなくすんじゃない。
君ができることはたくさんある。今見えていないだけだ。
ミュージシャンとして生きる人生、
ミュージシャンであることを、誇りに思え。
いいね!
(うううう・・・と泣いて、いぇしゅ、アイアンダースタンド!(鼻声)と答えました。My heart is always with you, everyone in the band love you always. (僕のこころはいつもきみと一緒だから。バンドみんなきみを愛してるから。と念押しをされ、バイバイをしてこの電話は終わりました。)
*ダグラスが言いたかったことのベストな訳としては、「どんなに壮絶なものであっても音楽はそれを「芸術」に昇華させることができる」、ということだなと後から感じました。
----------------------
このダグラスのアドバイスの良いところは
「あれをやれ」「これをやれ」と具体的に指示していないところだな。
と、後で私は思いました。
やることを指示する。指示された通りに動く。
という「子供のおつかい型」のアドバイスだったらきっと誰でもできる。
(私だったらYOUTUBEで元気の出る曲を検索してツイートで紹介する、とか!みたいな超具体策をアドバイスしてしまうかもしれない)
けれどもダグラスは意識的なのか無意識なのか分からないけど
どーんといきなり本質に迫った答えを言ってくれた。
音楽家のやるべきことは
こころに直にタッチして、痛んでいるこころを癒し、傷を治す手伝いをすること。
それが必要な「こころの怪我」を負った方は実はたくさんいること。
そしてそれを「やれ」と任命されてこの世に生きていることは
実はとても誇らしいことなのだということ。
これを聴いてから私は、前と同じような落ち込み方はしなくなりました。
どう訳すかずっと考えていたりして
ブログに書くのが遅くなってしまったけれども
このブログが誰かのお役に立てればいいなあと思っています。
みんなが、自分なんて・・・と思わないですみますように!
祈っています!
みぎわ
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