Loomings

映画・舞台の感想や俳優さん情報等。基本各種メディア込みのレ・ミゼラブル廃。近頃は「ただの日記」多し。

『アンブレイカブル』(2000)

2008-10-28 23:26:17 | 映画・DVDレビュー
アンブレイカブル

ブエナ ビスタ ホーム エンターテイメント

このアイテムの詳細を見る



昨日、『アイアンマン』とサミュエル・L・ジャクソン絡みでちょっと触れた M・ナイト・シャマラン監督作品。
正直言ってネタバレを回避すべきか、むしろそれは考慮せずに語った方がいいのか迷いますが、とりあえず以下はネタバレ有りで。

『フィラデルフィアで、131人もの乗員・乗客が死亡するという凄惨な列車事故が発生。だが、たった一人、奇跡の生存者がいた。その男デヴィッド(ブルース・ウィリス)は、マスコミや周囲の者たちの異様な視線に戸惑う。「なぜ、俺だけが?」誰よりも彼自身がその答えを求めていた。ある日、イライジャ(サミュエル・L・ジャクソン)と名乗る男が現れ、デヴィッドこそ不滅の肉体を持つ者≪アンブレイカブル≫であると告げる。その言葉をきっかけに、デヴィッドは自己の存在意義を問うようになる。そして、それは恐るべき真実への幕開けだった・・・。』(Amazon 商品説明より)

初めて観た時には、まるでヨーロッパ映画のように美しい映像で、よくまあこれだけ下らない話を、とヘンな感心をしたものです。
世間的にも、『シックスセンス』の衝撃と感動を期待して観に行き、「なんじゃこりゃー!?」とお怒りになるかた続出だったようで、まあそれも無理ないことです。
もっとも、その『シックスセンス』にしてからが、「あれに騙されるのは映画の『文法』というものを知らないヤツだ」とのご意見もある訳でして……

しかし、クリストファー・ノーラン監督による『バットマン』二作品、特に『ダークナイト』を経た今なら、この『アンブレイカブル』でシャマランがやりたかったことは、むしろよく理解されるのではないでしょうか。
「アメコミ・ヒーロー映画」の頂点を究めてしまった『ダークナイト』は、或る意味「メタ=ヒーロー映画」でもありましたが、『アンブレイカブル』の目指したものもそれだったのです。
そのテーマは、「何がヒーローを生み出すのか」また「ヒーローとヴィランの構図はいかにして成立するか」であり、従ってこの作品のタイトルとしては、「アンブレイカブル ビギンズ」または「アンブレイカブル vs. Mr. グラス」こそが相応しかったかも知れません。

『ダークナイト』について、今さら「脱構築」などという言葉を用いるのも気恥ずかしいですが、『アンブレイカブル』の場合は、ヒーロー映画を解体した挙句、ひどく奇怪な形に再構築されてしまったと言うべきでしょうか。
そのあまりの珍妙さに、大方の人は驚き呆れ、「そもそもコレ映画にする必要ねーだろ!」と激怒または脱力したものですが、監督の意図を理解し得た一部の好き者にとっては感じ入るところ大なる作品であるようです。
私のことじゃありません。実は、私の夫がその「好き者」でした。そんな夫も『サイン』には激怒しておりましたが……
この作品のことを考えるとき、私自身はふと「シュヴァルの理想宮」とその建築者を思い出したりします。褒めているのか貶しているのか判りませんが、結局は私も「好き者」であるようです。(『ヴィレッジ』も好きですよ)

「メタ=ヒーローもの」ということで、もう一つ『Mr. インクレディブル』もお奨めしておきましょう。
もっとも、こちらは本当に傑作です。一応「子供向きアニメ」の顔をしながら、よくこれだけ強かでビターな作品を世に出せたもので、やはりピクサーとラセターはタダモノではありません。

Mr.インクレディブル

ブエナ・ビスタ・ホーム・エンターテイメント

このアイテムの詳細を見る


そして、『アンブレイカブル』は、現在何とブルーレイディスクまで出ているんですね!
もっと他に出すべき作品もあるんじゃないか?と思いますが、やはり思いのほか「好き者」が多かったということでしょうか。

アンブレイカブル (Blu-ray Disc)

ウォルトディズニースタジオホームエンターテイメント

このアイテムの詳細を見る

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 『アイアンマン』(2008) | トップ | ハリウッド・フィルム・フェ... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

映画・DVDレビュー」カテゴリの最新記事