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「ワクチンにより効き目は違う?」「変異ウイルスへの効果は?」 医師が解説

2021-12-25 12:00:00 | 日記

下記の記事は日経グッディ様のホームページからお借りして紹介します。(コピー)です。

 

Q.1

新型コロナワクチン接種後に新型コロナに感染するリスクはどれくらいですか。

 

A. 2021年半ば頃から徐々に、新型コロナワクチンの感染予防効果そのものについても報告が出てきています。米国などの研究では、接種後の感染予防効果は、ファイザーのワクチンは約88%(1カ月以内)、モデルナのワクチンは約97%(1~4カ月)であったことが報告されています。

しかし新型コロナワクチンの感染予防効果は、接種後、時間が経過するにつれて徐々に低下することもわかってきました。加えて、感染力が強い変異株「デルタ株」が流行の主流になってきたことで、ブレークスルー感染(Q.2参照)が増えています。このような状況を考慮して、1、2回目のワクチン接種を完了して一定期間が経過した人に対して、免疫を補強するために3回目のワクチン接種(ブースター接種)を実施する国が増えています。

なお、重症化予防効果については、米国の研究報告などから、感染予防効果と比較して時間が経過しても維持されやすいことが示唆されています。

 

Q.2

ファイザーとモデルナの新型コロナワクチンは、効き目に差がありますか。

 

A. ファイザーのワクチンとモデルナのワクチンはいずれもmRNAワクチンです。臨床試験ではほぼ同等の有効性が示されていました。これら2つのメーカーのワクチンはいち早く全世界で使用されるようになったので、様々な研究が行われ、データが蓄積してきています。最近わかってきたことは、ファイザーのワクチンに比べてモデルナのワクチンの方が、効果がやや高いのではないかということです。2回目接種完了から120日以上経過した人を対象とした米国の研究では、ファイザーのワクチン接種者の入院予防効果が77%であったのに対し、モデルナのワクチンでは92%と上回っていました。

また、感染予防に重要な役割を果たすと考えられるワクチン接種後の抗体の量の上がり具合にも違いがあり、モデルナの方がやや高いと報告されています。さらに接種から6カ月後に抗体の量がどれだけ維持されているかについても、ファイザーのワクチンを接種したグループに比べてモデルナのワクチンを接種したグループの方が高かったと報告されています。

このような差が生じる理由として、ワクチンに含まれているmRNAの量がファイザーに比べてモデルナの方が多いこと、1回目と2回目の接種間隔がファイザー(3週間)に比べてモデルナ(4週間)の方が長いことなどが考えられています。1回目と2回目のワクチンの接種間隔については、ワクチンの種類は異なりますがアストラゼネカのワクチン(ウイルスベクターワクチン)に関する研究があり、間隔をより長くあけた方が高い効果が得られる、という結果が得られています。mRNAワクチンについても同様の傾向がある可能性が考えられます。

ただしモデルナのワクチンとの比較で効果がやや劣るとしても、大きな差ではなく、ファイザーのワクチンにも十分な効果があることは間違いありません。ワクチンの副反応についてはファイザーの方が頻度が低いとの報告もあるなど、それぞれのワクチンに別々の小さな長所があると考えればよいと思います。

Q.3

変異ウイルスが次々と出てくるから、新型コロナワクチンを打っても意味がないのではないですか。

 

(イラスト:串子)

A. 現在、流行の主流となっている変異ウイルス「デルタ株」(編集部注:2021年夏の第5波の主流だった変異ウイルス)は、以前のウイルス株と比べてワクチンがやや効きにくいとされ、実際にブレークスルー感染が増えています。しかし今後登場するすべての変異ウイルスが、ワクチンが効きにくい性質を持っているとは限りません。例えば、デルタ株の前に世界的に広がっていた「アルファ株」は、感染力はそれ以前のウイルス株より強くなっていましたが、ワクチンの効果は維持されていました。

デルタ株に対しても、ワクチンの重症化予防効果は十分に保たれていることがわかっています。ワクチン接種が進んでいったん減少した感染者数が、デルタ株の流行で再び増えた国もありますが、重症化率や死亡率はワクチン接種が広まる以前と比べて低く抑えることができています。

今後も、ワクチンが効きにくい新たなタイプの変異株が出現する可能性はあります。現に2021年11月下旬に世界保健機関(WHO)により「懸念すべき変異株」に指定された「オミクロン株」は、その変異の多さから既存のワクチンの効果が低下するのではないかと疑われています。ただし、その場合でもワクチンの効果がゼロになるとは考えにくいです。また、新たな変異株に対応したワクチンの開発・改良も常に行われているので、変異ウイルスが原因でワクチン接種が無意味になることはまずないでしょう。

 

Q.4

新型コロナワクチン接種で心臓の病気のリスクが高まるというのは本当ですか。

 

A. 頻度はまれなものの、新型コロナワクチン接種後に心筋炎や心膜炎を疑う事例が国内外で報告されています。心臓の筋肉である心筋に炎症が起こるのが心筋炎で、心臓を包む表面の膜に炎症が起こるのが心膜炎です。10代~30代の男性、1回目接種よりも2回目接種で発生頻度が高く、接種後1週間以内に発症する傾向が高いようです。

なお、10代、20代の男性については、ファイザーのワクチンに比べてモデルナワクチンで心筋炎・心膜炎の頻度が高い可能性が示唆されています(表参照)。希望する場合には、モデルナのワクチンをすでに予約中、あるいは1回目にすでにモデルナのワクチンを接種していても、ファイザーのワクチン接種に変更することができます。

心筋炎は重症化すると、心不全や不整脈などの原因になることがありますが、新型コロナワクチン接種後に発症した心筋炎や心膜炎の多くは幸い軽症であり、適切な治療によって後遺症を残すことなく速やかに改善しています。

心筋炎や心膜炎は、新型コロナウイルスに感染した場合にも、合併症として起こることがあります。合併する確率はワクチン接種後に発症する確率よりも高く、より重症であることがわかっています。したがって現時点では、ワクチン接種のメリットが副反応のリスクのデメリットを上回っているとの考えから、接種対象のすべての世代の人にワクチン接種が推奨されています。

なお、心臓の病気は早期発見、一刻も早い治療がとても重要です。ワクチンの副反応かどうかにかかわらず、今までになかった胸痛、息切れ、動悸などに気付いたら、すぐに医療機関を受診してください。

Q.5

新型コロナワクチンの種類によって副反応のリスクに差はありますか。

 

(イラスト:串子)

A. 別々に臨床試験が実施されているので単純に比較はできませんが、ファイザーのワクチンよりもモデルナのワクチンの方が一般的な副反応の発生頻度は高いようです。またモデルナのワクチンでは、接種から約1週間後に、接種した部位の痛みや腫れなどが遅れて出ることが多かったと報告されています。ただしほとんどが軽症で、速やかに回復しています。

まれに起こる重篤な副反応としては、心筋炎や心膜炎が疑われる報告の頻度が、ファイザーのワクチンに比べてモデルナのワクチンの方が高いことが知られています。アストラゼネカのワクチンに関しては、ワクチン接種後に血小板減少症を伴う血栓症、毛細血管漏出症候群、ギラン・バレー症候群などの神経疾患を発症した例が、海外で報告されています。血小板減少症を伴う血栓症についてはファイザー、モデルナのワクチンでも疑い例が出ていますが、これまでのところ、アストラゼネカのワクチンほどには関連性が明らかになっていません。

なお、まれなアレルギー反応との関連が懸念されているポリエチレングリコール(PEG)は、添加剤として3種のワクチン(ファイザー、モデルナ、アストラゼネカ)すべてに含まれています。

3種いずれのワクチンにも高い有効性があること、いずれも重篤な副反応の頻度がまれであることを踏まえると、現時点では接種のメリットが副反応のリスクのデメリットを上回っていると考えられます。いずれかのワクチンを接種できるときに接種することをお勧めします。

 

Q.6

新型コロナワクチンの接種率が上昇したら、イベントや飲み会に自由に参加しても大丈夫ですか。

 

A. ワクチンを打ったら絶対に新型コロナウイルスに感染しないわけではありません。ワクチン接種から時間がたつとワクチンの効果が少しずつ低下するので、ブレークスルー感染が起きやすくなります。イベントへの参加、飲み会での交流などを再開する際には、感染流行の状況に加えて、そういったことも念頭に置いてください。

現在、日本では、大規模イベントなどへの参加条件としてワクチン接種歴などの提示を求める「ワクチン・検査パッケージ」制度が検討され、効果を確認するための実証実験が行われています。しかしそういった仕組みに頼るだけでなく、お互いの健康を守るために、それぞれの参加者がイベント前後に密になる場所に行くのを避ける、イベント参加者同士で声を掛け合って健康チェックをするといった1人ひとりの心がけが引き続き大切です。

Q.7

「ワクチンパスポート」とはなんですか。

 

A. 「ワクチンパスポート」とは、新型コロナワクチン接種を受けたことを証明する海外渡航用のワクチン接種証明書のことです。日本から他国に渡航する際、入国時に提示すると防疫措置(一定期間の隔離やPCR検査など)の免除・緩和が受けられる場合があります。日本の「ワクチンパスポート」は、2021年12月1日現在、76カ国でワクチン接種証明書として認められています。

「ワクチンパスポート」を取得するには、ワクチン接種を受けた居住地の自治体に申請します。申請方法、必要な書類などは変更されることがあるので、自治体のホームページなどで最新情報を確認してください。

(イラスト:串子)

日本では現在、ワクチンパスポートの制度とは別に、新型コロナワクチンの接種完了時に発行される「予防接種済証」または「接種記録書」を活用する「ワクチン・検査パッケージ」制度の導入が進められています。これは、飲食店利用者やイベント参加者が入店・入場する際に、事業者・主催者が、予防接種済証か接種記録書、または新型コロナの陰性証明書を確認することを条件に、緊急事態宣言が出ている新型コロナの流行期であっても行動制限を緩和する制度です。具体的には、都道府県をまたぐ移動が可能、飲食グループの人数制限なし、イベント参加人数は収容人数までOKなどとなります。民間の事業者、イベント主催者などが独自に、入店・参加の条件として入店・入場者にワクチン接種歴や検査結果の提示を求めることも原則として自由とされています。

 

Q.8

海外ではもうマスクをしていなかったり、大規模なイベントを満員で開催している国もあるようです。日本とは何が違うのですか。

 

A. 2021年夏に行われた欧州のサッカー大会「EURO2020」などで、多くの人がスタジアムに詰めかけマスクなしで観戦しているのをテレビなどで見て疑問に思った人もいるかもしれません。日本よりも先に、新型コロナワクチン接種が2021年初頭から本格化した欧州各国、米国などでは、ワクチン接種率の上昇も日本より早く、2021年5~6月頃からはレストランやスポーツジム、美術館などの利用が段階的に再開され、企業の在宅勤務も解除されました。

また、もともと感染症に対してマスクを着用する習慣がなかった欧米では、新型コロナウイルス感染症対策の一環としてマスク着用を促進するために法律でマスク着用を義務化していましたが、感染率が低下して義務化が解除されると同時に、マスクを着用しなくなったと考えられます。例えば英国では2021年7月から室内を含めてマスク着用は法的義務ではなくなり、それと同時に公共交通機関などでもマスクをしている人は少数派となっています。

ただし新型コロナワクチンの接種率が上がっても、感染が完全に防げるわけではありません。ワクチンの効果で重症者数、死者数は抑えられてはいますが、再び感染者数が増えてきている国も少なくありません。重症化リスクが高い人に感染を広げないためにも、感染流行が続いている間は、イベント参加やスポーツ観戦、近距離で人と話す際などには引き続きマスクを着用するなど感染予防対策を取ることが、正しい対応だと考えられます。

倉沢正樹=日経メディカル元編集長



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