連日満員御礼の国立劇場、5月文楽公演。

(今日も満員御礼)
初日から1週間がすぎ、ようやく第一部に行って参りました。
「熊谷陣屋」と「曾根崎心中」の二本立てですが、個人的には時代物が好きなので、「熊谷陣屋」に期待していきました。
いやー、いいですね、「熊谷」。三味線も荘重かつ激しくて、うっとりします。
「熊谷陣屋の段」の「前」は、呂勢大夫さんの語りでしたが、低めの荘重な入り方で引き込まれました。赤坂花形文楽のときに、5月は大きい演目で相当稽古された(いつもそうなのでしょうが)、というようなことをちらりとおっしゃっていたので、期待していったのですが、期待にたがわず!
熊谷次郎直実のかしらは「文七」。肌の色も真っ白でなくて少し日焼けした感じが武将っぽくて、キャラとしてはかなり濃いめですがいい感じです。
「熊谷陣屋」の前半で着ている衣装は、朱色と黒の鮮やかなもので、鳥さんの紋の刺繍がかわいいです。

(5月文楽公演のチラシより。「熊谷桜の段」の熊谷次郎直実。撮影:青木信二)
ただ、前から気になってはいたのですが、この熊谷次郎直実という男は、いまひとつつかみにくいです。わたくしには。
「熊谷陣屋の段」で登場してまもなく、はるばる陣中に尋ねてきた妻、相模に対して
「何をしに来たんだ? 陣中へは手紙もよこすなと言ったじゃないか。そのうえ女の身で陣中に来るなんて、不届き千万」というような言葉を投げつけ、とりつくしまもない。
でもまあ、これはわかるんです。陣中ですし。ちゃらちゃら女房に来られると、部下の士気もさがるとか、まあいろいろと懸念材料はあるのでしょう。
ここから連想されるのは、謹厳実直な、堅物のイメージ。
でも、実は熊谷は若かりし頃、京の御所で相模と馴れ初めて「不義の罪に問われるところを藤の方(敦盛の母)に助けられた恩義がある」(『文楽ハンドブック』)。
その馴れ初めで、一子小次郎君が生まれたというわけのようです(「熊谷陣屋」の段では、この小次郎君が、敦盛の身代わりに殺されたことになっている)。
んー、別につきあうのが悪いと言うつもりはないですし、熊谷と相模はちゃんと結婚してけじめもつけているのでとやかく言う筋合いはないのですが、でもなんだかその馴れ初めは、後半のやたら堅い熊谷のイメージとちょっと違うような気が……。
とにかく「熊谷陣屋の段」そのものが、全体的にやたらと荘重で毅然とした雰囲気に包まれているので、いくら過去のこととはいえちょっとお色気っぽいエピソードが浮いちゃうように思えるのは、わたしだけでしょうか。
いつもながら、枝葉末節に気が散って、演目の本筋を掴んでいなくて申し訳ありません。
(なにぶん、本筋についてあれこれ言うほどの鑑賞力が育っていないもので……はい)
幕間には、国立劇場のゆるキャラ、「くろごちゃん」登場。

こんなポーズもとってくれました。

握手して、名刺もらっちゃいましたよ。


そして、NPO法人人形浄瑠璃文楽座のグッズ「つめやん」のストラップ最新バージョン「官女」と「軍兵」をゲットして帰ってきました。←国立劇場小劇場売店で売ってます。入ってすぐ左のほうの売店です。各800円。

そして「曾根崎心中」。
これをお目当てにいらした方も少なくないことでしょう(先日、皇后陛下も「曾根崎心中」をご覧にいらっしゃったそうです)。
ここのところ「曾根崎」はよくかかるので、何度もうかがっていますが、いつも床に気持ちが集中していたわたくし。
しかし今回はわたしも、道行の人形に意識を集中しました。
前にもご紹介した渡邉肇 × 堀部公嗣「人間・人形 映写展」で見た心中場面があまりに美しかったので、今度舞台でかかったら、ぜひちゃんと見ようと思っていたので。
おりしも、道行の真っ最中に地震が。かなり長時間ゆらゆらしましたが、舞台の蓑助さんと勘十郎さんはまったく気に留めず、お初と徳兵衛に集中されています。
心中の場面は、確かにものすごい緊張感が舞台にみなぎります。目を閉じたお初は、「覚悟の顔の美しさ」という通り、本当に彼岸を思わせる美しさです。
が、すぐに幕がひかれててしまい、お客さんも立ってしまうので、いまひとつ余韻にひたれないのがちょっと残念(わたしも立ちましたけど)。
この日は昼夜通しだったので、かなりハードでしたが、2回目の第二部もやはり見ごたえ(聴きごたえ)がありました(第二部の感想はこちら)。
第二部の「心中天網島」について、咲大夫さんのコメントが国立劇場HPで公開されています。
そうそう、劇場でははやばやと9月文楽公演のチラシも置いてあります。

「伊賀越道中双六」の通しです。
これはなかなかかからない! またもやチケット争奪戦か!?
8月には三谷文楽もパルコ劇場で再演されます。

(国立劇場内に貼られた三谷文楽のポスター。写真が見づらくて申し訳ありません)
なんだかんだ言って、文楽、攻めてますね。
そうでなくちゃ。

(今日も満員御礼)
初日から1週間がすぎ、ようやく第一部に行って参りました。
「熊谷陣屋」と「曾根崎心中」の二本立てですが、個人的には時代物が好きなので、「熊谷陣屋」に期待していきました。
いやー、いいですね、「熊谷」。三味線も荘重かつ激しくて、うっとりします。
「熊谷陣屋の段」の「前」は、呂勢大夫さんの語りでしたが、低めの荘重な入り方で引き込まれました。赤坂花形文楽のときに、5月は大きい演目で相当稽古された(いつもそうなのでしょうが)、というようなことをちらりとおっしゃっていたので、期待していったのですが、期待にたがわず!
熊谷次郎直実のかしらは「文七」。肌の色も真っ白でなくて少し日焼けした感じが武将っぽくて、キャラとしてはかなり濃いめですがいい感じです。
「熊谷陣屋」の前半で着ている衣装は、朱色と黒の鮮やかなもので、鳥さんの紋の刺繍がかわいいです。

(5月文楽公演のチラシより。「熊谷桜の段」の熊谷次郎直実。撮影:青木信二)
ただ、前から気になってはいたのですが、この熊谷次郎直実という男は、いまひとつつかみにくいです。わたくしには。
「熊谷陣屋の段」で登場してまもなく、はるばる陣中に尋ねてきた妻、相模に対して
「何をしに来たんだ? 陣中へは手紙もよこすなと言ったじゃないか。そのうえ女の身で陣中に来るなんて、不届き千万」というような言葉を投げつけ、とりつくしまもない。
でもまあ、これはわかるんです。陣中ですし。ちゃらちゃら女房に来られると、部下の士気もさがるとか、まあいろいろと懸念材料はあるのでしょう。
ここから連想されるのは、謹厳実直な、堅物のイメージ。
でも、実は熊谷は若かりし頃、京の御所で相模と馴れ初めて「不義の罪に問われるところを藤の方(敦盛の母)に助けられた恩義がある」(『文楽ハンドブック』)。
その馴れ初めで、一子小次郎君が生まれたというわけのようです(「熊谷陣屋」の段では、この小次郎君が、敦盛の身代わりに殺されたことになっている)。
んー、別につきあうのが悪いと言うつもりはないですし、熊谷と相模はちゃんと結婚してけじめもつけているのでとやかく言う筋合いはないのですが、でもなんだかその馴れ初めは、後半のやたら堅い熊谷のイメージとちょっと違うような気が……。
とにかく「熊谷陣屋の段」そのものが、全体的にやたらと荘重で毅然とした雰囲気に包まれているので、いくら過去のこととはいえちょっとお色気っぽいエピソードが浮いちゃうように思えるのは、わたしだけでしょうか。
いつもながら、枝葉末節に気が散って、演目の本筋を掴んでいなくて申し訳ありません。
(なにぶん、本筋についてあれこれ言うほどの鑑賞力が育っていないもので……はい)
幕間には、国立劇場のゆるキャラ、「くろごちゃん」登場。

こんなポーズもとってくれました。

握手して、名刺もらっちゃいましたよ。


そして、NPO法人人形浄瑠璃文楽座のグッズ「つめやん」のストラップ最新バージョン「官女」と「軍兵」をゲットして帰ってきました。←国立劇場小劇場売店で売ってます。入ってすぐ左のほうの売店です。各800円。

そして「曾根崎心中」。
これをお目当てにいらした方も少なくないことでしょう(先日、皇后陛下も「曾根崎心中」をご覧にいらっしゃったそうです)。
ここのところ「曾根崎」はよくかかるので、何度もうかがっていますが、いつも床に気持ちが集中していたわたくし。
しかし今回はわたしも、道行の人形に意識を集中しました。
前にもご紹介した渡邉肇 × 堀部公嗣「人間・人形 映写展」で見た心中場面があまりに美しかったので、今度舞台でかかったら、ぜひちゃんと見ようと思っていたので。
おりしも、道行の真っ最中に地震が。かなり長時間ゆらゆらしましたが、舞台の蓑助さんと勘十郎さんはまったく気に留めず、お初と徳兵衛に集中されています。
心中の場面は、確かにものすごい緊張感が舞台にみなぎります。目を閉じたお初は、「覚悟の顔の美しさ」という通り、本当に彼岸を思わせる美しさです。
が、すぐに幕がひかれててしまい、お客さんも立ってしまうので、いまひとつ余韻にひたれないのがちょっと残念(わたしも立ちましたけど)。
この日は昼夜通しだったので、かなりハードでしたが、2回目の第二部もやはり見ごたえ(聴きごたえ)がありました(第二部の感想はこちら)。
第二部の「心中天網島」について、咲大夫さんのコメントが国立劇場HPで公開されています。
そうそう、劇場でははやばやと9月文楽公演のチラシも置いてあります。

「伊賀越道中双六」の通しです。
これはなかなかかからない! またもやチケット争奪戦か!?
8月には三谷文楽もパルコ劇場で再演されます。

(国立劇場内に貼られた三谷文楽のポスター。写真が見づらくて申し訳ありません)
なんだかんだ言って、文楽、攻めてますね。
そうでなくちゃ。
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