宇宙に浮かぶ星雲の周りに、無数の若い星々が煌めいている。
水晶をまとった「クリソプレーズ」である。ハッブル宇宙望遠鏡が遠く遠くの星雲を撮影した写真を思わせる。グリーンとオレンジの雲がぐるぐると混ざり合い、分離し、新しい光が産み出されているかのようだ。
埼玉ミネラルマルシェにて購入したこの石は、トルコからやってきた。
裏側はこんな感じである。よく見ると、緑色の部分も、濃い緑と薄い緑が混在している。
クリソプレーズは青リンゴ色で半透明の玉随である。色はニッケルに起因する。クリソプレーズの中には、太陽光にさらされたとき色が薄くなるものがある。緑の色が薄いものを研磨した場合、高品質のヒスイと見間違えられやすい。ギリシャ人にもローマ人にも用いられた。・・・
この鉱物名は、ギリシャ語で“金色の西洋ニラネギ”を意味する“chrysos”と“prase”という言葉に由来する。もともとは色調が薄く黄色みがかったクリソプレーズに対して用いられた名称だったと思われる。(p.227)
この鉱物は「珪酸塩鉱物」というグループに属していて、このグループの代表的な鉱物は水晶である。他にも、玉随(カルセドニー)、カーネリアン、アゲート、ジャスパーなど、色とりどりの美しい鉱物がある。これらの化学組成は”SiO2”で共通していて、ニッケルやクロムといった鉱物がわずかに含まれる事で色とりどり、多種多様な鉱物を産み出している。
拡大してみてみると、水晶の透明な層が、クリソプレーズを包んでいるのが見える。透明な水晶を通して、緑色が見える。とても細かい水晶が表面を覆って、その無数の結晶の小さなポイントが光を反射している。
抹茶餡と茶色い餡が混ざり合った練り切りを、寒天でくるんで細かな砂糖をまとわせたかのようにも見える。
美しい好物がまたもや美味しそうに見えてしまってしかたがない。
【引用文献】
・『岩石と宝石の大図鑑 岩石・鉱物・化石の決定版ガイドブック』 青木正博 翻訳 (誠文堂新光社 2007年4月10日)