

鉄砲山古墳は江戸期に忍藩の砲術練習場になっていたことからその名が付いた埼玉古墳群の首長墓系列にあたる大型前方後円墳で、2016年度まで7ヵ年度に渡る発掘が行われ、さきたま史跡の博物館で最新の遺物を見ることができます。





お勧め度:

*** 本ページの目次 *** 1.基本情報 2.諸元 3.探訪レポート 4.補足 5.参考資料 |
1.基本情報
所在地
埼玉県行田市埼玉4834(埼玉県立さきたま史跡の博物館)
現況
さきたま古墳公園
史跡指定
国指定特別史跡
指定日:令和2年(2020)3月10日
出土遺物が見られる場所
埼玉県立さきたま史跡の博物館(展示替えがあるため常に見られるとは限らない)
2.諸元
築造時期
6世紀後半
墳丘
形状:前方後円墳
墳丘長:107.6m、後円部径:49.7m、前方部幅:68.1m
墳高:後円部高8.5m、前方部高:9.5m
段築:前方部、後円部ともに2段か
葺石:なし(埼玉古墳群では丸墓山古墳以外では葺石は見つかっていない)
埴輪:
主体部
横穴式石室
羨道の側壁は角閃石安山岩の切石、天井は緑泥片岩
出土遺物
須恵器
周堀
長方形、二重(北西側では3番目の堀跡が見つかっている)
3.探訪レポート
2021年2月6日(土)2021年ファースト古墳めぐり⑧
この日の探訪箇所
栢山天王山塚古墳 → 塩古墳群 → 宮塚古墳 → 瓦塚古墳 → 奥の山古墳 → 中の山古墳 → 戸場口山古墳 → 鉄砲山古墳 → 浅間塚古墳 → 二子山古墳 → 将軍山古墳 → 稲荷山古墳 → 白山愛宕山古墳 → 神明山古墳 → 白山古墳 → 丸墓山古墳 → 愛宕塚古墳
⇒前回の記事はこちら
戸場口山古墳で遺構も説明板も何一つないことを確認して、中の山古墳まで戻ってきました。
中の山古墳からはいつもと同じで鉄砲山古墳の東側面へ向かいますが、実は先ほど、瓦塚古墳から奥の山古墳へ向かうときに、西側面は見ていました。
何度も来ているのに、この抉りは初めて見たと思います。

確か、いつもこの辺はもっと散らかっていたイメージがあるのですが、発掘調査の際に綺麗にしたのでしょうか。
鉄砲山というニックネームは、江戸時代に忍藩の砲術練習場があったことからネーミングされましたが、御風呂山という別称もあります。
前方部側。

そして、2015年3月に来た時。

墳丘にブルーシートが被せてありますが、2010年度から2016年度まで7ヵ年度に渡って発掘調査が行われていました。
鉄砲山も赤い説明板なのです!

2017年夏の青い墳丘。

鉄砲山古墳も造出を備えていますが、忍藩によって大幅に改変されてしまったそうです。
そもそも草茫々だと分からないですね。
同じ説明板をまた撮っていますが、本当に読みづらい。

そういえば、赤い説明板では墳丘長は112mとなっていますが、最新の調査結果では107.6mであったことが分かり、ちょっと小さくなってしまい残念です。
その後、クラツーで4度案内していますが、通常ツアーのときは説明しながら歩いているため、自分が写真を撮ることはあまりないのですが、2020年2月22日は珍しく鉄砲山古墳の写真を撮っていました。

さらにその次の10月10日のツアーのときは博物館で鉄砲山出土遺物の展示を撮ってきています。
まずは円筒埴輪。

一番左のは何と、9条も突帯があり、器高は90㎝くらいある大型品です。
埼玉古墳群で出土した円筒埴輪では9条が最大です。
これも凄いですぞ。

蓋形埴輪の器台部分です。
復元できなかった立飾りの部分は他の形象埴輪と一緒に並んでいます。

これら形象埴輪の発見位置。

鉄砲山古墳に並べられた埴輪は、鴻巣市の生出塚埴輪窯で焼かれたもので、生出塚は高級ブランドですよ。
2017年夏の東国を歩く会の「夏期古墳講習」でも訪れています。

ちなみに、現在の生出塚埴輪窯跡は普通の児童公園のようになっていて見るべきものは説明板くらいです。

さらに言うと、あの時はクレア鴻巣を訪れて、重要文化財の埴輪も見ています。

ここは凄いのでお勧めします。
さて、話を戻して再び今回の探訪の続きです。

初めて来たときに「おや?」と思ったのは写真右側の土盛りで、最初は古墳かと思いましたが違います。

初心者には見分けがつかないので、何か表示の一つでもしてくれればいいのになと思います。
鉄砲山は、首長墓としては、稲荷山(120m)、二子山(132.2m)につづいて築造された大型前方後円墳で、既述した通り墳丘長は107.6mあります。
今日はいままで、瓦塚、奥の山、中の山と70m前後の中型前方後円墳を見てきたので、鉄砲山の大きさは際立っていますね。

墳丘長が30m違うというのは、当たり前なことですが単に長さだけでなく高さも幅も大きくなり、ヴォリューム感がかなり違うのです。
埼玉古墳群の県道南側を歩いた時のクライマックスを飾るのに相応しい大型墳ですね。
東側後円部を狙います。

つづいて、ツアーのときは二子山古墳へ向かうのですが、今日は史跡外の浅間塚古墳に寄ってから行こうと思います。
近道はないかな?と見てみると、道路まで出なくても神社の森に通じていそうな小径がありましたよ。
行ってみましょう。
(つづく)
4.補足
5.参考資料
・現地説明板
・『埼玉の古墳 北埼玉・南埼玉・北葛飾』 塩野博/著 2004年
・『シリーズ「遺跡を学ぶ」016 埼玉古墳群』 高橋一夫/著 2005年
・『史跡埼玉古墳群 総括報告書Ⅰ』 埼玉県教育委員会/編 2018年