職業柄、人の死には慣れていました。今まで、幾人も幾人も静かに看取ってきましたから。私が医師として誰かを看取る時、涙を流したことはほどんどありません。自分にとって大事な患者さんたちであっても、そうでした。大声で泣き叫ぶのではなく、静かに堪えて耐えるという悲しみもありますから。それでいいと思っていたのです。
しかし、今日、私はそのことをひどく後悔することがありました。
死にゆく人を前にして、涙も見せない冷たさを、「慣れたから」だと言い訳したくはなかったのに。何と言えば良かったのか、今も判りません。私はただ黙っていました。私がかけるべき言葉は、きっと、あったはずなのに。今生の別れになるかもしれないのに。
何も言えなかった。
私は、死が目前に迫った祖父に、何も言えなかったのです。
まさか、留学開始の時期に、こんなことになるなんて。夢にも思いませんでした。それでも、今更留学を止めるわけにもいかないと考えている私は、不孝者というべきなのかもしれません。恩知らずの恥知らずなのかもしれませんが、「仕方ない」という言葉を免罪符にして。今は前に進むことが、いつか恩返しになると信じて。たとえ直接本人に返せなかったとしても。
じっと唇をかみしめます。
しかし、今日、私はそのことをひどく後悔することがありました。
死にゆく人を前にして、涙も見せない冷たさを、「慣れたから」だと言い訳したくはなかったのに。何と言えば良かったのか、今も判りません。私はただ黙っていました。私がかけるべき言葉は、きっと、あったはずなのに。今生の別れになるかもしれないのに。
何も言えなかった。
私は、死が目前に迫った祖父に、何も言えなかったのです。
まさか、留学開始の時期に、こんなことになるなんて。夢にも思いませんでした。それでも、今更留学を止めるわけにもいかないと考えている私は、不孝者というべきなのかもしれません。恩知らずの恥知らずなのかもしれませんが、「仕方ない」という言葉を免罪符にして。今は前に進むことが、いつか恩返しになると信じて。たとえ直接本人に返せなかったとしても。
じっと唇をかみしめます。