図33:ギリシャのパピルス・ホロスコープ(西暦138年) ©大英図書館
ギリシャのホロスコープ
ギリシャ/ヘレニズム流ホロスコープ占星術は紀元前62年から7世紀まで続いた(図33を参照)。
最古のギリシャのホロスコープは、紀元前62年、コンマゲネ王朝のアンティオコスⅠ世ポンペイの戴冠式に関するものである。ギリシャの約180に及ぶホロスコープの大半は、初めの西暦5世紀に集中している。130はヴェッティウス・ヴァレンスが作成したものだ。エジプトの9つのホロスコープは紀元前37年から西暦93年の間のものである。一般的に言えば、ホロスコープはほとんど意味のあること語っていない。後になると(西暦紀元1年以降)、粘土に代わり、ホロスコープはパピルスや陶磁器片や壁に書かれた(図34、35および36を参照)。
ギリシャの天文学/占星術についてのまとめ
アリスタルコスやピュテアスをはじめとしてギリシャ人は基本となるような多くの天文学上の事実を世界に紹介することができたが、悲しくも、それは14世紀も認められず、コペルニクスの再発見を待たねばならなかった。占星術の分野では、バビロニア後期・初期のギリシャの数学および天文学の産物である星占いのホロスコープが出現した。
昔のギリシャの天文学者が占星術を信じたのか、あるいは星による占いのパワーを信じたのかどうか、そして、もし信じていたとするとそれは何故か、という問題が時々持ち出されるが、占いを強く支持した者もいたし、またそうでなかった人たちもいたというのがその答えだ。初めの頃、天文学者であることと「天文学の預言者」であることは矛盾しているわけではなかった。数学者で天文学者であるピタゴラスやポシドニウスPoseidoniusは占いを支持していたが、エウドクソスはそうではなかった。
カエサル(アウグストゥス)の27年
アウグスツス暦のファオフィ月の5日
その日のおよそ3時間目
太陽はてんびん座に
月はうお座に
土星はおうし座に
木星はかに座に
火星はおとめ座に
[金星はさそり座に]
[水星はおとめ座に]
[さそり座が昇っている]
[しし座は中天にあり]
[そこでおうし座は]沈む。
中天から下にみずがめ座があり
危険が迫る。
火星がある故に
40日間気をつけよ
図34: ギリシャのホロスコープ(紀元前4年)。オットー・ノイゲバウアおよびH.バン・ホーゼン、「ギリシャのホロスコープ」アメリカ哲学協会(1959年))から。
ディデュモスDidymos。土星はてんびん座に
木星(と)月はやぎ座に
おひつじ座中の金星
おうし座中の太陽
ふたご座中の水星(と)火星
しし座の中にホロスコープ
図35:ギリシャの星占い(西暦紀元217年)。オットー・ノイゲバウアおよびH.バン・ホーセン、「ギリシャの星占い」アメリカ哲学協会(1959年))から。
てんびん座(?)中に
幸運がある。E[----]の誕生
61年、エベイフEpiphi月3日、その日の8時
ホロスコープと木星がてんびん座に
月はさそり座に
土星はみずがめ座に
水星(と)金星は双子座に
太陽(と)火星はかに座に。
火星は(太陽)に7度と接近し、
2倍の力を得て、異常なことを
引き起こすであろう。もし、(他の惑星が)そこに無ければ、
沈んでいる(惑星は)(力を)持たないから、
悪い影響を全く与えないだろう。
しかし、金星が
それを遮れば、それは父親に更なる援助と
成功の両方をもたらすであろう。
図36:ギリシャのホロスコープ(紀元345 年)。オットー・ノイゲバウアおよびH.バン・ホーセン、 「ギリシャの星占い」アメリカ哲学協会(1959年))から。
福島憲人・有吉かおり
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