2009年総選挙の投開票日まであと3日。
鳩山由紀夫代表率いる民主党が「政権交代」の追い風に乗る一方、麻生太郎首相率いる自民党は土俵際まで追い込まれつつある。
政治評論家の小林吉弥氏による政党別獲得議席最終予測では、
民主党は絶対安定多数(269議席)を突破し、衆院の3分の2(320議席)以上を確保。
自民党は90議席台という歴史的大惨敗を喫し、党分裂の危機に立たされる可能性が高いという。
「終盤戦に入り、自民党幹部らは民主党批判を繰り返しているが、民主党への流れができつつある中では逆効果になっている。マニフェスト(政権公約)にもインパクトがないうえ、他党の悪口では、有権者は興ざめだろう。政権政党としての終焉が近づきつつある」
小林氏はこう語る。政党別の獲得議席最終予測は、これまでの分析に、最新の情勢調査や選挙区事情を加え、小林氏が割り出した。
まず、自民党は解散前301議席だが、小林氏は「小選挙区42、比例区49の91議席」とみる。
3分の1以下、210議席減という壊滅的打撃を受ける。
「公示後、情勢はむしろ悪化の方向にある。直近の世論調査もそれを物語る。『政権交代』とともに『世代交代』の大波が直撃し、首相・幹事長経験者らが落選しそうだ。森喜朗、海部俊樹両元首相や細田博之幹事長も危ない。北海道や沖縄をはじめ、小選挙区で自民党候補が全滅する県が複数出る」
最悪の場合、さらにマイナス11の80議席の可能性も指摘する。
「自民党は54年間も権力の座に安住だったことで、いまやそれが緩みやおごりにつながっている。麻生首相らの失言も止まらない。有権者の自民党に対するフラストレーションはピークに達している」
太田昭宏代表率いる公明党は31議席だが、小林氏は「小選挙区2、比例区23の25議席」と分析する。
「民主党の勢いに飲み込まれている。公明党が誇る組織力だけで対抗するのは難しく、太田代表も冬柴鉄三前幹事長も今回は厳しい。自公両党の選挙協力も緩んでいる。選挙後、自公連立が崩壊する可能性が高い」
【選挙後、自民は分裂か】
与党陣営は、自民党と公明党、改革クラブ、与党系無所属を合わせても116議席で、完全に政権を手放すことになりそうだ。
一方、民主党は、公示直前に入党した田中真紀子元外相を加えて113議席。公示直前の小林氏の予測では279議席としていたが、
さらに勢いを増し「小選挙区238、比例区87の325議席」に大躍進すると予測した。
衆院で3分の2以上の議席確保となり、民主党単独では過半数に達しない参院で法案が否決されても、衆院での再議決で成立させることができる。
「国民の『現状を変えたい』『政治を変えたい』という意識が、民主党を後押ししている。歴史的な政権交代に参加したい、という動きもある。『姫刺客の擁立』『地道な選挙活動の徹底』『自民党県連の切り崩し』など、小沢一郎代表代行の選挙戦略も冴えわたっている。対して、自民党は司令塔が見えないなど混乱が目立つ」
共産党は解散前は9議席から「13議席」、社民党は7議席、国民新党は5議席で、現状維持。
みんなの党は4議席から「5議席」に。
新党大地は1議席から「ゼロ」。
新党日本はゼロから「1議席」。
野党系無所属で「8議席」と予測する。
さて、民主党政権の誕生が確実視される中、永田町の関心は、鳩山内閣の閣僚人事に移りつつある。自民党の今後を含めて、小林氏はいう。
「小沢氏の幹事長はほぼ決まりだろう。鳩山氏はそのうえで、岡田克也幹事長や菅直人代表代行などを入閣させ、挙党態勢を取るはず。真紀子氏や蓮舫氏の入閣が目玉になるかも。新政権最大の課題は、官僚とうまく対峙できるかにある。スタートダッシュの3カ月で命運が見えてくる」
「自民党が選挙後に一枚岩でいられるかは疑問。
党をまとめられる人材がいない。リベラル派と保守派に別れるか、もっと細分化された形でバラバラとなるか…。
小沢氏も裏工作を仕掛けていくはず。鳩山邦夫前総務相、中川秀直元幹事長、加藤紘一元幹事長の3人が、分党・離党のキーマンになるのではないか」