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ときどき
今夏『ダークナイト』公開に先駆けて、日米ほぼ同時に出た『バットマン』のオリジナルアニメDVD。全６話のオムニバス形式で、デイヴィッド・ゴイヤー等の脚本を、マッドハウス、プロダクション I.G.、STUDIO４℃ という日本が世界に誇るアニメーション・スタジオのクリエイターたちが映像化！
内容は、『ビギンズ』に続く（と思われる）エピソードや、ブルース世界放浪中の話など、過去と現在を織り交ぜて、バットマン＝ブルース・ウェインを描き出すというもの。バットマンやブルースの造形はそれぞれ異なり、声優さんも、若い美形版ブルースの声が三木真一郎氏、ゴツイ版が旧アニメシリーズの玄田哲章氏、というのが何だか可笑しいです。
映像的には日本アニメの水準の高さを証明するもので、Disc1の特典には『ダークナイト』予告編もはいっているし、『レゴ・バットマン』もカワイイです。
が、この２枚組スペシャル・エディションの真の見どころは、Disc2即ち特典ディスクにこそあります。
「ゴッサムシティーに潜む悪」では、DCコミックスの編集長やクリエイターたちによる有名ヴィラン紹介、それぞれのキャラクターにどういう来歴があり、どういう意味を持つかが詳しく解説され、自分のようにこれから海外コミックをお勉強しようかというファンにとっては、興味深い内容でした。
また、90年代のアニメシリーズから４つのエピソードが収録されていますが、アマゾンではそちらのタイトルが出ていませんので、以下に記しておきます。
１：ダークナイトの伝説
２：氷の心を持つ男～怪人ミスター・フリーズ
３：最大の危機
４：闇の騎士
絵はもちろん昔のアメリカアニメなのですが……正直言って、ストーリー的には本編ディスクよりこちらの方が遥かに見応えあります。
特に「ミスター・フリーズ」は、エミー賞も受賞したというエピソードですが、彼の悲劇的な過去や、ヴィランとなった動機が奥さんへの愛にあった、ということを最初に描いたのが、このアニメ版だったんですね。「愛する人の死を目の当たりにした」ことが人生を変えてしまったところはブルースと相通ずるし、小さい伏線の活かし方も気が利いていました。ラストシーンは涙なくして見られません。
そして、本編でもこちらでも、ゴードンさんが本当に働き者で、一身に苦労を背負っていることがよーく判りました。コミック版について調べても、バットガール＝バーバラ含め、ゴードン一家はバットマンのせいでエライ目に遭ってばかりです。
そのゴードンさんが凶弾に倒れる「闇の騎士」での、ブルースの狂乱と落ち込みぶりも見もの。
「彼は友人以上の存在だ」
「父が生きていれば同じ年齢だ……」
って、そんな風に思っていたんですね。どんな媒体でも、ブルース＝ファザコンは基本なんでしょうか？
最後に、本編ディスクの方の個人的見どころを、３話目「フィールドテスト」より。
これのブルースは若くて、日本のアニメ的美形。そんな彼が例によってフォックスさんの所におねだりに来る訳ですが、細かい話はとばして、その時のフォックスさんの驚愕の台詞がコレだ
「その少年っぽい魅力に誰もがだまされる訳じゃありませんよ」
そりゃあ、アナタはね！
いっつもダマされ（たふりをしてあげ）ているものね！！
──と、思わず叫んでしまいました。
そう言えば坊ちゃま、『ダークナイト』で「町中を盗聴して」とお願いに来る時には、バットマン姿で例の「必殺上目遣い」が出来なかったせいか、「ルーシャス」なんてファーストネームで呼びかけてましたね。
そんなことじゃダマされませんよ、と反対しつつ、結局言うことを聞いてあげる万能社長……
でも、あそこで一度フォックスさんに見放されかけたのは、観ているだけの自分でさえショックだったから、ブルースにとっては（マスクのせいで表情判らないけど）更にショックだったんじゃなかろうか？と思います。
──どんどん話がズレてすみません
とにかく『ゴッサムナイト』については、レンタルよりこの２枚組セル版をお奨めします、ということで。
