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数日前 eiga.com で見た仰天ニュース!
「七人の侍」リメイク始動!チャン・ツィイーが三船敏郎の役に挑戦?
ちょっと勘弁して下さいよ。
日本映画史上(少なくともエンターテインメント部門では)不滅の第一位作品を「ネタ」に何をやらかしてくれるんだ!?
「菊千代→女みたいな名前(正しくは子供の名前な訳だけど)→なら女性にしたっていいじゃん」という発想だったのではあるまいか?という気がするくらいです。
まあ、『七人の侍』については、『サムライ7』に到るまで、何度も翻案されていることだし、映像や演出面では、海外の様々な活劇やその戦闘シーンに影響を及ぼし、オマージュどころかはっきり「パクリ」な演出もあるくらいだから、取り立ててこれに目くじら立てるほどのことはないかも知れませんけどね。
どういう時代背景や世界観を持つ作品になるかは気になるところです。
その他の出演者(候補)として名前の挙がっているドニー・イェンの役は、もしかして「あれ」かな?なんて思いますが。
それにしても、ジョン・スタージェス監督作品『荒野の七人』は、やはり出来のいいリメイクだったんだなぁ、と改めて思いました。
アメリカで受け入れ易い形での翻案、脚色を随所に施しつつ、一つの作品として完成度が高く、『侍』よりこちらの方が好き、という人も結構いるくらいです。
黒澤明監督の「世界のクロサワ」としての知名度も、アメリカに於いてはまだそれほどではない頃だったけれど、ちゃんと元作品へのリスペクトも感じられますしね。それだけ元作品のシナリオが優れていたことの証明かも知れません。
さて、スタージェス作品には、人種または民族の違いによる偏見や差別への批判が常に盛り込まれていて、この映画で農民たちがクリス(ユル・ブリンナー)を見込んだ理由も、まさにそこにありました。
『七人の侍』に於いて、侍と百姓の身分の違い、と言うより両者の「壁」は、どうしても越えることの出来ないものでしたが、スタージェス作品からは、偏見が作り出す「壁」は越えなくてはならないもの、少なくとも越える努力はすべきものである、というメッセージが伝わって来ます。
アメリカ的能天気さの現れではなく、それこそがアメリカの課題であり、リベラリズムの目指すところであった筈です。
エンターテインメント作品の中にも必ずそのことを盛り込んでいるスタージェスの志に、私は好感を抱いています。
硬い話はさておき、特典のメイキングを観ると、スティーブ・マックイーンの俺様ぶりと、共演者たちの困惑ぶりが、今となっては面白いです。
同様の話は、同じ監督による『大脱走』特典ディスクでも語られていて、マックイーンの扱いにくさに、周囲はかなり辟易した模様。その当時、身近にいた人たちはたまったものではなかったと思いますが、マックイーンなき今は、半ば笑い話になっているのでしょうか。