一寸の兎にも五分の魂~展覧会おぼえがき

美術展のおぼえがきと関連情報をすこしばかり。

9月文楽公演 「傾城阿波の鳴門 十郎兵衛住家の段」

2012-09-23 | 文楽
9月文楽公演。

昨日、やっとのことで2回目、行ってきました。

初日に昼夜で行ったのですが、その後、約2年ぶりの大風邪でダウン。

昨日も直前まで行けないかと思っていたのですが、なんとか持ち直し決行。

病み上がりに昼夜連続は正直、きつかった。

しかし!

非常によかった。初日よりもよかったような。

特に、夜の部の 「傾城阿波の鳴門 十郎兵衛住家の段」後の呂勢大夫さんと藤蔵さんが非常によかった。

思わず引き込まれて、一瞬、完全に浄瑠璃の世界に自分が入ってしまったような感覚が。

ふつう、客観的に「ふむ、ふむ」と舞台を見たり、浄瑠璃を聞いたりしている自分がいるのですが、たまに、浄瑠璃に引き込まれて登場人物の心情にシンクロしてしまい、舞台で語られている感情が自分自身のもののように感じられてしまうときがあるのですが、今回は久しぶりにその感じになりました。

うまく説明できませんが。

遠く離れて住んでいた幼い娘。お父さんとお母さんに会いたいと、あてどもなくはるばると訪ね歩いてきた娘に偶然出会い、それと打ち明けられなかったお母さんが、その直後に娘の死に直面して怒涛のように襲われる哀しみ、とまどい、自分自身への怒りといった感情の渦が、大夫の語りと三味線に乗り移ったようで、迫力でした。

それにしても、性別も年齢も立場もまったく違う人間の感情をあれだけ表現できるとは、大夫と三味線弾き、人形遣いの表現力には、まったく脱帽。

おそるべし、文楽。なのです。


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