日本史大戦略 ~日本各地の古代・中世史探訪~

列島各地の遺跡に突如出現する「現地講師」稲用章のブログです。

羽生田富士山古墳|栃木県壬生町 ~径86mの大型円墳~ 【下野型古墳再訪 ④】

2020-05-23 06:54:13 | 歴史探訪
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 茶臼山古墳では危うく裸になりかけましたが、被葬者に怒られそうなのでやめて富士山古墳へ向かいます。

 もしかしたら今頃、茶臼山古墳の被葬者から富士山古墳の被葬者へは「いま、変な奴が来たんだけど、そっちの方へ向かっているから気をつけな」と不審者情報が伝えられているかもしれません。

 おや?



 古墳っぽいけど違うかな。

 土地勘が無いので、場所によってはむしろ徒歩の方が安全な場合もあります。



 たまに林道に突入したら行き止まりで、ひたすらバックで戻るなんてこともありますよ。

 鳥居が現れました。



 なんだ、普通に駐車場がありますね。

 でも、古墳の駐車場ではなく神社の駐車場ですから、神社に用がない方は停めちゃだめですよ。

 山へ向かって参道が伸びていて、中腹に拝殿があります。



 拝殿の裏に古墳があるっぽい。

 境内の脇から裏へ行かせていただきます。

 あったー、あったよ。



 説明板はないかな?

 よし、見つけた。



 下野型古墳は円墳であっても容赦なく広い基壇部分があります。

 そして富士山古墳の直径は86m!

 でかい!



 この図を見ると横穴式石室が2基みつかっているようです。

 築造時期に関しては先ほど見た茶臼山古墳とほぼ同じ6世紀後半で、正確な前後関係は分かりませんが、地元の研究者は富士山古墳の方が少し早いと考えているようです。

 では墳丘を歩きますよ。



 基壇部分が広い。



 横穴式石室は開口していないですね。



 周堤。



 富士山古墳というネーミングの通り、墳頂の形状は山のてっぺんのようになっています。



 富士山登頂。



 一般的な円墳と比べて大きさの割には墳頂の面積が少ないです。

 帰りは神社の境内は通らずに南側の道路へ出ましょう。



 円墳って形状としてはあまり面白くないのですが、この富士山古墳のように大型のものとなると俄然面白みが増します。



 富士山古墳の直径は86mですが、同じ時期には岩舟町に78mの岩舟甲塚古墳が築かれています。

 また、古墳時代終末期に入ったころ(7世紀初頭)には、同じ壬生町内には以前訪れた車塚古墳が築かれ、同古墳は直径が84mと富士山古墳とほぼ同サイズで、下野市には下石橋愛宕塚古墳という82mの円墳が築造され、この近辺では80mクラスの大型円墳が4基も築造され、とても興味深い状況を呈しています。



 では雷電號に戻りますよ。

 富士山古墳の遠景。



 いま私が立っている古墳の南側には田んぼが展開しています。

 先ほど見た茶臼山古墳方向。



 地形図上で確認すると分かりやすいですね。



 今日は羽生田古墳群の代表的な古墳を4基見ました。

 どれも魅力的な古墳でしたね。

 以前は、壬生町内では車塚古墳などを見て回りましたが、壬生町はとても古墳愛を感じられる街で好印象です。

 さて、つぎはもう少し後の時代の遺跡を見に行きますよ。

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