一寸の兎にも五分の魂~展覧会おぼえがき

美術展のおぼえがきと関連情報をすこしばかり。

四代目竹本長門太夫著『増補浄瑠璃大系図』について

2013-09-15 | 文楽
前回、2013年8月28日、大阪四天王寺で開催された「初代竹本義太夫師三百回忌記念行事」の際に配られた、

「竹本義太夫墓石修復資金勧進 合わせて 浄瑠璃界先師墓石修復資金勧進事業 事業報告書」

について簡単に紹介しましたが(コチラ)、この報告書に記載されている墓石の図や戒名などの情報は、『増補浄瑠璃大系図』という書籍から転載していると書いてあります。

先日、「9月文楽公演」で国立小劇場の受付脇売店の書籍コーナーを眺めていたら、その『増補浄瑠璃大系図 上・中・下〈演芸資料選書6〉』(四代目竹本長門太夫著、国立劇場芸能調査室刊)がおいてありました。

おもわず手にとって開いてみると、太夫、三味線、人形の歴代の系図が……。

研究者でもなんでもない私にとっては宝のもちぐされのようなものかもしれないのですが、かねてより江戸の昔、実際に生きて活躍していた三業、特に三味線弾きのことを少しでも知りたいと思っていたわたしにとってはちょっと見過ごせない資料でありまして、

つい3冊とも、買ってしまいました。


(『増補浄瑠璃大系図』中央が上巻。竹本義太夫についての記事から「曽根崎心中」の絵番附)

その概要を下巻に記載されている法月敏彦先生の解題から抜粋すると、

○「本書三冊は、四代目竹本長門(長登)太夫(1814~1890)著『増補浄瑠璃大系図』全22巻の新訂版である」

○「本書は、人形浄瑠璃文楽に従事した、作者・太夫・三味線弾き・人形遣いの師弟関係を系譜の形式に整理した著作物である。その収録範囲は、人形浄瑠璃草創期の頃から、所謂、古浄瑠璃期を含み、義太夫節台頭期から明治初期までが含まれている。当然のことながら、原著者が生きた19世紀後半の人物に関する記述が最も充実している」

○「このように、江戸時代初期から明治初年に至るおよそ300年の人形浄瑠璃従事者について、その膨大な師弟関係が整理され、系統付けられている。本書は、いわば人形浄瑠璃の人物情報源であり、人物事典である」


どうですか、こう書かれると研究者でなくても、素人でも読んでみたくなりませんか??

実際、ぱらぱらっと眺めているだけでも、実にたくさんの、実にバラエティに富んだ名前の太夫さんや三味線弾きさんがいたんだなあ、と当時に思いをはせるのも楽しいものです。

もちろん、「竹本住太夫」や「竹本源太夫」というような、現在に引き継がれる名跡も登場し、そういった名跡の系図が体系だってわかるところも、この本の価値あるところのひとつなのではないかと思われます(素人くさい説明ですみません。でも、実際、素人なので)。

浄瑠璃に詳しい方には基本文献なのだと思いますが、敢えて載せてみました。


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1 コメント

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感謝! (法月敏彦)
2017-04-16 22:09:47
初めまして、法月です。
お買い求め頂きありがとうございました!
どうぞよろしくお願いいたします。
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