さて、本題の遺留分について話したいと思います。
公正証書遺言あっても、もめ事の種になる「遺留分」。
ご存じの方も多いと思いますが、まず遺留分について、説明したいと思います。
遺留分とは、被相続人(遺言者)が、その遺産のうちで、一定の相続人のために、どうしても残さなければならない財産額
です。
つまり、相続人がどんにやりたくないと思った相続人。。。例えば、勝手に家出をしたあげく、お金が必要な時だけ家に帰ってきてお金をせびり、渡さないと、親に暴力をふるって、半ば泥棒のように金を取っていき、親が病気になっても、入院しても見舞いの一つもなかった息子。。。さすがに、お父さんも堪忍袋の緒が切れて、「あいつには絶対財産をやらん。」と思ったとします。
でも、相続になれば、そのような息子でも、原則、遺産はもらえます。
「全財産は妻にやる。」という公正証書遺言があっても、息子が請求すれば、それが一人息子だったら、通常、1/4の遺産は確保できることになります(但し、若干の例外はあります。)。
遺留分の割合は、民法では、
- 親が相続人である場合は、本来の法定相続分の1/3
- 妻、子供が相続人である場合は、本来の法定相続分の1/2
- 親と子供がおらず、兄弟が相続人なった場合は、遺留分なし。
です。
なぜ、「遺留分」というものが、考えられたのでしょうか。
それは、
- 相続人の生活の安定
- 相続人間の公平
ということに法律が配慮したからです。
だから、被相続人(遺言者)と同じ年代で、同じように財産を築いていると思われる兄弟姉妹は、遺留分がないのです。
ところで、相続人が、自分が遺言で排除された場合、遺留分を請求しても、相続財産をもらえない例外ってどのようなものでしょう。以下のような場合がそうです。
- 子供が親を殺害したり、殺害しようとし場合等(当然ですよね。このような場合を「欠格」といいます。)
- 遺言者が、自分を虐待した子供の相続人の資格を無くしてくれるよう、家庭裁判所に申立をした場合→これを「廃除」といいます。
- 遺留分のある相続人が、遺留分を行使できると知ってから1年を超えても請求しなかったとき、または相続開始の時から10年たったとき→時効によって行使できなくなります。
ただし、上の「欠格」、「廃除」の場合、その欠格者・廃除された者に子供がいれば、その子達には遺留分があります。
「孫はかわいい」ならいいのですが、子供が未成年の場合、親である欠格者、廃除された者が、親権者として遺留分を行使する可能性がありますし、その後の財産を管理する可能性がありますので、財産をいいように使われてしまう可能性があります。
ですので、やっぱり遺留分はやっかいです。
次回は、遺留分対策の遺言書等について検討したいと思います。