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ロシアの原発専門家の見解/ほおじろえいいち氏のブログより転載

2011-03-19 | 特殊
世界中の人たちが福島原発の行方を見守っています。日本から遠く離れたアメリカでも、「間もなくハワイとアメリカに放射性物質が飛んでくるので、XXを摂取しましょう」などと呼びかけるメルマガなども発信され、私のところにも送られてきました。その他諸外国のテレビ番組などはほとんどパニックに陥っているかのような報道ぶりです。それらをみると、気分が悪くなってきます。

しかしロシアのテレビ放送では、チェルノブイリを経験した核物理学者たちを呼んで冷静に議論し、彼らの「福島原発は決してチェルノブイリのようにはならない」という明確な見解を流しています。そのなかの何人かはすでに日本に到着しており、技術的な援助の準備に入っているようです。

このテレビ放送は日本でも契約すれば見ることができます。3月16日にそれを見た私の友人が内容を英訳して本日送ってくれました。以下にそれを掲載しますので、不必要な不安や恐れをいだくことがないようにお願いいたします。

~以下日本語訳の要約です~

ロシアのトップレベルの核物理学者(原発専門家)たちによると、今回の福島原発の事故により、深刻な放射能汚染は起こらないだろうとのことです。その根拠として彼らが言ったことをまとめると次のようになります。

震災直後の期間(3月11日~15日)、本件に関する誤報が多くみられた。危機時の報道体制の弱さ、物理学や自然法則に関する誤解、原子炉の構造や運転に関する基本的な知識不足のためだろう。すべての報道にこの問題が見られた。

福島原発は、いわゆる沸騰水型の原子炉(BWR)。調理器でいえば、圧力なべのようなもの。核燃料が水を沸騰させ、圧力蒸気がタービンを回して発電したあと蒸気は冷やされて水となり、再び核燃料のところに戻されて沸騰しタービンを回す。この繰り返しで発電されるというわけ。この圧力なべ(格納容器)は250℃で運転される。

核燃料に使われているのは酸化ウラン。これは3,000℃にならないと溶けないセラミックで、それがジルコニウム合金製の細長い筒状の容器の中に密閉されて入っている。この容器が溶ける温度は2,200℃だ。これが燃料棒と呼ばれているもの。そして何本もの燃料棒が反応炉に収められている。これがいわゆる炉心(コア)である。

このようにコアは、ジルコニウム合金の筒(燃料棒)、格納容器、さらにパイプやポンプなどの装置も頑丈に密封されている。また、万が一最悪の事態(メルトダウン:炉心溶融)となったときのために、これらの施設はグラファイト(黒鉛)を混ぜたコンクリート基礎の上に設置されている。これが炉心溶融時の核物質を吸収する。それによってさらなる核反応は進まず、冷却に向かうことになる。

核燃料は核分裂によって熱を発生する。ウラニウム原子が小さな原子に分裂するわけだが、その時熱と中性子が発生する。この中性子が他のウラニウム原子に当たって、さらに核分裂が進行する。これが核連鎖反応と呼ばれるもの。たくさんの燃料棒をお互いにくっつけて置いておくと、オーバーヒートして45分後には燃料棒は溶け始める。しかしこの時点で核燃料が核爆弾のように爆発を起こすことは決してない。チェルノブイリ原発が爆発したのは、過剰な圧力が発生し、水素爆発が起こり、すべての格納施設を破壊して溶融核物質を環境中に放出した。しかし、これは今回福島原発では起こらない。なぜか?

まず、核連鎖反応を制御するため、制御棒が使われている。これが中性子を吸収し、瞬時に連鎖反応を無くしてしまう。運転中はこの制御棒をはずして反応を進めさせる。そして冷却水が熱せられ、上記のように蒸気がタービンを回して発電する。正常に運転されているときは250℃で、周りにいる私たちは安全なのである。

問題は、制御棒を入れ、核連鎖反応を止めたあとでも、核燃料が発熱することだ。ウラニウムには核連鎖反応が起こっていない。しかし、核分裂によって発生した放射性物質がそこに残っている。その主なものが放射性セシウムと放射性ヨウ素である(訳者注:これらは放射性同位元素といわれるもの)。そして、これらのセシウムとヨウ素はさらに小さな原子に分裂し、もはや放射能を帯びた物質ではなくなっていく。

放射性セシウムと放射性ヨウ素は崩壊を続けて熱を発生させるが、ウラニウムはすでに反応を止めているので、さらに放射性セシウムと放射性ヨウ素が発生することはない。したがってこれらの放射性原子による燃料棒は次第に冷えていくことだろう。しかし今私たちを悩ませているのは、この燃料棒にある放射性セシウムと放射性ヨウ素がさらに分裂して無害化するときに発生している熱だ。

今回問題となっている放射性物質には2種類のものがある。ひとつは燃料棒のなかにあるウラニウムと分裂してできた放射性セシウムと放射性ヨウ素だ。もうひとつは燃料棒の外で生成した放射性物質だが、これらは数秒のうちに放射能を半減させ、すぐに危険な物質ではなくなる。燃料棒の外で、水や空気に中性子が当たったことによってできた放射性物質は、すぐに安全な物質に変わってしまうのだ。放射性の窒素やキセノンガスなどがこれにあたる。

…地震時に原発に何が起こったか、たとえば津波によってバックアップ電源施設がなくなって、炉心を冷やす水が入れられなくなったことや、運転員の緊急時対応マニュアルに沿った対応などが説明されている(詳細はここでは省略します)…しかし、燃料棒をうまく冷やし続けることができない可能性が出てきた時点で多くの人たちがショックに陥り、皆が炉心溶融(メルトダウン)を心配し始めた…

しかし、炉心を2,200℃以下に保っていれば決してメルトダウンは起こらない。また圧力容器内の圧力がガス抜きによって低く保たれているので、容器が爆発を起こすことはないだろう(訳者注:このガスのなかには上で説明した2番目のタイプの放射性物質が含まれています。主にこれが原発周辺の放射性レベルを上げていると思われます)。

放射性窒素やその他の放射性ガスはすぐに安全な物質に変化してしまうので、ほとんど人間の健康に影響を及ぼすことはない。爆発が起こって建物の外壁が吹っ飛んだが、外壁はもともと放射性物質を遮蔽する設計にはなっていない。運転員が蒸気を直接環境へ放出させず、圧力容器と外壁のあいだに放出させて圧力容器の圧力を低減させたようだが、その時炉心温度が高かったので水分子が水素と酸素に分解され、それらが反応して爆発したのではないか。たが、チェルノブイリの時は圧力容器が爆発した。しかし福島原発ではチェルノブイリのような爆発は決して起こらないだろう(訳者注:圧力容器が爆発するというのは、原子爆弾が爆発するのと同じようなものだそうです)。

福島原発で起こっている放射能問題は、ウランの核分裂によって生じた放射性セシウムと放射性ヨウ素が蒸気に混じって環境に放出されていることだろう。現実に微量ながらこれらの物質が環境中から検出されている。しかし一番問題のウラニウムは完全にコントロールされている。燃料棒は3,000℃までは溶けることはない。…以下略…


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