一寸の兎にも五分の魂~展覧会おぼえがき

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三谷文楽「其礼成心中」DVDでおもしろさをあらためて実感

2013-08-18 | 文楽
今年、二度めの上演を果たした三谷文楽「其礼成心中」。

会場でDVDを買ってきたので早速見てみました。


(三谷さんの缶バッジは会場でもらったおまけです)

収録されている公演は去年2012年のものです。

先日、今年バージョンを見たばかりなのですが、ちょこちょこと細かいところが改善されているような印象はあるものの、おもしろさは変わらず。

文楽のDVDなので、カメラが人形に集中するのは文楽DVDの常ではありますが、適宜太夫&三味線もちゃんとうつります。

それに、舞台では人形の動きをここまでアップで細かくは見られないので(人形にだけ意識を集中していたらもしかしたら目で追えるのかもしれませんが、私はただでも床に意識が集中するので……)、やっぱりおもしろいです。

しかしなんといっても、あの語りと三味線が家で何度でも聴けるのがうれしい。

今回、あらためて床本を見ると、古典的な作品のそれとは違って登場人物のセリフが多いし、長い。

これをよく、あれだけおもしろく「語れる」なあ、と太夫の技にあらためて驚嘆します。

とくに「第三場 繁盛曾根崎饅頭 ライバル出現の段」の呂勢大夫さんの語りのおもしろさは、ちょっと筆舌に尽くしがたい。

「はい、今日はそこまで。饅頭買うて帰ってや。お代は向こうで払うてな」 

の歌うような語調のおもしろさは耳から離れません。

半兵衛のがしゃがしゃした語り口と妻のおかつさんの落ち着いた穏やかな語り口とが、息つく間もなく入れ替わり、観客を飽きさせないテンポで進みます。

三味線も、よく聴いてると語りにあわせて、なんだかすごく変な音をだしたりして、笑いに大いに一役かってます。

今回は清介さんの作曲ですが、曲としても聴き応えのある、楽しい場面がたくさんあります。

人形でも、おふくちゃんの悶絶シーンや、淀川での水中シーンなど、チャレンジにあふれたこの作品。

やっぱり「其礼成心中」は、文楽の新しい扉を開いた記念すべき作品として記憶に残るだろうなあと実感しました。


とにかく、こんなにおもしろいものがあるということをもっと多くの人に知ってほしい。

文楽鑑賞教室にいけない学校なんかで上映会をしたら、面白がってもらえるのでは、と思ったり。

「其礼成心中」を舞台で見られた方も、見ていない方も、このDVDはぜひ見て(聴いて)いただきたいです。

これから何度も上演されるかもしれませんが、何年も何十年もたってみたら、感慨もひとしおだろうなあ。

ちなみに、ブルーレイBOX(7350円)のほうは特典映像「三谷幸喜の文楽ガイド&舞台裏探訪(20分)」もつくようです。いいな~。うちはいまのところ、ブルーレイはみられないのでこれは断念。

というわけで、ほどなく一般売りも開始されるようですので、ぜひお買い求めください。


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