日刊ゲンダイデジタル様のホームページより下記の記事をお借りして紹介します。(コピー)です。
小田急線や京王線で起きた乗客刺傷事件を受け、JRや私鉄各社は最新技術を活用した車内犯罪防止の対策を進めている。具体的にはAI(人工知能)が不審者を特定し、警備員などに知らせて犯罪を未然に防ぐというものだ。AIは犯罪予備軍をどのようにして特定しているのか。周囲を警戒する個人の参考にもなる。
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放火につながる不審行動もAIが監視する。AI搭載カメラ開発の「アースアイズ」が、その前段階として公共の場や人のいない場所で発生する火災を発見し、通知するシステムを発表した。
「2年前に起きた沖縄の首里城火災のように、火災は初期段階で発見しなければ被害を防ぐことは難しいといえます。そこでまず火の大きさや方向、煙などから火災を初期段階から発見できるシステムを開発し、いずれは万引を発見する技術を応用して放火につながる不審行動を検出するAIカメラも開発する予定です」(アースアイズの広報担当者)
同社のAIが市販の防犯カメラや遠隔操作のPTZカメラの映像を見て火災の有無を判断。早期消火に役立てるというもの。いずれ放火魔のような不審者の特定も可能になるという。
■万引き犯に見られる特定の行動パターン
電車や大型商業施設などで活用されているAI監視カメラも、この万引対策のシステムと基本は同じ。かつての監視カメラは犯罪の証拠を残すことが主な目的だったが、現在は不審者の行動パターンをAIが学習し、監視員などに知らせることで、犯罪を未然に防ぐことに主眼が置かれている。
例えば、NECのAIシステムは顔認証技術を活用し、監視リストに登録済みの人物が現れたら即座に知らせてくれる方式。監視対象は必ずしも犯罪歴のあるような者ばかりでなく、何度も現場を訪れたり、長時間にわたってうろつくといった不審者も対象だ。
また、NTTドコモと富士通が共同開発したシステムは、人の行動や動作を数値化。不審な行動を起こす可能性がある人物を検知する。
さらに海外では映像から人の振動などを分析し、ストレスや恐怖といった人の「精神状態」にまで迫るシステムもある。
「万引を行う不審行動には、『うろうろする』『座り込む』『物を置き去る』といった特定の行動パターンが存在します。当社システムは、3D空間把握技術(特許取得)とAIがそのパターンを処理し、危険事象があれば店員のスマホに通知します。ある化粧品チェーンでは、このシステム導入後に万引によるロスが61%も減ったという実績があります」(前出のアースアイズ広報担当者)
店員に声をかけられたという人は、不審と見られる行動があったのかもしれない。ただ、うろうろしている客は商品を探していたり、座り込んでいる人は体調不良の可能性もある。スマホで連絡を受けた店員が「どうされました?」と声をかけることでサービスの向上にもつながるという。
「うろつき」「通り抜け」「立ち止まり」は注意
写真はイメージ(C)PIXTA
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ところで、こうしたAIによる犯罪予測システムは、相次ぐ電車内の無差別殺傷事件の防犯対策にも活用できそう。
AIが監視している不審な行動パターンをいくつか覚えておけば、自分の手で犯罪から身を守る可能性が高まるという理屈だ。
電車内などでの要注意人物の行動パターンには、「うろつき」「通り抜け」「立ち止まり」などがある。
まず、うろつきの把握だが、周囲とあまりに極端に行動が違えば、うろつきより「道迷い」の可能性の方が高まる。うろつきは、一定の割合で周囲を行き来したりすること。「あれ? この人、さっきも見たよな」という感覚があれば、注意しておきたい。
通り抜けは、犯行の下見などで使われる。犯人は時間帯や場所を入念に決めて行動に移る傾向がある。2年前の「京都アニメーション放火殺人事件」の犯人もそうで、3日前から現場を下見していたことがわかっている。要するに、用もないのに車両と車両を行き来しているような人は要注意だ。
立ち止まりは、何かを物色している可能性もあるため、長時間ほど要注意となる。
■不審者の外見的な3つの特徴
さらに、凶悪犯罪を犯すような人間には外見上の特徴もある。無差別で事件を犯すような人物は素手で犯行に及ぶことはあまりない。刃物やオイルなどを持ち運ぶためリュックやバッグを持参している確率が高い。
また、「マスク」や「帽子」をかぶっているのも犯人の特徴。コロナ禍では見分けが難しいが、車内や屋内でサングラスというのは明らかに違和感がある。さらに、犯人は逃走のためスニーカーや運動靴を履いているケースが高いという。サンダル履きは確かに動きにくい。
いずれにせよ、AIはこのような「特定の行動パターン」と「特徴的な外見」をしている人を重点的に監視しているということになる。
犯人に背中を見せて逃げてはならない
一方、法務省の「無差別殺傷事犯に関する研究」によると、無差別殺傷事件の認知件数は週末が終わった後の火曜から木曜にかけてが多かった。犯行時間帯にも特徴があり、最も多いのは夕方18~23時台。これに対して一般殺人は曜日による特徴は少なく(月曜がやや多い)、犯行時間も極端な差はない。これらはAIではなく統計分析(ビッグデータ)になるが、ひとつの参考にはなるだろう。
他に、ALSOKが「通り魔に遭遇したときの対応」を公表しているので、覚えておいて損はない。それによると、危険を察知したり、目の前で異常が発生したら、とにかくその場から離れること。ただし、犯人に背中を見せて逃げてはならないという。犯人は逃げる人ほど追いかける傾向があり、後ずさりしながら距離をとるのがベスト。山中で「クマに遭遇」した時と対処の仕方は一緒なのだ。
「不審な人を見分けるために日頃から実践したいことは、歩きながらスマホを操作したり、電車で寝てしまったり、イヤホンで耳をふさぐといった行動を慎むこと。京王線刺傷事件でも逃げ遅れてしまっているような人も見かけました」(ジャーナリスト・中森勇人氏)
縁もゆかりもない人を襲う無差別通り魔が起こるたびに、「鉄道にも手荷物検査を設けるべき」「車内巡回の警察官を配置すべき」といった声が高まるが、かかる人員や満員状態での巡回は物理的にも難しい。
AIに見張られているのは不気味だが、結局のところ、そのAIをうまく真似してわが身を守るしかない。
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