ある税理士のつぶやき(旧:とある明石の弁護士、つれづれ日記)

弁護士(りんどう法律事務所)を廃業し、現在、姫路市で税理士をやっています。折に触れ、生活情報等をつぶやきたいと思います。

遺留分その1-遺留分とは

2011-08-15 22:01:37 | 遺言・相続

さて、本題の遺留分について話したいと思います。

公正証書遺言あっても、もめ事の種になる「遺留分」。

ご存じの方も多いと思いますが、まず遺留分について、説明したいと思います。

遺留分とは、被相続人(遺言者)が、その遺産のうちで、一定の相続人のために、どうしても残さなければならない財産額

です。

つまり、相続人がどんにやりたくないと思った相続人。。。例えば、勝手に家出をしたあげく、お金が必要な時だけ家に帰ってきてお金をせびり、渡さないと、親に暴力をふるって、半ば泥棒のように金を取っていき、親が病気になっても、入院しても見舞いの一つもなかった息子。。。さすがに、お父さんも堪忍袋の緒が切れて、「あいつには絶対財産をやらん。」と思ったとします。

でも、相続になれば、そのような息子でも、原則、遺産はもらえます。

「全財産は妻にやる。」という公正証書遺言があっても、息子が請求すれば、それが一人息子だったら、通常、1/4の遺産は確保できることになります(但し、若干の例外はあります。)。

遺留分の割合は、民法では、

  • 親が相続人である場合は、本来の法定相続分の1/3
  • 妻、子供が相続人である場合は、本来の法定相続分の1/2
  • 親と子供がおらず、兄弟が相続人なった場合は、遺留分なし。

です。

 なぜ、「遺留分」というものが、考えられたのでしょうか。

 それは、

  • 相続人の生活の安定
  • 相続人間の公平

ということに法律が配慮したからです。

だから、被相続人(遺言者)と同じ年代で、同じように財産を築いていると思われる兄弟姉妹は、遺留分がないのです。

 ところで、相続人が、自分が遺言で排除された場合、遺留分を請求しても、相続財産をもらえない例外ってどのようなものでしょう。以下のような場合がそうです。

  • 子供が親を殺害したり、殺害しようとし場合等(当然ですよね。このような場合を「欠格」といいます。)
  • 遺言者が、自分を虐待した子供の相続人の資格を無くしてくれるよう、家庭裁判所に申立をした場合→これを「廃除」といいます。
  • 遺留分のある相続人が、遺留分を行使できると知ってから1年を超えても請求しなかったとき、または相続開始の時から10年たったとき→時効によって行使できなくなります。

ただし、上の「欠格」、「廃除」の場合、その欠格者・廃除された者に子供がいれば、その子達には遺留分があります。

「孫はかわいい」ならいいのですが、子供が未成年の場合、親である欠格者、廃除された者が、親権者として遺留分を行使する可能性がありますし、その後の財産を管理する可能性がありますので、財産をいいように使われてしまう可能性があります。

ですので、やっぱり遺留分はやっかいです。

次回は、遺留分対策の遺言書等について検討したいと思います。