尖閣諸島(沖縄県石垣市)を巡り、中国が日中首脳会談の条件として、領土問題の存在を日本に認めさせたうえで、問題の「棚上げ」を求めたことについて、安倍首相や周辺は、国際社会でも中国の行動への批判が広がっていることを受けて「中国政府が焦りを強めている表れ」と分析している。
「日本側の一貫した対応が功を奏している」とみて、今後も対話は求めつつ、毅然(きぜん)とした対応を続ける構えだ。
中国は「条件」に固執する一方、揺さぶりも繰り返している。
中国の政府関係者は今年1月、訪中した公明党の山口代表らに、尖閣問題の存在を認めるよう求め、山口氏らは拒否した。6月3日には、野中広務元官房長官が、北京の人民大会堂に招かれて中国共産党序列5位の劉雲山(リウユンシャン)党政治局常務委員と会談。野中氏はその後、田中角栄元首相から直接聞いた話として「尖閣問題の『棚上げ』について日中双方が確認した」と語った。
同28日には、李克強(リークォーチャン)首相が、尖閣について「(日本が中国から)盗んだと思われても仕方ない」などと発言した鳩山元首相とも人民大会堂で面会した。