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日本では酷暑が続き、西日本集中豪雨の被害もより深刻になってきていますが、皆様も暑さに負けずに体調管理には十分に留意して下さい。日本で臨床をしていた頃、このくらいの時期から熱中症によって救急車で病院に搬送されるような患者さんも多く診ていたような記憶があります。
さて、本日7月13日は、上の肖像画の英国医師・衛生学者ジェームズ・リンド博士 Dr James Lind が1794年に亡くなった日です。
彼は海軍において、世界で初めて疫学的手法を用いて壊血病と新鮮な野菜や果物の不足の因果関係を示した人物と言われています。彼の偉大な功績によって、大英帝国が誇る世界最強の海軍はついに壊血病を克服したのでした。英国人のことを「ライム野郎 limey」と呼ぶスラングは、リンドによって英国海軍が壊血病予防としてライム果汁を導入したことに由来すると言われています。
日本でよく知られているように、東京慈恵会医科大学創設者の高木兼広医師は、明治17年(1884年)に軍艦「筑波」による航海実験を行って、兵食改革(洋食+麦飯)によって脚気の発生率と死亡数が激減することを疫学的に示しました。これは日本疫学研究の黎明期の偉業と言えますが、リンドに遅れること約100年でした。後にビタミンB1不足が脚気の原因であることが分かり、日本の「国民病」とも言われた脚気はようやく予防、治療できるようになりました。
リンドや高木の功績にみられる学術分野を「衛生学 hygiene」と呼びます。
現在では衛生学の対象は多岐にわたり、学問分野としてはきわめて広大なものになっていますが、基本的には「健康に影響を及ぼす様々なリスクを推定して、その予防活動に結びつける学問」です。一昔前に国内の医学部では衛生学の講座を廃するところが増えて、現在ではあまり衛生学の研究を行うグループは多くありません。しかし、予防医学の重要性が年々増してきて、今は医学においてとても重要な学問分野であると私は思います。原因はともかくとして、リンドや高木の成果のように、「病気と原因の因果関係とリスクを明らかにする」ことで多くの患者さんが救われることから、実学という意味においてもきわめて有用です。
私はたまたまリンド博士が亡くなられた日が今日であることを知りましたが、「衛生学」のこれまでの歴史と現代医学における貢献の大きさを振り返り、改めて衛生学の重要性をつくづく感じさせられたのでした。
さて、本日7月13日は、上の肖像画の英国医師・衛生学者ジェームズ・リンド博士 Dr James Lind が1794年に亡くなった日です。
彼は海軍において、世界で初めて疫学的手法を用いて壊血病と新鮮な野菜や果物の不足の因果関係を示した人物と言われています。彼の偉大な功績によって、大英帝国が誇る世界最強の海軍はついに壊血病を克服したのでした。英国人のことを「ライム野郎 limey」と呼ぶスラングは、リンドによって英国海軍が壊血病予防としてライム果汁を導入したことに由来すると言われています。
日本でよく知られているように、東京慈恵会医科大学創設者の高木兼広医師は、明治17年(1884年)に軍艦「筑波」による航海実験を行って、兵食改革(洋食+麦飯)によって脚気の発生率と死亡数が激減することを疫学的に示しました。これは日本疫学研究の黎明期の偉業と言えますが、リンドに遅れること約100年でした。後にビタミンB1不足が脚気の原因であることが分かり、日本の「国民病」とも言われた脚気はようやく予防、治療できるようになりました。
リンドや高木の功績にみられる学術分野を「衛生学 hygiene」と呼びます。
現在では衛生学の対象は多岐にわたり、学問分野としてはきわめて広大なものになっていますが、基本的には「健康に影響を及ぼす様々なリスクを推定して、その予防活動に結びつける学問」です。一昔前に国内の医学部では衛生学の講座を廃するところが増えて、現在ではあまり衛生学の研究を行うグループは多くありません。しかし、予防医学の重要性が年々増してきて、今は医学においてとても重要な学問分野であると私は思います。原因はともかくとして、リンドや高木の成果のように、「病気と原因の因果関係とリスクを明らかにする」ことで多くの患者さんが救われることから、実学という意味においてもきわめて有用です。
私はたまたまリンド博士が亡くなられた日が今日であることを知りましたが、「衛生学」のこれまでの歴史と現代医学における貢献の大きさを振り返り、改めて衛生学の重要性をつくづく感じさせられたのでした。