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映画・舞台の感想や俳優さん情報等。基本各種メディア込みのレ・ミゼラブル廃。近頃は「ただの日記」多し。

『X-MEN:ファースト・ジェネレーション』~無敵のプロフェッサーX

2011-07-09 08:51:02 | X-MEN(HJその他)

最強のミュータント、プロフェッサーXことチャールズ・フランシス・エグゼビア教授。
ミドルネームとファミリーネームは、これ即ち「フランシスコ・ザビエル」です。
個人的な話ですが、ザビエルとロヨラも自分にとっては一生追究したいテーマの一つであります。

──なんてことは置いといて。
タイトルは『X-MEN:ファースト・ジェネレーション』ですが、前三部作も絡めて語ります。

思い返せば第一作『X-メン』のラスト、プロフェッサーとマグニートーの会話で、
「(ミュータント隔離法案が通って)人間どもがおまえや学園の子供たちのところへ押し掛けて来たら?」
と問う磁界王に対し、教授答えていわく
「憐れみを覚えるね。わざわざひどい目に遭うために来るなんて」

ひぃぃー!さ、さすがです教授!『2』の「彼(カート)を殺してもかまわないなら」と言い、やっぱこの人が一番こえー!!
あと、『ファースト』を観た後だと、いつもいつも不安に駆られて心痛めているのはエリックの方で、チャールズはずっとこういう人なんだなあ、と改めて思いました。

人類とミュータントとの共生という理想を掲げつつ、実は、ミュータントの中で最も人間離れしているのが彼だ、と言われています。
まず能力が最強。その気になれば(または『2』のように操ることが出来れば)全人類も全ミュータントをも滅ぼしてしまえるくらい最強。おそらく各国首脳を意のままに動かすことだって出来るでしょう。前三部作では失神したり拉致されたり、その力を発揮できない状況にばかり置かれていたのは、あまりに最強過ぎて、この人がいればそれだけ万事解決してしまい、話が進展しなくなってしまうからなんですね。

しかし、彼は人類を支配しようなどとは思わない。「人間的」な野望も持たなければ、「人間的」感情に動かされることもない。それどころか、自分がミュータントであることにも何ら苦悩せず、自らの力を受け入れ、コントロールしている。
テレパスだから、人間の罪深さや汚さ、非道さも「見えて」いるだろうに、それでも彼は絶望しない。
人類もミュータントも、彼はただ忍耐強く見守るだけ。
前にも書いたように、それは愛情ではなく彼の「理性」のゆえなのでしょう。
でも実は、チャールズの目からは人類は本当に犬猫並みにしか見えていないんじゃないか、という説もあります。
犬に噛まれたからって、全ての犬が噛み付くわけじゃないし、嫌いにはならない──彼にとってはその程度のことでしかないのではないか、というわけです。
多くのミュータントが「人と違う」ことに悩み、それが逆接的に選民意識と結びついたりしているのに、彼にとって自らが高等生物であることは当たり前すぎて意識にも上らない。被差別意識を抱くことも、逆に優越感にひたる必要もない──
やっぱりこの人こそが「人間」からは最も遠い存在ですよ。

でも、『ファースト・ジェネレーション』でジェイムス・マカヴォイ演じるチャールズは、けっこうあちこちで軽々しく能力を使いまくってるし、テレパスなのに(だから?)繊細な感情や心の機微には鈍感だし、今いち思慮や言葉が足りなかったりと、まだまだ若い感じ。人の心や記憶が「見えた」からと言って、それが理解に繋がるとは限らないということでしょうか。
彼ほどの超人ではない一般の人間社会でも、自分が偏見を持たない人はそれを持つ者の気持ちが理解できない反面、偏見に苦しめられる人の気持ちもまたわからない、という独善的なところがあったりします。
たとえばエリックの人間憎悪は彼個人の意識の問題であって、ミュータント全体の問題でもなければ、善悪の問題でもない、というのがチャールズの見解なんだと思います。もちろんそれが間違っているわけではありません。チャールズが見ているのは、常にエリックその人だから。しかし、これでは平行線を辿らざるを得ないでしょう。それが悲しいです。
この若教授がどういう過程を経てパトリック・スチュアートの聖人然とした教授へと変わって行くのかは興味あります。でもまあ、ミュータントであることを悩んだりせず、やたらと前向きなところ、そして傲慢なところは変わってないですね。若さゆえとかじゃなくて、彼は本質的に傲慢でエラソーなんだと思います。

そしてエリックに対してもチャールズは、第一作ラストの二人の会話でも言っていたように、ずっと「いつかわかってくれるだろう」と希望を持ち続けている。自分の手に戻る時をずっと待ち続けている。
神の如く忍耐強く、そして傲慢なるプロフェッサー・チャールズ・エグゼビア。そんな教授が私は大好きです。何度も観ているうち洗脳されたに違いありません。

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