先日、私が勤める介護施設で、入居者のY田さんがいなくなりました。
1階フロアで売店を利用された後、入口付近のベンチで座っているところを介護職員Aが目撃し、Y田さんの担当職員Bにピッチ(介護職員が連絡用に持っている電話)で連絡を入れたそうです。
連絡を入れたAは、他の人の介助中。
連絡を受けた担当職員Bも、その時は2階のフロアで他の人の食事介助中で手が離せず、5分後ぐらいにY田さんを連れに1階に下りたのですが・・・
Y田さんがいない!!
「Y田さんは杖歩行で、これまで外に出ようとした事もなく、施設内をウロウロする人でもない。施設内から外へ出る扉は暗証番号でロックされているから、外へは出ていないだろう」
そういう思い込みがあり、介護職員AとBをはじめ、私たち事務職員もフロアを探し回っていたところ・・・Y田さんが帰ってきました!
と言っても、自力で帰って来たわけではありません。
施設から外へ出て、駅の方面に向かって1キロほど歩いたところ(途中からはずっと下りの坂道)の交差点手前でY田さんが転倒。
そこを、たまたま勤務終わりで帰宅途中の職員が通りかかり、さらに、たまたまその道を走っていた同法人グループの車が事態に気づき、Y田さんと職員を乗せて帰って来てくれたという流れです。
「たまたま」が重なっていなければ・・・もっと大変な事態になっていたと思います。最悪の事態もあり得たかもしれない。
後で監視カメラを確認すると、どうやらY田さん、施設に入ってきた郵便局の人が出る際に、一緒に出て行ったようでした。
当時、売店と会議が重なっており、事務所内には人が2人しかおらず、それぞれのデスクで仕事中。玄関が見える受付窓口には誰もいませんでした。
この事態、常日頃から懸念していたことでした。
売店のある曜日が、会議の曜日と必ず重なっているのです。会議は殆どの人が参加なので、当然事務所内には人がいなくなります。
それでも、人を増やしたり会議の曜日を変えたりしないんですよね(提案しても却下されました)・・・何か最悪の事態が起こらないと、上層部は動かないのかな・・・。
今回の事で何か変われば良いけど、きっと「気を付けてください」で終わるんだろうな。
ところで当のY田さんですが・・・
いつもは無表情な方なのですが、戻って来られた時は、それはそれは嬉しそうに「お買い物に行こうと思って歩いて行った」と、満面の笑みで話してくれました。数年ぶりの外出、本当に楽しかったんでしょうね。
施設としては反省することばかりですが、とにかく無事に帰ってきてくれたこと、そして本当に嬉しそうに話をするY田さんを見て、一同ほっと胸をなでおろしました。