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先日、『ベオウルフ』DVDの感想を書いた時にちょっとタイトルを出した『13ウォーリアーズ』。
監督ジョン・マクティアナン、主演アントニオ・バンデラス。
原作はマイケル・クライトンの『北人伝説』です。
実はこの映画については、前ブログでも一回取り上げたことがありますが、その時のテキストファイルがどこかへ行ってしまったので、新たに書き直します。
『ロード・オブ・ザ・リング』シリーズの大ヒット後、ヨーロッパの古代から中世にかけての世界観をベースにしたような英雄叙事詩やファンタジーが数多く多く作られていますが、これはそのブームが来る前の作品ということもあって、あまり話題になることはないようです。早過ぎた佳作(傑作とは言わないけれど)とも言うべき、やや不運な映画かも知れません。戦闘シーンその他に『七人の侍』へのオマージュ──と言うより、パクリ?と言いたくなるような演出が見られるのは、むしろご愛嬌ということで。
さて、先頃DVD発売されたジェラルド・バトラー主演『ベオウルフ』を観て、この映画を思い出した人もいるようです。確かに北ヨーロッパの寒々しい風景をとらえた映像等、雰囲気は似通っていますが、考えてみると話はむしろ逆で、マイケル・クライトンの原作『北人伝説』の元ネタの一つこそ、叙事詩『ベーオウルフ』だったのではないかと思われます。
謎の「怪物」に脅かされる王国を救援に行く12人のヴァイキングの勇士+1という基本構造は、そのまま『ベーオウルフ』ですが、クライトンは、この作品全体が、バグダッド出身の外交官アハメッド・イブン・ファラハン(実在の人物)の手記に注釈を付けたものである、という仕掛けを施しています。
つまり彼こそが上述の「プラス1」であり、「13番目の戦士」(原題。邦題は『13人の戦士』ですね)に当たる訳です。
冒険や戦闘などに縁のなかった青年が、あれよあれよと言う間に異なる文化や価値観の下にある集団に同行させられ、やがて戦闘にも加わり──という展開、実は『ホビットの冒険』も引用しているのではないかと、私は考えています。ベースを『ベーオウルフ』とするなら、そういう遊び心を働かせた可能性もあるかも知れません。
クライトンの重大な企みはもう一つあって、それは凶悪な食人族ヴェンデルの正体に関する謎ですが、映画はその『北人伝説』最大の謎解き部分をカットしてしまっているのです。実はその部分こそが、科学的な情報とミステリを融合させるクライトンの手腕の見せどころなのですが、それを捨てた結果、映画『13ウォーリアーズ』が単純な冒険アクションになってしまった感は否めません。
もっとも、その「謎」については新たな異なる学説が次々と提出されている状況でもあり、映像化することによって、一つの「可能性」ではなく歴史的事実と受け止められてしまうことを避けたのかも知れません。
それでも、古代から中世へ移行しつつある時期の北ヨーロッパの荒々しい雰囲気や、そういう風土と「蛮族」たちの気風に戸惑う最先端文化人の戸惑いはよく伝わって来て、観る価値は十分ある映画だと思います。今はなき名人ジェリー・ゴールドスミスの音楽もカッコいいし、ジェラルド・バトラーの『ベオウルフ』や原典の『ベーオウルフ』が好きなかた、関心あるかたには「合わせておすすめ」させて頂きます。