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映画・舞台の感想や俳優さん情報等。基本各種メディア込みのレ・ミゼラブル廃。近頃は「ただの日記」多し。

ミュージカル『ジキル&ハイド』

2018-03-09 23:43:40 | 演劇・ミュージカル
のち
石丸幹二さん主演のミュージカル『ジキル&ハイド』、東京国際フォーラム・ホールCにて観て来ました。

ジキル&ハイド公式サイト

石丸さんの「ジキハイ」は2016年に初めて観て以来、再演(石丸さん主演としては三演目)を楽しみにして来ました。
このたびの公演も、その期待を裏切らない素晴らしい舞台でした。
語りたいことはたくさんありますが、あまり時間がないので少しだけ。

石丸幹二さんに関して言えば、演技・歌唱とも2016年より更に進化・深化していました。特にハイド氏のノリノリっぷりと言ったら!ハイドというのはとにかく幼い子供のように「何もかもが楽しくて仕方ない」のだと、ご本人の口からも伺いましたが、実際その通りとても楽しそうで、かつ禍々しさも倍増していると思いました。ジキルとハイドの演じ分けも、より鮮やかになっていました。
ジキル&ハイドについては、正直コンセプトアルバムのアンソニー・ワーロウに勝るものなしと思っていましたが、今年の石丸さんは演技・歌唱ともそれに匹敵すると本気で思います。

Jekyll & Hyde: The Gothic Musical Thriller (1994 Concept Cast)

霧深きロンドンの闇の中に現れては消え、疾走し哄笑する、禍々しくも美しい悪鬼。その影におののき苦悩する若き研究者。
現在の石丸幹二の代表作を一つ選ぶなら、まずこの『ジキル&ハイド』だと言って良いでしょう。見ていて震えが来るほどでした。
フランク・ワイルドホーンの楽曲の素晴らしさは言うまでもありませんが、プリンシパルキャストだけでなく、それを支えるアンサンブルキャストの層の厚さも特筆に値します。一幕の「嘘の仮面」、二幕冒頭の「事件、事件」など、ワクワクします。座席が前から二列目ほぼセンターだったので臨場感もすごく、すべての出演者が粒立って、どの人も見逃さないようにするのが、大変だけれど楽しかったです。

新キャストその他については、また改めて。実際は興奮冷めやらず、何から書いていいか気がはやるばかりなのですが。
千穐楽も観に行く予定ですが、他にいろいろ予定があったとは言え、もっとチケットを増やせばよかったと悔やまれます。
せめて、まだご覧になっていないかたも是非!とお奨めしておきたいです。

追記(3/24):とりあえず思い出せることを。
田代万里生さんのアターソン。これまで吉野圭吾さん、石川禅さんと、石丸さんと同世代のかたが演じてきた役なので、万里生さんとの年齢差が心配されましたが、ヒゲや眼鏡で外見上の違和感が少ないように工夫されていました。どこか保護者っぽかった禅アターソンと違い、気の置けない悪友という感じで、むしろそれに伴って石丸ジキルも若返って見えるという相乗効果がありました。それだけに、最後の「決断」がつらくて……

宮澤エマさんのエマ。通称エマエマ。笹本玲奈さんのエマはヘンリーのすべてを受け止め、彼を害したり悪く言ったりする者はすべて敵、というくらい強い意志を持った女性でしたが、エマエマさんはいかにもおっとりしたお嬢さんで、でも言うことはちゃんと言う人。「ジキルとハイド」を受け入れるのも、意志の力より包容力を感じました。漠然とした印象ですが……

その笹本玲奈さんが、今年はルーシー役。ルーシーの薄幸感は前回の濱田めぐみさんの方が色濃かったと思います。少女っぽく儚げで「生まれながらの犠牲者」の風情があっためぐさんに対し、玲奈さんが演じるとやはりもう少し「強い」感じの女性になりますね。非常に大雑把な対比ですが、めぐルーシーはファンティーヌ系、玲奈ルーシーは『ミス・サイゴン』のキム系と言えそうです。皆さんおっしゃいますが、「罪な遊戯(あそび)」のハイドとの絡みは、よりエロッティックさが増した感じです。どちらが良い悪いではなく、役者さん同士の相乗効果、ケミストリーとは面白いものだと思いました。

初日頃はエマさん玲奈さんともに歌で苦戦しているとのレビューやツイートを目にしましたが、その後はお二人ともどんどん進化していっていると聞きます。千穐楽でどう変化しているか観るのが楽しみです。

エマの父、ダンヴァース・カルー卿の福井貴一さん。前回の今井清隆さんは割とジキル博士に厳しい(冷たい)感じでしたが、福井さんのダンヴァース卿は優しいです。娘への愛情にあふれ、その娘が愛するヘンリーのことも心から案じている。父娘の情愛は、特に「別れ」のシーンなどより深く伝わって、この二人が後々あんなことに巻き込まれてしまうことを考えると悲しくて仕方ありませんでした。こんなに愛してくれる二人をあんなに心配させて、ヘンリーは何をやっているんだ!と言いたくなったほどです。
原作ではハイドの被害者として唯一名前の挙がっているダンヴァース・カルー卿が、この舞台版では病院理事会メンバーの中で唯一死を免れているのも面白いところです。

もう一人、畠中洋さんのストライド。演出の山田和也さんからは前回、「狂犬」と呼ばれたそうですが、今回は憎たらしさも嫌味っぷりも更にパワーアップしていました。でも石丸さんと畠中さんが一月の『ニュー・ブレイン』ではラブラブカップルだったことを思うと、なんとなく笑ってしまったり 最後の殺されっぷりもお見事でした。

追記と言いつつ、ずいぶん長くなってしまいました。書きたいことはまだまだあるのですが、今日のところはこれくらいで……

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