皆さんのお役に立てば幸いです

色々の無料ホームページからお役に立て様な記事を探して掲載します。主に健康・くらしです。

高齢者をがんや心疾患に仕立て必要ない手術まで…終末期医療に残る深い闇

2021-12-04 13:30:00 | 日記

下記の記事をヨミドクター様のホームページからお借りして紹介します。(コピー)です。

さる11月9日、横浜地裁で、入院患者3人を殺害したなどとして死刑が求刑されていた元看護師の久保木愛弓被告(34)に、無期懲役の判決が言い渡されました。メディアは当初、求刑通りの死刑を予測していましたが、無期懲役になったことで、疑問視する声が上がりました。なぜなら、被告の元看護師に、精神的な衰弱・異常はなく、「完全な責任能力がある」と認められていたこと、さらに判例から言って「3人以上の殺人は死刑」が通例だったからです。横浜地検は22日に判決を不服として控訴し、これを受けて弁護側も控訴しました。

旧大口病院で起きたこと
 事件が起きたのは、2016年9月。病院の4階病棟で、約3か月の間に48人もの患者が死亡していたことが発覚したのです。久保木容疑者が逮捕されたのは、それから2年後。当初から関与を疑われていましたが、逮捕された後に「20人くらいやった」と自白したというので、社会に衝撃を与えました。立件・起訴されたのが3人だけだったのは、この3人を除いて、遺体はすべて火葬されてしまっていたため、証拠として鑑定できる血液が残っていなかったからでした。

 彼女の犯行は、患者の点滴袋に消毒液「ヂアミトール」(界面活性剤)を注射器で混入するという、じつに単純なものでした。しかし、これで患者は簡単に死んでしまいます。なぜ、彼女はこんなことをしたのでしょうか? 供述によると、「自分が担当の日に患者が死ぬと、遺族にいちいち説明する必要があった。それが嫌だった」とのことですから、驚くしかありません。

看取りが主要な役割のひとつに
 事件の舞台になった横浜市の旧大口病院は、多くの終末期の患者を集めていました。一口に病院と言っても、高度な手術を行っている病院から、回復の見込みのない高齢者の医療を収入の柱としている病院までさまざまです。がんの終末期ケアに特化したホスピスもありますが、通常医療の範囲で見取りを引き受ける病院もあります。高齢者が多い多死時代を迎えて、旧大口病院と同じように終末期の患者を受け入れる病棟などを持つ病院は少なくありません。そして、こうした病院に送り込まれる高齢者は、年々、増え続けているのです。

 旧大口病院で起こったことは、殺人事件という特異な事例です。しかし、日本の終末期医療を見渡すと、今も根深い問題が多く残っています。
終末期の患者が病院の儲けのネタになっている

 回復が難しい高齢者を受け入れる病院は、「老人病院」とも言われました。患者の多くがベッドに寝たきりで、体にはチューブがつながれている人もいます。直接、胃から栄養を摂取できるようにする「胃ろう」や、静脈にカテーテルを通して栄養を送る「IVH」などの方法で生かされています。この状態の感じ方は人それぞれだと思いますが、中には「生き地獄」だと言って、「早く死なせてほしい」という訴えを私は何度も聞いたことがあります。

 実はかつて私も、こうした老人病院のチェーンを経営していたことがあるので、事情はよくわかります。生活するには介護が必要で、自宅でお世話をするのが大変な高齢者などを引き受けます。こうした高齢者の中には家族にお荷物扱いされている方も少なくないので、ケアに関してはあまり要望や苦情が出ません。そこで、死期が近づいたら延命のために思い切り濃厚な治療を行えば病院の収入は上がります。

生活保護者は病院のドル箱
 なかには、職員に福祉事務所などを回らせて、家族がいない一人きりの患者を集めているところもあります。病気を抱えた生活保護受給者は、病院にとっては最高の「ドル箱」です。すべて公費で賄えるからです。終末期医療と言えば聞こえはいいですが、死亡時の診療報酬の審査は緩い傾向があって、終末期医療ビジネスが成立する経済的な環境や家族の事情があるのです。かつて摘発された例では、必要がないのに、がんや心疾患などに仕立て上げ、手術までしていたところがあります。

 本人が望むケアや死に方を実現するには、本人とそれを支える家族、医療スタッフのコミュニケーションが大切です。その話し合いを「人生会議」と呼んで、厚生労働省も推奨しています。しかし、現実には、そうした理想とはかけ離れた終末期の現場もあるのです。終末期医療が依然として病院の金儲もうけのネタにされてはいないか……そこが気になるのです。

親を入院させておけば、年金でおつりが来る
 長く医者をやっていると、日本の終末期医療は間違っていると痛感してきました。75歳以上なら、原則的には医療費の9割は保険が適用されますから、患者側の負担は1割で済みます。となると、入院させておけば年金でおつりが来るケースも少なくありません。

 多くの高齢者を看取っている病院グループの理事長が話していました。「『できるだけ長く生かしてあげてください』なんて言うご家族は、親の年金をあてにしていることも多いですね。逆にそうでないご家族からは、『本人がつらくないように、楽に逝かせて下さい』と言われます」

 年金の支給日は、月の半ばの15日です。そのため、家族から「15日までは死なせないでくれ」と頼まれたという話もよく聞きます。
病院を姥捨山にしてはいけない

 患者の気持ちに寄り添った終末期医療を、誠意を持って本人や家族と相談しながら進めているような病院で、「遺族への説明が負担だ」と言って殺人を起こすような 看護師が見過ごされるでしょうか。旧大口病院事件は、特異な犯罪者が引き起こした事件で、ご遺族の心情は察するに余りあります。ですが、その背景には、日本の終末期医療提供体制の問題があるように思えてなりません。

 1983年のカンヌ映画祭でパルムドールに輝いた映画「楢山節考」は、貧しさゆえに口減らしのために高齢の親を山に捨てる姥捨山をテーマにした作品です。主演した坂本スミ子さんは、今年1月に84歳で亡くなりました。

 私も来年は75歳の後期高齢者。間違っても、現代の“姥捨山”には入れられないよう、家族には話をしておかなければいけません。その上で、その時が来たら、潔くこの世を去るつもりです。 (富家孝 医師)

富家 孝(ふけ・たかし)
医師、ジャーナリスト。医師の紹介などを手がける「ラ・クイリマ」代表取締役。1947年、大阪府生まれ。東京慈恵会医大卒。新日本プロレス・リングドクター、医療コンサルタントを務める。著書は「『死に方』格差社会」など65冊以上。「医者に嫌われる医者」を自認し、患者目線で医療に関する問題をわかりやすく指摘し続けている。



コメントを投稿